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わかおの感想

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令和の向田邦子、わかおによるエッセイ
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2022年3月の記事一覧

ぼくの人間失格

ぼくの人間失格

恥の多い生涯を送って来ました、という書き出しのパロディは星の数ほど見たことがあるけれど、人間失格を全編通しで読んだことはなかった。仮にも国文科に在籍するものがこれではいけないと思って、ブックオフで110円の文庫本を買って読んだ。

ぼくなんかの分際で偉そうな文学評などできるわけもなく、ただ鈍い感受性なりに感じたことを書くしかないのだが、そんなものを書く気になるくらいには、この小説には心に残るところ

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自分のことは棚に上げておいて

自分のことは棚に上げておいて

自分にとって鼻持ちならないことでも、それがある程度理にかなっていることであれば、大抵納得出来る。

しかしなかにはどうしても許せないこともあって、それは11歳下のアホな弟だったり、今ぼくが乗っている電車内で人目も憚らずイチャついている、これから卒業旅行に出かけるであろう高校生のカップルだったりする。

ぼくだって8歳のころには年相応にアホだったと思う。クイズ番組の問題を正解するたびに「こんなのかん

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トリプルファイヤーの良さが分かる人と友だちになりたい

トリプルファイヤーの良さが分かる人と友だちになりたい

最近いやでも自覚せざるを得なくなってきたのだが、ぼくは相当感受性が鈍いようである。鈍感なのだ。両親から愛されて育ち、なんら問題なく恵まれた環境に身を置いてきたからだろう。

世の中の理不尽に対する不満や怒りなどは全く持ち合わせておらず、自分がよければそれでいいと思っている。逆に綺麗な花や美しい風景を見ても、何ら心に湧き上がるものがない。母親の影響で、とりあえずデカい声で「きれ〜い」と言ってみること

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おにごっこ

おにごっこ

子供のころから足が遅かった。足の速さは、人生で一番最初に直面する才能の格差だと思う。小学校中学年くらいまでの子供は、男も女も関係なく3人集まればすぐに鬼ごっこをする、馬鹿の一つ覚えみたいに。子供って馬鹿なんだろうな、因数分解もできないし。

「多数決=公平」という悪しき民主主義的思想が末端までこの国には根付いているので、ぼくひとりが鬼ごっこをしたくないと言ったとしても、鬼ごっこは無慈悲に開始される

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