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【SLAM DUNK GI】1話 「再び名役者へ」~プロローグ・木暮公延~

「全ての国際試合、国際大会に日本を出場停止処分とする。」







WIBA(世界バスケット連盟)会長テルノンは非常なる処分を宣言した。

「うっ そんな、、、、若手のいい選手も出てきているのに、、オリンピックも日本で開催されるというのに、、、。」

やりきれない苦悶の表情を見せたのは、JBA(日本バスケット連盟)の理事である木暮公延だった。
しかし木暮は、日本にとって非常宣言であるにも関わらず、WIBAの処分に一定の納得もしていた。

木暮の所属するJBAリーグはセミプロであるもののプロ化に積極的で地域密着に根ざしたリーグである。人気はあるものの、資金不足も抱えプロとしての実力不足も指摘される。資金不足と実力不足の因果関係も無視できないだろう。

もう一つCBA(企業バスケット連盟)リーグが存在している。実業団で構成しており、プロ化に消極的な姿勢を見せている。とはいえ収入面は安定しており実力選手が集まる傾向があった。歴史があり保守的な特徴を持つ。

いくつかのチームがCBAから脱退しJBAを立ち上げた背景から対立する二つの団体。

日本代表にはCBA所属選手にのみ権利があり、JBA所属選手は排除されている。

当然、このことに木暮も納得していないからだ。

「処分撤回の条件はないのか?」

記者の声がとぶ。

「我々はバスケットをリスペクトしている。実力があっても代表選手になれないルール等理解できない。オリンピックも日本で開催されるというのに日本はバスケットをリスペクトしているのか?条件はガバナンスの改善、JBAとCBAの統合。これはもう10年も前から言っていることだ。我々はさらなる高みを目指している。世界大会といった新たな大会の開催も視野に入れている。10カ月だ。それ以上待つことはできない。」

テルノン会長は処分撤回の条件を示した。

「10カ月、、もう10年もまとまらないのに」木暮は下を向いた。

「あきらめたら試合終了、、、、ではなかったのか?」


「えっ!?」

木暮の肩を叩いたのは陵南高校バスケットボール部監督、田岡茂一だった。





「どうしてここに?」

「陵南からも少しずつ日本のバスケ界を担うポテンシャルを秘めた選手を輩出しつつあるからな。関係ない話ではない。いても立ってもいられなくなってな。木暮君、何を全てが終わったような顔をしている?」

「しかし、、10カ月ですよ。」











「いいか、これはピンチではない。チャンスなんだ!短い期間だからこそチャンスだ。10年かけても進展がない話に長い猶予は不要だ。なぁに田岡茂一の脚本は出来上がりつつある。役者が必要だ。木暮君、やってくれるよな?もう田岡茂一の脚本を裏切らないでくれ。」

「えっどういうことですか?」

「いや少し前の話だ。気にしないでくれ。それより、、、」


「なるほど。確かにそれなら、、やってみます!ありがとうございます!」

田岡茂一の脚本を聞いた木暮は決心した。

JBAのいち理事でしかない若者に改革など出来るのか。そうではない、若者の木暮だからこそ出来るはずだと

田岡茂一は笑った。

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