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フリーライターはビジネス書を読まない(1)

インターネットが普及する前、パソコンでテキストをやり取りできる通信サービスはパソコン通信だった。
「ホスト」と呼ばれるサービス運営業者のホストコンピューターに、電話回線でアクセスする。

アクセスしてしまえば、中身は、誰もが書き込める掲示板のほか、同じ趣味をもつ者どうしが集まるフォーラム、仲間うちだけでテキストをやり取りしたり、チャットもできた。

今のSNSの原型になったサービスは当時からだいたいそろっていた。


インターネットとの違いは、全てが繋がった世界ではなく、ひとつのホストコンピューターには会員しかアクセスできないこと。たとえば当時すでにホストとして運営していたニフティ(当時の社名はニフティサーブ)の会員は、ニフティが提供する通信サービスしか利用できない。

ほかのホストのサービスを利用したかったら、ホストごとに会員登録をして、利用料金を支払わないといけなかった。


それでもメールやチャットができる利便性は電話やFAXの比ではなく、パソコン通信の会員は急速に増えていった。おそらく1980年代の後半から1990年代の前半あたりが全盛期で、ライターの世界でも原稿を版元に送るのに使い始めたのがこの頃だ。

インターネットが一般にも利用できるようになると、パソコン通信は急速に衰退する。「すべてが繋がる」という利便性に、パソコン通信は勝てなかった。最大手のニフティも、2006年にはパソコン通信サービスを終了して、インターネット接続を行うプロバイダーに特化した。

余談だが、関西で不定期に行われているライターの勉強会でパソコン通信の話を出したところ、30歳代のライターさんたちはすでに「パソコン通信って何?」という状態だった。

前置きが長すぎた。


何を書きたいのかというと、私のライター稼業はパソコン通信の全盛期にスタートしたわけで、そのいきさつと、いかにしてインターネット時代を生きてきたかということ。


パソコン通信がなかったら、私はたぶんライターになれていなかったと思う。

>>つづく

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