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詩/散文

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この感情のない文字ばかりが溢れる半透明の世界に自分の言葉をぽつりと置くのに違和感を感じたので、投稿を辞めた。ただ詩作自体は今も変わらず続けている。 私は矜持や虚栄心のためではなく…
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#私の作品紹介

【詩】曙光 2024年1月8日作

【詩】曙光 2024年1月8日作

曙光

薄雪の覆いかぶさる木々がつくる窓から覗く
どこまでも続く雪原と
どこまでも続く樹々と
どこまでも続く山々と
どこまでも続く世界の果てに見える純白の光
いつか夢見た黎明の仄明かり

私はまだ歩き続ける。
私はこの旅を続けなければならない。
あの陽光の満ち溢れる世界に
足を踏み入れるまで。

【散文】【短編】踏切にて 2023年9月26日作

【散文】【短編】踏切にて 2023年9月26日作

人里離れた地の、緑の茂る家路を一人辿っていた。空の綺麗な日だった。ぼんやり歩いていると、踏切を過ぎてすぐ、背後から無機質な音が断続的に聞こえ始め、頭の中に涼やかな音が一つ、鳴った。自傷を初めてしたあの夏の日のように、これに自分は救われる筈だという直感がし、また直後にそれは確信に変わった。縋りつくように振り返る。踏切の電灯が血の色に点滅していた。光っては消え、光っては消え……。私は磁石に引かれる鉄片

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【詩】無題 2023年9月6日作

【詩】無題 2023年9月6日作

今朝貴方の顔が
欲にまみれた醜いものに見えました
ひどい嫌悪感を抱いて
目をそらしました

目に映る人すべての顔が
穢らわしく見えました
目に映る景色のすべてが
灰色にくすんで見えました
俯いて歩きました

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