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兎の終わり

新幹線
広島行きの車中
母と訪れた日のことを一人想う
それは15年ほど前

まさかこんなに早く
母とお別れする日が来るとは
思いもしなかった

床を這うような重さ
苦しさ
悪夢は毎日繰り返され
何度も神に
問いかけたけれど
返答はなかった
なにも なにも

来たるその日を
受け入れる日を重ねる毎日
そんな一年だった

私は不十分だったかもしれない
まだできたかもしれない何かを

けれど
漸くここまで歩いてきたのだ
もう足は擦り切れて

あと少しでこの一年が終わる
私は やっと
よくやったと
言えるような気がする

ねぇお母さん

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