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本紹介

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おすすめの本を紹介しています。 心に響く一冊が見つかりますように。
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本紹介『津軽三味線ひとり旅』

本紹介『津軽三味線ひとり旅』

書名:津軽三味線ひとり旅
(1975年新書か館刊『自伝 津軽三味線ひとり旅』を改題)
著者:高橋竹山
出版社:中央公論新社

津軽三味線の名人・高橋竹山さん(本名は高橋定蔵)の八十余年(出版年から数えて)を振り返った本です。
津軽弁で書かれていますが、わかりやすい言葉を選んで編集してくれている気がします。

私が竹山さんを知ったきっかけは漫画・アニメの『ましろのおと』。アニメを見て「津軽三味線の名

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本紹介『ある愛の寓話』

本紹介『ある愛の寓話』

書名:ある愛の寓話
著者:村山由佳
出版社:文藝春秋

私には昔から『元気を出したい時はこの人』という作家がいます。
それが村山由佳さん。
逆境に立ち向かう女性が主人公の作品が多く、勇気づけられます。
きれいごとだけじゃない。
赤裸々な表現もある。
おそらく、万人受けはしない。
でも、エネルギーにあふれている。

『ある愛の寓話』は6つのお話をまとめた短編集です。主人公は別々で、リンクもしていませ

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本紹介『光のとこにいてね』

本紹介『光のとこにいてね』

書名:光のとこにいてね
著者:一穂 ミチ
出版社:文藝春秋

ラスト数ページで、とうとう泣かされました。2人の少女と、彼女らの周りにいる人々の物語です。

母に連れられて訪れた古びた団地で、7歳の結珠(ゆず)は同い年の果遠(かのん)に出会う。
着るもの、食べるもの、住む世界。
なにもかもが違うのに、惹かれてたまらない存在になった矢先、2人に突然の別れがやってくる。

このあと、15歳で再会し、別れ

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本紹介『祖母姫、ロンドンへ行く』

本紹介『祖母姫、ロンドンへ行く』

書名:祖母姫、ロンドンへ行く
著者:椹野道流(ふしの みちる)
出版社:小学館

この本は、作家・椹野道流さんが高齢の祖母とともにロンドンを旅した日々を綴ったエッセイです。
が、まるで自分自身が旅をしているかのような気持ちになれます。さすが作家さん✨冒頭から引き込まれます。

お二人が後滞在された5つ星ホテルのスタッフの仕事ぶりに感動し、うっとりし、祖母姫のマイウェイぶりに笑みをこぼす。元気をもら

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本紹介『鐘を鳴らす子供たち』

本紹介『鐘を鳴らす子供たち』

書名:鐘を鳴らす子供たち
著者:古内一絵
出版社:小峰書店

この物語は、NHKで制作された連続放送劇「鐘の鳴る丘」をモチーフとしたフィクションです。

敗戦後の日本。
戦時中の教えや価値観がひっくり返り、混沌の日々に振り回される人々。復興の希望を灯すべく企画された、子どもが主人公のラジオ放送。その出演者に選ばれた子どもたちを通して、戦争や戦後の日本、人間模様を描いています。

子どもたちの家庭環

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本紹介『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』

本紹介『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』

書名:産まれてすぐピエロと呼ばれた息子
著者:ピエロの母
出版社:KKベストセラーズ

みなさんは、魚鱗癬という病気をご存知でしょうか。

魚鱗癬とは
皮膚が魚の鱗やサメ肌状態になって生まれてくる病気。症状や原因などにより病型タイプはいくつもあるが、多くは、肌を作るうえで重要な遺伝子に異常がある先天的疾患。
「道化師様魚鱗癬」の名は、肌の様子がまるでピエロが着る衣装のようであることから。
(書籍を

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本紹介『一年一組 せんせいあのね』

本紹介『一年一組 せんせいあのね』

書名:一年一組 せんせいあのね
選者:鹿島和夫
絵:ヨシタケシンスケ
出版社:理論社

「あのね帳」って知っていますか?
小学校低学年から出される作文の宿題で、「先生、あのね』とまるでおしゃべりするように書くのだそう。先生からはコメントが記入されるので、交換日記のように楽しみながら文章能力か鍛えられるようです。

私のころって、こんな宿題あったっけ?
と思いつつページをめくると、柔軟でまっさらな感

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本紹介『いつかみんなGを殺す』

書名:いつかみんなGを殺す
著者:成田 名璃子
出版社:角川春樹事務所

物語の舞台は老舗超高級ホテル、グランド・シーズンズ。支配人、シェフ、ホテルマン、VIP客、ピアニスト、清掃員が「G」をめぐって複雑に?絡み合う!
(Gは、ゴから始まるあの虫です)

なんだこれ(笑)
設定も展開も斬新すぎる。
まさか「G」の物語を読む日がくるなんて、思ってもいませんでした。
私、G大嫌いですし。
それなのに、

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本紹介『あなたはもう、自分のために生きていい』

本紹介『あなたはもう、自分のために生きていい』

書名:あなたはもう、自分のために生きていい
著者:Poche(ポッシュ)
出版社:ダイヤモンド社

自分軸のヒントになる本はたくさん(それこそ、ここ数年で一気に増えたように思う)出版されていますが、私の場合「そうそう!」と共感を得ながら読めるものは、意外と少なかったりする。
この本は、今まさに読んでいる最中なのですが、開始数ページから共感の嵐です。

「どのようにして親と関わってきたのかが人間関係

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本紹介『湯道』

本紹介『湯道』

書名:湯道
原作:小山 薫堂
出版社:幻冬舎

建築家として独立したけれど、最近仕事がうまくいかない史郎。
父亡き後、弟の悟郎が引き継いだ銭湯を畳んで不動産で儲けようと考えた史朗は、久しぶりに実家を訪れるが…。
犬猿の仲の兄弟。住み込みで働く看板娘。そして常連客。彼らの人生を描いた、笑いあり、感動ありの「湯の道」物語。

映画を見てから読みました。
茶道のように、入浴にもお点前があり、映画でも小説

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本紹介『あけびさんちの朝ごはん』

書名:あけびさんちの朝ごはん
著者:石井 颯良(いしい さら)
出版社:KADOKAWA

急逝した従姉の忘れ形見(高校生の兄と保育園児の妹)を引き取ったあけびさん。27歳。
婚約破棄をして、仕事も家も失ったばかりという、なかなかヘビーな境遇ですが、3ヶ月で仕事を見つけると宣言し、2人の保護者を始めます。
ぎこちなく始まった3人での生活は、あけびさん自身の過去や心をも癒していくのでした。

妹・咲

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本紹介『小説 消えた初恋』

本紹介『小説 消えた初恋』

書名:『小説 消えた初恋』
著者:宮田 光
原作:アルコ,ひねくれ渡
出版社:集英社

道枝さん&目黒さんのダブル主演でドラマ化した『消えた初恋』の小説です。
原作は漫画。

片思い相手の橋本さんから借りた消しゴムに「イダくん❤️」と書かれているのを見てしまった青木くん。

消しゴムに好きな人の名前を書く。
それは、両思いになれるおまじない。

「おれの恋、終わった…」
ショックを受けながらも、橋

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絵本紹介『ひみつのプクプクハイム村』

絵本紹介『ひみつのプクプクハイム村』

書名:ひみつのプクプクハイム村
作・絵:ミヒャエル・ゾーヴァ
訳:木本 栄
出版社:講談社

のどかな村プクプクハイムはその昔、クサイハイムとよばれていた。なぜなら、ほんとうに、たまらなくくさかったから。
まるでおしりのような形の山から、そこに住む怪物のおならが吹き出していたんだ!!

…と、物語はプクプクハイム村の歴史から始まります。くさいにおいを村中に広げるうえに、実った農作物を片っぱしから食

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本紹介『さいはての家』

本紹介『さいはての家』

書名:さいはての家
著者:彩瀬まる
出版社:集英社

その家は、築数十年が経過している。
事故物件の経歴あり。
それなのに、いつも不思議とひょっこり入居者が決まる。

駆け落ち、逃亡、雲隠れ。
やってくるのは「ワケあり」の人物ばかり。
けれども、彼ら・彼女らがこの家で過ごす時間には、どこか愛おしさを感じられる。

とことん引き付けて「この後はどうなるんだろう?」と、読み手の思考を動かす物語の数々。

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