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【散文】【短編】踏切にて 2023年9月26日作

人里離れた地の、緑の茂る家路を一人辿っていた。空の綺麗な日だった。ぼんやり歩いていると、踏切を過ぎてすぐ、背後から無機質な音が断続的に聞こえ始め、頭の中に涼やかな音が一つ、鳴った。自傷を初めてしたあの夏の日のように、これに自分は救われる筈だという直感がし、また直後にそれは確信に変わった。縋りつくように振り返る。踏切の電灯が血の色に点滅していた。光っては消え、光っては消え……。私は磁石に引かれる鉄片のように、また夢遊病者のように、それに引き寄せられた。

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