わだば山頭火になる

神は私の前へフィルターを通して現れる。 君臨する。 それを翻訳するのが私の使命である。…

わだば山頭火になる

神は私の前へフィルターを通して現れる。 君臨する。 それを翻訳するのが私の使命である。 まずはここを歩くことだ。 鼓動が停止する瞬間、思い切り呼吸できるよう。

記事一覧

光の破片

難しいことじゃない。 黄色を見つけるには紫が 緑を見つけるには赤が必要で 何も君は 自分が欠けてるだなんて考えなくていいよ 隣で話す 昨日何した 子供がどうした 親は…

隣にいた人

この世には どうしても互いに一緒になりたくても、 様々な理由から一緒になれないことがあります。 互いにそれが分かるから、相手をいたわろうとし、なおさら苦しみは増す…

ゆりかご

夢 はいつか忘れてしまう この淡い 群青 あなたは忘れてしまう 夢見たことさえ 夜の航空は 防波堤は いつか いつだったか あなたがかつては 生きていたことを思い出させ…

兎の終わり

新幹線 広島行きの車中 母と訪れた日のことを一人想う それは15年ほど前 まさかこんなに早く 母とお別れする日が来るとは 思いもしなかった 床を這うような重さ 苦しさ …

母の死

この世は修羅 ようやく眠りに落ちても すぐ夜は明け この道が歩けと問う しかしこの修羅でのみ 私は腕をもち 味覚を持つ 生きるとは この修羅でしかないが この修羅も時…

こたえ

枯葉のすさぶ頃 今はトンネルにいるだけで 抜ければきっと 幸せになれるんだと思っていた トンネルは抜けるためにあるんだと 乗り越えるためにあるんだと 思っていた 今は…

在る

どんなに倒しても だって倒しきれない相手だから あなたは 雨風が打ちつけても  荒れ狂っても  あなたはそこにいればいい

しゅんとして

まぶしい つめたさに なつかしい    早朝にさらされる  霜柱あの白いつぼみに逢いたい 冷気が  あの冬が恋しい   あのしゅんとした     覚醒のような    …

小島一郎さま その2

探している あなたを 再びこの地で生きようと 生きて見せようと そう 思わせたものは何なのかを 写真でしか想像できないが 写真こそあなたののすべてだ わかる気がする…

小島一郎さんへ捧げる詩

そんなあなたが羨ましいのだった あなたの見た 世界は 祭りのような 一種 熱に浮かされたような そのような 赤い 爆裂した風だった 火の粉を避けて 走って 叫んだけど…

映写機

どうして判決されるかなんて考えるの? 君は時に 吹きすさぶ山小屋のなかに 身を屈めて丸まっていたね 入道雲は速足で去り 訪れた紫と青のカーテンに驚いていた 君は時に…

タナトス~信号へ

見たことない 景色を 見ている 私は 本当は ここから消えたい いつだって そう だって知ってるから 私はここでない景色を知ってるから 私はそこから来たから 私は完全…

あおい昼下がり

ところどころごつごつして 足 へたへたと まるでサハラ砂漠の砂のよう 思ったより滑らかでないの  取り戻そうとした この世にまだ葉があり滴る雫を見れた頃 取り戻そう…

オール漕ぐあなたへ捧ぐ

大きく 少し華奢だった背 この日 君は逝ってしまった つなげなかった私は 今夜も ひとり 東海道線の下 紫色の海へとそそぐ この鈍行は 一度も会ったことなどない どこ…

おつかれさまです⭐

なんだこれ!? 西ではないはずなのに夕焼け空がまるでスターライト。 手のひらからすくったように、黄金色の空は光にカットされている。 疲れてさ迷う私に、はっと神が現…

光の破片

光の破片

難しいことじゃない。
黄色を見つけるには紫が
緑を見つけるには赤が必要で

何も君は
自分が欠けてるだなんて考えなくていいよ

隣で話す
昨日何した
子供がどうした
親はどこだ
なぜあの子が離れていった
化粧直しの輪になんて加わることないよ

一人 好きなアイラインを引け
何も見るな
全て見ろ

君の靴を履いて
歩け

この生き方が合ってるな
別に一人が好きなわけじゃないよ
一人は怖いよ
母も死ん

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隣にいた人

隣にいた人

この世には
どうしても互いに一緒になりたくても、
様々な理由から一緒になれないことがあります。

互いにそれが分かるから、相手をいたわろうとし、なおさら苦しみは増すばかりです。

この世は苦しみばかりなのでしょうか。

私にもいつかまた、笑って共に過ごせる人ができるでしょうか。

母が73歳、すい臓がんで旅立ちすでに半年。

隣にいた人はどこにいったのだろうか。

隣にいる人…
一人が良かったのに

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ゆりかご

ゆりかご


はいつか忘れてしまう
この淡い 群青

あなたは忘れてしまう
夢見たことさえ

夜の航空は
防波堤は
いつか
いつだったか
あなたがかつては
生きていたことを思い出させる

約束した
本気で生き直すと約束した
また
また
気付けば
黄色のドーナツのなか
うるさい噂話のなか
 夜になれば ただ眠って
そのうち自分が何を見ていたかなんて
 忘れてしまうんだね

私は暴力が好きだ
器のなかにある

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兎の終わり

兎の終わり

新幹線
広島行きの車中
母と訪れた日のことを一人想う
それは15年ほど前

まさかこんなに早く
母とお別れする日が来るとは
思いもしなかった

床を這うような重さ
苦しさ
悪夢は毎日繰り返され
何度も神に
問いかけたけれど
返答はなかった
なにも なにも

来たるその日を
受け入れる日を重ねる毎日
そんな一年だった

私は不十分だったかもしれない
まだできたかもしれない何かを

けれど
漸くここま

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母の死

母の死

この世は修羅
ようやく眠りに落ちても
すぐ夜は明け
この道が歩けと問う

しかしこの修羅でのみ
私は腕をもち 味覚を持つ

生きるとは
この修羅でしかないが
この修羅も時折
涅槃の顔をうかがわせる

大いなる慰めである

そう思わせたのは
他ならぬ
母の旅立であり
修羅を歩いた自らの足である

こたえ

こたえ

枯葉のすさぶ頃
今はトンネルにいるだけで
抜ければきっと
幸せになれるんだと思っていた
トンネルは抜けるためにあるんだと
乗り越えるためにあるんだと
思っていた

今は違う
このトンネルを歩いていてもなお
私は歩き
歩き
生きていることがわかる

生きながらえて
なお 
隙間から見える波間に驚き
胸弾み
落陽を見ては
思う

トンネルを抜けるかはどうでもいい
山は、乗り越える必要はない

私はただ

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在る

在る

どんなに倒しても
だって倒しきれない相手だから
あなたは

雨風が打ちつけても 
荒れ狂っても 
あなたはそこにいればいい

しゅんとして

しゅんとして

まぶしい
つめたさに
なつかしい   

早朝にさらされる 
霜柱あの白いつぼみに逢いたい

冷気が 
あの冬が恋しい  
あのしゅんとした 
   覚醒のような  
 はたまた緩やかな鈍麻か 
私はまだその途上 
 ここでただ目を閉じて

小島一郎さま その2

小島一郎さま その2

探している
あなたを 再びこの地で生きようと
生きて見せようと
そう 思わせたものは何なのかを

写真でしか想像できないが
写真こそあなたののすべてだ

わかる気がするとつかんだ糸は
するすると
ほどけてく

でもおじいさん
藁を積んで
こちらへ
歩いてくる

私は身を棄て
開くしかない

小島一郎さんへ捧げる詩

小島一郎さんへ捧げる詩

そんなあなたが羨ましいのだった

あなたの見た 世界は
祭りのような
一種 熱に浮かされたような
そのような 赤い 爆裂した風だった
火の粉を避けて
走って
叫んだけど
ふと振り返ると
仲間はみな逝ってしまったんだね

原生林を
この生身を駆けてみて
深呼吸
国土に還っても
知る者はなし

あなたの北風に浮かぶ
潔い うろこ雲を見ると

まるで
こうなることを待っていたかのような
世界があなたを迎

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映写機

映写機

どうして判決されるかなんて考えるの?
君は時に
吹きすさぶ山小屋のなかに
身を屈めて丸まっていたね

入道雲は速足で去り
訪れた紫と青のカーテンに驚いていた

君は時に
この世が捲る映写に成すすべもなく
頭抱えて幼子のように涙垂らしていた

ドクンと打つからだに
祈っていた

神でさえ
君を裁けるはずがないよ
君の後ろ姿をそっと押して
きっと抱き締めてくれるはずさ

きっとね

タナトス~信号へ

タナトス~信号へ

見たことない
景色を
見ている

私は
本当は
ここから消えたい
いつだって そう

だって知ってるから
私はここでない景色を知ってるから

私はそこから来たから
私は完全な
後だしじゃんけんで
君に勝てるわけがないだろう

いつもせめぎあいだ
争いでたくさんなんだ
顔を洗って玄関を出るけど
本当は飽き飽きなんだ

若い頃によくある
ただの憧れかと思ってたよ
君は先に
いってしまって
私は 飾るま

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あおい昼下がり

あおい昼下がり

ところどころごつごつして
足 へたへたと
まるでサハラ砂漠の砂のよう
思ったより滑らかでないの 

取り戻そうとした
この世にまだ葉があり滴る雫を見れた頃
取り戻そうとした
この夜に月が2つに割れてしまうのを発見した頃

言葉はすずりのよう
今日この目で見たものすら
せせら笑って波の向こうへと
運んでいくのだ

夏の昼下がり
グラスの影に 光きらり
黄金虫が
つくつくと
失ったものの悲しみに
どう

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オール漕ぐあなたへ捧ぐ

オール漕ぐあなたへ捧ぐ

大きく
少し華奢だった背
この日 君は逝ってしまった
つなげなかった私は
今夜も ひとり
東海道線の下

紫色の海へとそそぐ
この鈍行は

一度も会ったことなどない
どこまで行っても
ハンカチなびく

明滅するこのランプの下
いつか交錯していたのかもしれない
足を止める暇もなく
ただ電気信号に従って
歩いていただけなんだ

紅の染みが野原を焦がす
そのときに なって
やっと 気付くんだ
いつも

おつかれさまです⭐

おつかれさまです⭐

なんだこれ!?
西ではないはずなのに夕焼け空がまるでスターライト。
手のひらからすくったように、黄金色の空は光にカットされている。
疲れてさ迷う私に、はっと神が現れる。
この世はこんなに驚きに満ちている。
今日、幸せだったかい?