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オール漕ぐあなたへ捧ぐ

大きく
少し華奢だった背
この日 君は逝ってしまった
つなげなかった私は
今夜も ひとり
東海道線の下

紫色の海へとそそぐ
この鈍行は

一度も会ったことなどない
どこまで行っても
ハンカチなびく


明滅するこのランプの下
いつか交錯していたのかもしれない
足を止める暇もなく
ただ電気信号に従って
歩いていただけなんだ

紅の染みが野原を焦がす
そのときに なって
やっと 気付くんだ
いつも


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