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#短編小説

雨の中を歩く。[超短編小説]

雨の中を歩く。[超短編小説]

雨が降っている。
バケツをひっくり返したような、という表現があるけれど、まさしくそれだ。
昔から雨は嫌いだった。どんよりジメジメしていて、気分は暗くなるし、おまけに頭痛もする。僕にとっては最悪なことばかりだ。
雨が好きな人なんているのだろうか、なんてそんな極端なことを思いつつ、僕は傘を差して雨の中を歩き始めた。
………ああ、そういえば、昔付き合っていた彼女は、雨が好きだと言っていたっけ。
「海の水

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不思議な一日 第1057話・12.21

不思議な一日 第1057話・12.21

「今日も楽しく幸せに過ごせた」と、内心喜んでいる。ちょうど1日が終わりベッドに入った瞬間だ。今だからこんなことが言えるのかもしれない。これが数時間前ならとてもそんな状況ではなかった。それは大きなミスをしたかもしれない恐れていたからだ。

 異変は朝から起こった。朝目が覚めたときに何か気持ちの上で違和感があった。あったが致命的な何かではなかったので、首をかしげながらも気にせずに起きあがる。そのままい

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短編小説:どしゃ降りとシュークリーム(上)

短編小説:どしゃ降りとシュークリーム(上)

 最悪だ。どしゃ降りだ。

 今朝、天気予報で「午後から大雨」というのはチェックした。わざわざ玄関の目立つところに傘を置いておいた。
 それなのに、家を出るときは晴れていたし、電車に遅れそうであわてて家を出たものだから、忘れてしまった。

 いつもこうだ。僕はいつも、何かをミスする。

 職場に着くまでは雨も降らず、今日は外回りの仕事もなかったから大丈夫だった。
 夕方から少しずつ降り始めた雨が弱

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海と僕をつなぐ板        

海と僕をつなぐ板        

 私は息子のことを信じてあげることが出来なくなりつつある。

 息子は八歳、小学二年生だ。まだまだ親が全力で守らなければいけない年齢なのに、息子の言動を理解することができず、他人の目で見てしまうことがある。もちろん、息子を愛していることに変わりはない。二年前に病気で妻を亡くした私にとって息子は生きる希望だ。

 半年ほど前だった。小学校の入学式前に買ってあげた学習机が変だと言い出したのは。

 二

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【小説】 YとR 【ショートショート】

【小説】 YとR 【ショートショート】

「悪戯に過ぎた」と言うのなら、余りにも悪戯が過ぎている。
 もしも些細な興味で今という結果があるのなら、悪戯と言うよりもコレは最早、悪ふさげとしか私は思えない。
 そんなことをぼんやり考えてホテルの天井を眺めていると、二時間前に知り合ったばかりの彼は慌てふためいた様子でヨレたYシャツを着ながら言った。
 ブラ下がるモノを見て、普通、下から履かない? と私は思った。

「また会えるかなぁ? おじさん

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【小説】電車で繋がる物語

【小説】電車で繋がる物語

今日、僕は8年前に別れた彼女にメールをした。
車窓から見える景色は
ビルがひしめき合う光景から
田んぼが連なる風景へと変わっていた。

「久しぶりだね、元気?」

正直、元気だろうが無かろうが僕には関係ない。
もうそんな関係なのだ。
だって、別れてから8年も経っているのだから。

「元気だよ!久しぶりだね!」

30分もしないうちに返信が来た。
そこで僕は、8年ぶりに彼女に謝った。

「学生の時は

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雨の日の朝

雨の日の朝

僕は雨が嫌いだ。

湿気で肌はベタつくし、髪の毛のセットもうまくいかない。偏頭痛で頭もズキズキしててなんだか重く感じる。
傘をさしても肩は濡れてしまうし、ズボンの裾だってベシャベシャだ。天気予報のアナウンサーが今週から梅雨入りだと言っている。
僕は鏡の前でため息を吐きながら髪の毛をブラシで整えていく。いつもより早く家を出て、いつもより遅くて混んでいるバスに乗らなきゃ行けないと思うと憂鬱で仕方がない

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