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【マスコミ研究会・企画×文芸小説】 台場編①「君の光は海の色」 作:すばる
企画概要
マスコミ研究会の分科会の垣根を超えたコラボ企画。今回は「君とのデート大作戦 ~もうスケジューリングには困らない~」企画(以下スケジューリング企画)とのコラボ小説を執筆。
スケジューリング企画では、「予定を立てるのが苦手」という悩みを解決すべく、事前に設定を考えた上で理想のスケジュールが実行可能か、体当たり取材を決行...!
一方の文芸分科会ではスケジューリング企画内で考えた「
【マスコミ研究会・企画×文芸小説】 台場編②「散る」 作:平八郎
企画概要
マスコミ研究会の分科会の垣根を超えたコラボ企画。今回は「君とのデート大作戦 ~もうスケジューリングには困らない~」企画(以下スケジューリング企画)とのコラボ小説を執筆。
スケジューリング企画内で考えた「行先」と「行く人物の設定」を基に文芸分科会がオリジナルの物語を考える。
設定された行先は「新宿」と「台場」。それぞれの場所で、どんな物語が生まれるのだろうか。マスコミ研究会の分科
【マスコミ研究会・企画×文芸小説】 新宿編②「忘却」 作:きっこうまん
企画概要
マスコミ研究会の分科会の垣根を超えたコラボ企画。今回は「君とのデート大作戦 ~もうスケジューリングには困らない~」企画(以下スケジューリング企画)とのコラボ小説を執筆。
スケジューリング企画では、「予定を立てるのが苦手」という悩みを解決すべく、事前に設定を考えた上で理想のスケジュールが実行可能か、体当たり取材を決行...!
一方の文芸分科会ではスケジューリング企画内で考えた「
小説『夏みかん』(作:雅哉)
僕は、あの子の素顔を見たことがない。あの忌々しいウイルスから僕たちを守るため、大人たちはマスクの着用を義務化した。だから僕は好きな女の子どころか同級生の顔もまともに見たことはない。不便かって言われたらそりゃ不便だけど、病気になりたくなければするしかないよね。コミュニケーションはもっぱら目の部分を見て。ただ人と目を合わせるのはなんだか気恥ずかしい。そんな状況だから、くしゃっと目を細めて軽やかに笑う
もっとみる小説『引き出しの中身』(作:こね)
マスクに絵を描くのが好きだ。折り畳まれた不織布を丁寧に開き、折り目を指で潰しながらなぞる。鍵を開けてアクリル絵の具を取り出し紙パレットを一枚めくった。白くツルツルした表面を乾いた筆で撫でながら、何を描こうか夢想する。
傘の内側から見る今日の街は暗くて静かだった。色を奪った雨粒は木々の緑をより鮮やかに際立てて、僕のズボンをじっとりと濡らした。マスクの内側はひどくこもって、不織布が顔にまとわりつい
小説『頬から垂れた絵の具』 (作:京々)
教室に入ろうとしたら、鍵がかかっていた。がちゃがちゃとドアを動かしていると、隣の教室に人が入るのが見える。あ、間違えた。
記念すべき初回授業が行われる教室に入ると、既にちらほらと人がいる。皆、私より地味な格好をしている。流石に大学デビューにかこつけて髪を真っ青に染めるのは早かったか。このクラスのメンバーとは週に何度も会うから、人間関係の形成にはちょうどいい。中高時代も初動が「クラスの立ち位置」
小説 『境』(作:こね)
腹が減った。
我に返ったのが舞台上だったから最悪だ。慌ててプラスチック製の焼きたてパンを貪り食って取り繕う。舞台でのみ華やかに輝く銀色の食器を握り締め、何もない皿からスープを飲む。ぐうっと喉を動かして、俺はセリフを吐き出した。
「うまい……!」
巨大な黒い観客は音を吸う。密度の高い視線が次の演者へと移動した。硬い食品サンプルに顔を埋めるふりをして、息を吐く。どこもかしこも白飛びするほどの光を
小説 『とりとめのない秋の日の話』
散歩をしよう、ということになった。ちょうど近くの公園のいちょうが見頃だから、ということで。
適当な服装を、適当な上着で隠して、適当な靴をひっかけて、外に出た。こうやって二人で並んで歩くのも、もう何回目かわからない。
大学3年のゼミで知り合って、ぽつぽつ連絡をとるようになって、二人でご飯に行くようになって、告白されて付き合い始めた。一般的な恋愛だなと思う。
卒業して、社会人として働き始めて1