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経営管理部門の専門職として生き残る方法(主に経理・財務・経営企画・法務などの話)


【Co-WARCサイトオープン】

WARCに所属している公認会計士・税理士の皆さんで組織された会計コンサルチームであるCo-WARC(コワーク)のサービスサイトがオープンしました。
是非御覧ください。


はじめに

経営管理部(又は管理部、コーポレート)の専門職として働いている皆さんこんにちは。
同じく専門職として働いているWARCの瀧田と申します。
私の場合は長い間ベンチャー業界で働いているのですが、皆さんはどんな業界のどんな会社で働いていらっしゃいますか。
大手企業、中堅企業、ベンチャー、スタートアップ……いろいろな規模・業界がございますが、いずれにしても思うところは一つですよね。
そうです。

これからの長い人生、果たして専門職として生き残れるのかです。

少なくとも私は、自分の能力に常に不安を感じております。
ただ、このような不安感は、経理・財務・法務・IR・経営企画などの専門職においては、永遠のテーマというか、常に頭の片隅あるものだと思っています。
何も不安がありません、自分は最強ですと思えている人は相当あれな人で、普通は不安になるはずですし、その不安は正しいものだと思います。
むしろ、優秀な人材ほど自分の無能さを自覚して危機感を持っているので、自分の能力を向上させるために毎日努力を積み重ねているはずです。

専門職の世界には生存競争が常に発生していて、年齢を重ねるごとに徐々に市場価値を高めていかないと、あっという間に淘汰される世界です。
なんでも中途半端にできる器用貧乏になってしまったり、年齢だけ重ねて専門性がない人間になってしまうと、転職市場ではあまり価値がない状態になってしまうので、常に自分の専門性と向き合っていかないといけません。

そんな我々の生き残り作戦について、今日は書いていきたいと思います。



1.今回の記事でいう専門職の定義

まず、本記事でいう「専門職」について定義していこうと思います。
経営管理部門にも様々な専門職が存在しますが、今回は焦点をあえて絞って、会計専門職と法務専門職の2種類に限定して語っていこうと思います。

そのため、本記事いう「専門職」とは、経理・財務(CFO含む)・IR・内部監査(監査役・監査等委員含む)・経営企画(経営戦略)・法務を意味することにします。

これらの職種は、会計及び法律の知識が高度に必要になってくるため、経営管理部の中でも特に専門性が高い職種で、かつ、その専門性を客観的に証明しやすい職種です。
そのため、生き残る方法も見つけやすい点がメリットと言えます。

デメリットとしては、上級職になればなるほど士業の有資格者が増える(ハイレベルな戦いになる)という点です。



2.専門職の価値はどう決まるのか

では、これらの専門職の価値はどう決まっていくのでしょうか。

一言で専門職と言っても、その専門性の程度には大きな高低差(上下の広がり)があります。
専門職の分野では、全く同じ経験年数であっても、全く同じ資格を同じ時期に取っていても、仕事の質は全然違います。
一度でも本物のプロと仕事をしてしまうと、なかなか他の人に乗り換えようと思えないくらいの違いを実感すると思います。

そして、同じ職種であっても、専門分野は様々なので、事業分野の数だけ専門分野が存在します(横の広がり)
この横の広がりには、需要の高低がありまして、需要がある分野の方が仕事も多く、専門性が高い人については報酬も高くなりやすい傾向があります。

そのため、専門職の価値は、選ぶ専門分野の需要(主に企業からの需要)と、その専門性の高さのバランスによって、ある程度決まってきます。

雑な図ですが、私のイメージではこんな感じです。


専門職の需要と専門性


上図のとおり、例えば、あまり需要がない専門分野(図の左側)を選んでしまうと、いくら頑張って専門性を高めても需要自体が乏しいので、転職が難しくなってしまいます(ニッチ専門職:左上)。

ただ、ニッチ専門職の場合、一定の需要が見込める分野(全体としてみると需要はほとんどないが特定の企業からは重宝される分野)を見つけ出せれば、ライバルが少ないことによって、ほんの少し頑張るだけで十分に食っていけるというチャンスが眠っています。
転職の幅は狭くなるでしょうし、選択肢も乏しくはなるでしょうが、一定の需要が存在し続ける限りは食いっぱぐれない生き方です。
ニッチ専門職を目指す場合は、リスクを取る形にはなりますが、成功すれば安定した収益を上げられると思います。

もっとも、ニッチ専門職に至る前段階(図の左下)で留まってしまうと、かなり厳しい状態になります。
需要があまりない分野で、かつ、専門性も磨けていない状態だと、転職も難しいため、真っ先に淘汰されやすい領域にいることになります。


一方で、企業側からの需要が高い分野の場合(図の右側)、新人や若手であっても、とりあえずは生きていけるレベルになりやすいです(専門職見習い:右下)。
この領域は、需要の高い分野なので、専門家が多いがゆえに専門知識を学びやすいという特徴があります。
専門家がたくさんいれば、その分書籍なども大量に出ていることが多いので、ある程度の所得を稼げるようになるまでの道のりは比較的平坦です。
そのため、新人や若手が最初に目指すべき領域としては正解だと思います。

しかし、需要が高い分野は、いくらでも専門家がいる分野(専門家に人気がある分野)でもあるので、自分の専門性を高めることが非常に難しいという弱点があります。
あくまでも、専門性というものは相対評価なので、その分野での他の専門家たちよりも頭一つ抜けた知識・ノウハウを獲得しないと、なかなか高くならないのです。
そのため、勉強時間をある程度確保したとしても、そんな程度はみんなやっているので、なかなか差別化が図れません。
ゆえに、頭一つ抜けた状態に至るまでは、相当の労力をかける必要があり、報酬もそこまで高くならない傾向があります。

ただ、相当な時間と労力をかけて、頭一つ抜けた状態に至ることができさえすれば、もう最強です。
理想の専門職(図の右上)として、高い報酬を得て生きていけますし、転職も容易で、転職サイトに登録すればすぐに熱量の高いスカウトが大量に送られてきます。
さらに、自分の専門性を活かして独立することも可能になりますから、選択肢の幅が一気に広がります。
専門職として生き残るのであれば、最終的にはこの領域を目指すべきかなと思っています。



3.専門職としての価値を高める方法

さて、ここからが本題でございます。
理想の専門職の形がわかったとして、どうやってそこに到達するのかです。

この点について、私の見解を述べさせていただこうと思っております。

私が考える「専門職としての価値を高める方法」は以下の5種類です。
そして、この5種類は複数同時に行うべきだと思っています。

(1)職歴
(2)学位
(3)資格
(4)人脈
(5)他分野との掛け算

では、一つずつ解説させていただきます。


(1)職歴


専門職においてまず重要なのは「経験と実績」(職歴)です。
経験と実績が明らかで、その業界の中で一目置かれる存在になっていれば、他の方法は必要ないかもしれません。
専門職の業界では、それほど重要なものだと思います。

しかし、職歴というものは半分以上運だと思っています。

新卒の時点でどこの会社に内定をもらうか、どういう人と出会って転職をするかなど、運要素が大きく、偶然の連続によっていかようにも変容してしまうものです。

もちろん、ある程度は狙って獲得できることではあるのですが、全てうまく行くケースはあまり無いでしょう。
また、職歴をある程度自由にコントロールできる人たちは、大抵素晴らしい大学を出ていたり、強い資格を持っている人たちなので、万人がそうなれるわけではありません。

したがって、思い通りの職歴で自分の価値を高められる人は少数派だろうと思います。


しかし、ただ単にボーっとチャンスを待っていても、そんなに都合良く機会はやってきませんから、自分で積極的にチャンスが多い場所に身をおいておくべきだとは思います。

例えば、ダイレクトリクルーティングサービスに日頃から登録しておいて、良いスカウトが来るようにプロフィールを頻繁に更新しておくべきです。
日本で有名なダイレクトリクルーティングはビズリーチですが、ベンチャー企業に特化したSYNCAもオススメです。

こういう転職サイトに複数登録して、スカウトマンに気づいてもらえるように、週に1回くらいはログインして、3ヶ月に1回くらいはプロフィールを更新しておきましょう!

なお、私の私見としては、もし企業内専門職として先々大きな成功を目指すなら、今すでに大手企業として有名な企業の専門職になるより、10年後20年後の大手企業になるであろうベンチャー企業のコアメンバーになることをオススメしたいです。
大手企業の中で、多くのライバルや先輩を蹴落として出世するのは至難の業だと思いますが、拡大期のベンチャー企業の場合は、新しい重要なポジションがポンポンと出てくるので、チャンスが多いのです。

ベンチャー企業はリスクも大きいので、転職先選びは慎重になるべきですが、私としては大手よりはベンチャー企業の方が勝ちやすいかなと思っています。


(2)学位


続いて、最も簡易的に専門性を高める方法として、学位を手にするという方法があります。
一度仕事を辞めた上で大学院等に行くケースもあるのですが、それだとコストもリスクも跳ね上がるので、私としては働きながら夜間大学院等に行くことをおすすめしたいところです。
そうすれば、コストもリスクも最小限に抑えることができます。

会計専門職・法務専門職を問わず、大学院等で自分の専門分野を研究し、論文を書き、学位を取得するというのは、自己の専門性を客観的に証明する手段の一つです。
そして、その大学院が有名であればあるほど、学歴が更新されますので、市場価値も高くなりやすくなります。

今でも海外の大学院の方が人気ですが、学費が信じられないくらい高いので、国内の方がまだ現実的かと思います。
国内でもいくつか有名な大学院があるので、一度調べてみると良いでしょう。
関東で言えば一橋大学、筑波大学、慶應義塾大学、早稲田大学が有名です。
自分の専門分野を研究できる研究科を探してみてください。


(3)資格


続いて、専門職にとって最も馴染み深い方法が「資格を取得すること」だろうと思います。
公認会計士、税理士、日商簿記1級、全経上級、弁護士、弁理士、司法書士、米国公認会計士などの転職市場で高く評価されやすい専門資格を取得することで、専門職として生き残れる可能性が高くなります。

専門職の転職市場でのスカウトでは、資格の有無でフィルターをかけることも多くあるので、有力な資格は絶対に持っておいた方が良いです。
いくら転職時の役職が高くても、資格が無ければ若干不安を抱かれます。

自分の専門性を最低限証明できるものが資格なので、専門職として生きていくのであれば、取得しておくことをオススメします。


(4)人脈


次に、人脈を作っておくこともかなり効果的です。

経営管理部門の専門職の多くは、営業職と異なり、原則として社外の人間とほとんど関わりを持ちません。
下手をすると、数年で数人程度としか知り合わないということもあります。
場合によっては、めったに使わないので名刺すら持っていないこともあります。

そのような状況下で長い年月が経ってしまうと、その会社のことしかわからない人間になってしまうので、あまりメリットがありません。
専門職こそ自分から意識的に外部の人間と接触を図るべきです。
少しずつでいいので、外部の同職種や異職種(できれば経営管理部門の専門職)の方々と横のつながりを作っておきましょう!

また、副業をしてみるというのも効果的です。
会計専門職(経理・財務・経営企画・M&Aなど)であれば副業市場がかなり活況なので、比較的容易に案件を得ることができるかもしれません。
何度か副業を経験していれば、横のつながりもできますし、友人もできやすいでしょう。
仮に忙しくて案件を受託できない場合でも、勉強会などには参加できると思うので、そこで横のつながりを作るのもありだと思います。

WARCでも、WARCMOREという副業マッチングプラットフォームを運営していて、すでに何百人にも会計専門職が登録してくださっています。
もし必要であれば、ご検討ください。

なお、ホームページ上は「公認会計士のための」と書いてあるかもしれませんが、今は登録の幅を拡大していて、資格を持っていなくても、経理・財務の実務経験者であれば登録が可能です。


(5)他分野との掛け算


最後に、他分野との掛け算による方法も述べておきます!
ここ最近、ベンチャー界隈でも時々登場するのですが、2つ以上の専門分野を持っている人が一部存在します。
特に会計専門職に多いのですが、自分の基礎となる専門分野をまず確立していて、その上で派生的な専門分野まで修めているような人たちです。

会計という専門分野は、極めて幅広い上に、他の専門分野と密接に関係しているため、掛け算がしやすいんですよね。
それもあって、いろいろな組み合わせで専門分野を掛け算しやすいです。

例えば、以下のような経歴の組み合わせで、複数の専門性を身に着けています。

・公認会計士(監査) ✕ M&A
・公認会計士(監査) ✕ ファイナンス(エクイティ)
・公認会計士(大手企業の会計) ✕ COO(事業責任者)
・ファイナンス(エクイティ) ✕ M&A(当事者)
・ファイナンス(デット) ✕ CFO
・事業会社のCFO ✕ M&A(コンサル)
・M&A(投資銀行出身) ✕ CFO
・証券会社(IPO担当部署) ✕ IR
・税理士(税務代理・記帳代行) ✕ 経営企画
・弁護士(一般民事出身) ✕ M&A(コンサル)
・士業(公認会計士・弁護士等) ✕ 起業

など、自己の過去の経験を基礎として、そこから派生した知識を自ら積極的に学んで習得し、実務経験を獲得後にどっちも詳しくなるというタイプです。

こういう人については、もう何も心配いりません。
仕事に困ることもないでしょうし、お金に困る事もたぶんないでしょう。

最近ではM&A市場が活況(儲かるという意味でもある)なので、M&A分野の知識をかけ合わせる人が多いですが、他にも、人材紹介業、相続、起業、2つ以上の士業(弁護士✕公認会計士のダブルライセンス等)など、様々な分野の組み合わせが出てきています。

一部の人を除いて、誰しもが最初は一般社員からスタートです。
そこで経験を積んで、自分の専門分野を確立したあと、より儲かる分野、得意になれそうな分野、関連性の高い分野などに派生して、専門分野を掛け算できるようになると、より盤石なキャリアが描けると思います。


いずれにしても重要なことは、学び続けること、行動し続けることです。
専門職は比較的安定している身分であるため、ふとした瞬間に気が抜けて、学ぶことを止めてしまうことが多いです。

でも、そうやって止まっている間に、後輩たちは恐ろしい勢いで成長していきますし、同期の優秀な人達ははるか彼方へ旅立っていきます。
専門職として長く生き残りたいなら、歩み続けましょう。


おわりに

今日は経営管理部門の専門職の生存戦略について、たった5つではありますが、方法を解説させていただきました。

私達は、営業職のような明確な指標がないことが多いので、気を抜いていると知識がすぐに錆びついていきます。
危機感が無くなりやすい職種なので、成長が鈍化しやすいのです。

だからこそ、常に不安を大切にした方が良いと思います。
新しい知識、経験に貪欲になって、日々学んでいきましょう!

では、また次回。


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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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