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フリーライターはビジネス書を読まない

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#フリーランス

フリーライターはビジネス書を読まない(1)

フリーライターはビジネス書を読まない(1)

インターネットが普及する前、パソコンでテキストをやり取りできる通信サービスはパソコン通信だった。
「ホスト」と呼ばれるサービス運営業者のホストコンピューターに、電話回線でアクセスする。

アクセスしてしまえば、中身は、誰もが書き込める掲示板のほか、同じ趣味をもつ者どうしが集まるフォーラム、仲間うちだけでテキストをやり取りしたり、チャットもできた。

今のSNSの原型になったサービスは当時からだいた

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フリーライターはビジネス書を読まない(21)

フリーライターはビジネス書を読まない(21)

週刊誌の取材を受けるラジオの生本番5分間は、長かったような短かったような、よく分からないうちに終わった。たしかにいえるのは、もし予定通りの30分間だったら、間違いなく何かをやらかしていただろうなということ。それくらい緊張した。

出版社の社長は、スタジオの外でニヤニヤしながら見ていただけ。出演のオファーを受けたのが私だけなので仕方ない。

後日、私の口座に、出演料が振り込まれた。
「えっ、たった5

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フリーライターはビジネス書を読まない(20)

フリーライターはビジネス書を読まない(20)

ラジオ番組から出演オファー「本名で出すかね? それともペンネームつける?」
先輩ライターを通して、出版社からこんなことを尋ねてきた。

私は少し考えて「夢野 遥」というペンネームを伝えた。以前から、自分の本を出すときは「遥」の字を入れたペンネームにしたいと、ぼんやり考えていた。いい機会なので使うことにしたのだ。
そして頭の片隅で、このペンネームで作家活動をやれたらいいなぁなんてことも、うっすら夢見

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フリーライターはビジネス書を読まない(7)

フリーライターはビジネス書を読まない(7)

サラリーマンを辞める

敢えて社名は伏せる。
日本資本最大手の警備会社といえば「あぁ、あそこか」と察しが付く人は多いはず。

1990年の初冬、勤務先のホテル警備隊で夜勤を終えた私は、隊長が出勤してくるのを待って、
「ちょっと、ご相談が」と声をかけた。
普段と違う様子に察するものがあったのか、隊長は場所を変えようといった。

そこは地下1階にあるホテル従業員専用のカフェで、我々のような協力企業とし

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フリーライターはビジネス書を読まない(8)

フリーライターはビジネス書を読まない(8)

次の仕事

1991年1月10日付で、5年2カ月勤めた会社を円満退社した。もっとも正社員の身分を返上しただけで、引き続き雇員として週に1~2日は会社の仕事をやる。
そのあたりのエピソードも話題がてんこ盛りで面白いのだが、それはまた追々書いていくことにする。

東京の編プロから「次の仕事をお願いしたい」とお声がかかった。
リモート会議なんて遠い未来のことと思われていた時代、遠方にいる相手との打ち合わ

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フリーライターはビジネス書を読まない(9)

フリーライターはビジネス書を読まない(9)

単行本の執筆は難行苦行

締め切りまでちょうど1カ月。編プロから、まだ何の連絡もない。項目案が通ったかどうか、それだけでも知りたいのだが……。

仕方がない。こっちから編プロの社長にメールを出してみた。
「お送りした項目案で書き始めていいですか?」

なんと、すぐに返事がきた。
「版元との調整に手間取っています。あの項目で書き始めてください。手直しがあったら、そのときに知らせますから」

書き始め

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フリーライターはビジネス書を読まない(10)

フリーライターはビジネス書を読まない(10)

自分の原稿のまま出版された

原稿を書き上げたのは締め切りの5日前。
自分で決めたスケジュールより2日ほど早くできたせいか、気分が少し楽だった。

これを推敲して、フロッピーディスクに保存して、プリントアウトして、編プロへ郵送する作業が残っているけれど、書き起こしていく作業が済んだだけでも、解放感は大きかった。

私の推敲方法は、当時から今もあまり変わらない。書き上げたらすぐに見直すことはしないで

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フリーライターはビジネス書を読まない(12)

フリーライターはビジネス書を読まない(12)

はじめてのインタビュー
何をどう準備したらいいのやら

原稿を書いてお金をもらうようになり、職業を尋ねられたとき「ライターです」といえるようになった。まだ食えるようになってないけど。
そして今度は、インタビューをやることになった。

「証券アナリストが初心者向けの株式投資をやさしく解説する内容です」
東京にある編プロの社長から聞いたのは、若手の証券アナリストがいて、儲けさせてもらった取り巻きの人た

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フリーライターはビジネス書を読まない(13)

フリーライターはビジネス書を読まない(13)

場違いでダサい録音機材

ネットで知り合って、リアルに会うこともなく、それでいて文字だけのやり取りでそこそこ親しくなった人との初対面は、不思議な感覚だ。
初めて会うのに、お互いの近況をよく知っている。この感覚は、パソコン通信からインターネットに変わった今も変わらない。

「銀の鈴」で合流して、一応、型通りの挨拶をして名刺を交換した。
「じゃ、行きましょうか」と促され、地下鉄をどう乗り継いだのかさっ

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