【SLAM DUNK GI】123話「なりたいか?なりたくないか?」
夏場の連戦に足踏み状態だったルームショー埼玉の連覇に向けて、河田雅史は兜の緒を締めた。
そしてシーズン終盤戦、連覇に向けての天王山をむかえる。この天王山を勝利したルームショー埼玉は連覇に向けて大きな山を乗り越えた。
〜回想・シーズン開幕前理事会〜
河田雅史を獲得したルームショー埼玉が初優勝を飾り、連覇に向けて2年目のシーズンが開幕する頃、JBAリーグの理事会が開催された。
JBA理事である木暮公延も出席、
数十年前からCBAリーグとJBAリーグの統合問題というのはWIBAから指摘がされていた。
木暮公延、この時24歳の年、プロ志向の理念を賛同しているからこそJBA理事として必死に動いていた。
「日本を代表する河田雅史選手をルームショー埼玉が獲得し、初優勝を果たした昨シーズン、河田選手の去就がとりただされたこの2年間はJBAリーグが注目された年になりました。河田選手がJBAリーグでのプレーを選択したことや、日本代表になれないこと、この2点は統合問題を問題提起するチャンスだと私は考えます。河田選手が海外移籍前にプレーするこの1年をJBAリーグとしても活かすべきなのではないでしょうか?」木暮
木暮は、河田雅史という日本を代表する有望な選手がプレーするこの期間に統合問題を議題にあげるべきだと訴えた。
「いや、この件でCBAはいい顔をしていない。対立を助長するよりこの期間でJBAリーグの知名度やリーグ全体を盛り上げていくことにフォーカスしたほうがいいでしょう。」
「木暮君の言うこともわかるが、わざわざこちらから言わなくてもいいでしょう。」
「しかし昨シーズンデビューした河田雅史、土屋淳なんかは代表に名を連ねていく素材です。選手ファーストで考えるべきではないでしょうか?」木暮
「・・・・木暮君、何度も言うようだが君の言うこともわかる。わかるのだけどね、、、。」
CBAリーグ、JBAリーグ双方の後ろ向きの姿勢はそう簡単には変わらなかった。
〜現在・天王山試合後〜
そして気がつけばシーズンも終盤戦に差し掛かっていた。ルームショー埼玉は連覇に向けて、重要な天王山を戦うこの試合、木暮は会場で観戦していた。
河田雅志の活躍もあり、この重要な一戦を勝利したルームショー埼玉は連覇を確実に手中におさめようとしていた。
「(河田雅史、やはりすごいな。JBAリーグでプレーしてもらえたのはJBAリーグの財産にしなければならないよな。うん。そうだ。)」木暮
木暮は試合の興奮も冷めやらぬまま、JBAリーグの未来を考えながら会場を歩いていると、人にぶつかって転んでしまう。
「あっ すみません。大丈夫ですか?」
手を差し伸べた男は河田雅史だった。
「あっ (河田!)」木暮
「あれっ (この顔!? メガネ!? あの時の?)」河田
河田は、木暮の顔を見るなり、フラッシュバックした。
前半、エース流川楓一時温存の交代要員、そして最終局面、手負いを負った桜木花道の交代要員としてコートに控える姿、
この木暮の姿を見た堂本五郎監督は取りかけたタイムアウトをキャンセルした。
ラストプレーを左右した男とも言える。財産となったこの試合のことを河田はよく覚えていた。
「ありがとうございます。河田選手、統合問題って知っていますか?」木暮
「・・・よくは 知らねえ、、、です。」河田
「そうですか。(選手の意識を変えないと、協会も動いてもらえないのか?)」木暮
「じゃ 行きます。」河田
河田はそう返事をすると歩いていく。
そして木暮は過ぎ行く河田の背中にもう一度、声をかけた。
「JBAリーグ理事の木暮公延と申します。
河田選手、日本代表になりたいですか?」木暮
木暮の声が聞こえた河田は立ち止まり、
背を向けながら木暮に返事をした。
「日本代表、、、。なりたくてなれるもんじゃねえ べ。選ばれてなるもんだべ、、。」河田
そして河田は振り返り、木暮に言った。
「でも、、。なりたいか?なりたくないか?
で言ったら、、、、なりてえべ。」河田
素直な河田の言葉を聞いた木暮は嬉しい気持ちになった。
「河田!!」ありがとう!!」木暮
「久しぶりに見たな。テンション上がったべ。またな。」河田
「えっ??(河田は俺のこと覚えている!?)」木暮
そしてこの後、
ルームショー埼玉を連覇に導いた河田雅史は海を渡った。
※時系列としては第1話とつながります。
続
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