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己で決めた命の使い道に生きろ。【魔法使いの哲学#10】【人生、使命、死生観】

件のウイルス騒動が顕著にしたように、現代人の死生観は「とりあえず生きておこう」ということで概ね一致しているようだ。みんな、死なないようにしよう。命を守ろう。死なないことに必死過ぎて、(不謹慎かもしれないが)ちょっぴり滑稽だなと思ってしまう光景さえたびたび見られる。生きることは素晴らしくて善いことで、死ぬのは嫌なことで悪いこと。医療の現場では患者が死なないために尽くす。普段僕らは死なないためにご飯を食べ、働く。命を守ろう。とりあえず生きておこう。だが、守ったその命はそもそも何のための命なのだろうか。何をするために“とりあえず生きておく”のだろうか。まるで将来何するか決まってないけどとりあえず進学しますみたいな感じで、ほとんどの人がとりあえず“命を守って”生きている。

こういうことを言うと「生きていると楽しいことがたくさんある!」ということを言う人があるが、いやいや同じくらいかそれ以上に苦しいこともたくさんあるでしょうと思う。肉体を持って生きるというのはそれだけで大変なことだ。生きているだけでお金がかかるし、食べていくためにいろんなことをしなくてはならない。嫌な人にも出会うし、面倒くさい人間関係もある。いきなり病気になったり、肉体が老いたり、最愛の人と別れたりもする。それでもなぜか僕たちは、“そうまでして生きている”。それは何のためなのか。

「命を守る」という考え方があるならば、「命で攻める」という方向性があってもいい。例えば映画『もののけ姫』の中で、こんな台詞がある。

サン「母さん。ここでお別れです。私オッコトヌシ様の目になりに行きます。あの煙に困っているはずだから」 
モロ「それで良いよ。お前にはあの若者と生きる道もあるのだが」

映画『もののけ姫』より

状況としては、オッコトヌシ率いるイノシシ軍団と人間が戦争をしている。人間の仕掛けた煙で視界が悪いので、サンが「目になる=補助しに行く」と言っている。ここでお別れですと言っている辺り、サンは自分の最期を悟り、母に別れを告げている。

基本的にどんな動物の世界でも親は子を守ろうとするものだ。しかし最期の別れを告げる娘に対してあっさりと「それで良いよ(=己で決めた命の使い道に死ね)」と答えるモロの言葉が、真に迫っていて個人的に強く印象に残っている。命を大切にするというのは、死なないことでも、死なせないことでもない。「己で決めた命の使い道に死ぬこと」=「己で決めた命の使い道に生きること」だ。命で攻めよう。とりあえず命を守って生きておくのではなく、命を使い切って死ぬ覚悟を決めていこう。たぶん今、僕らはもはやそういうフェーズに突入している。自分の命を何に使うかを、一人ひとりが真剣に考えていかなければならない。

命の使い道がわからない者にとっての死はタイムリミットだが、命を使い切った者にとっての死は安息だ。「死ぬのが怖い」とは、自分の生きている意味がわからないまま死ぬのが怖いということだ。“死なないために生きている人”ほどタイムリミットが怖くなる。「死なない」という目的が果たせなくなるからだ。しかし本当に怖いのは、命を使わずに生きてしまうことではないだろうか。自分の命の使い道がわからないまま、大切な時間を過ごしてしまうことではないだろうか。命は有限だ。命は何かと交換できる。どうせなら最高だと思うことと交換しよう。興味のない相手に向かって上っつらの言葉を口走っているうちに、ある日ポックリ逝くんだよ。そんなの、死んでも死にきれないじゃないか。

聞くところによると地縛霊とか浮遊霊とかいう類は、「この世に未練がある」のだそうだ。いつも思うが、そんなものは幽霊に限った話ではない。僕ら生きている人間も同じだ。幽霊だってもとは人間なんだから、他人事みたいに怖がっている場合ではない。自分事として受け止めよう。未練たらたら、口を開けば愚痴や不満まみれで生きている人間は生きながらにして悪霊なのだ。たぶん、そのまま死ねば本当に「ああいうふうに」なる。自分の魂を悪霊に堕とすな。不満があるまま死ぬな。光を見ろ。望みを知れ。悔いを残さず、生ききって死ね。自分自身がそうあれば、悪霊の発生を未然に防ぐことができる。

そうなってくるとやはり、僕らの魂には一人ひとり使命がある。これはスピリチュアル談義ではない。使命とは、自分の命の使い道のことだ。そしてここが大変ミソなのだが、これは自分で決めて良い。使命は誰かから与えられるのでも、最初から決まっているのでもない。神というのは「大いなる自己」だ。だから神社には鏡がある。大いなる自分が決めたなら、それがあなたの使命だよ。私オッコトヌシ様の目になりに行きます。それで良いよ。お前には別の道もあるのだが、お前が望むならそれで良いよ。自分で自分に命じよう。この命はこれのためだよと。この命はこの人のためだよと。納得できる使い道が見つかれば、惜しむ暇なんかないだろう。

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