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#恋愛小説が好き
「好きなページはありますか。」クロニクル(時代設定まとめてみた)
ご無沙汰しております。宮崎本大賞実行委員の小宮山剛です。
2023年3月8日の第4回宮崎本大賞発表からはや2ヶ月が経とうとしています・・・。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
○あれから二ヶ月受賞作『三千円の使いかた』のご著者である原田ひ香さんにご来宮いただいての授賞式。ようやく著者さんをお迎えしてのくす玉ぱっかんに、歓喜した宮崎本大賞実行委員一同・・・。
そしてその思い出から時は運ばれ、原田
11.好きなページ、つぎのページ:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集
田園都市線の三軒茶屋駅の階段を上がり地上に出て、モバイル端末で目的地までのルートを呼びだす。サングラス型のインフォメーション・ビジョンに3次元地図がリンクして、住所としては太子堂にあたる地区の目的地まで導いてくれる。
「河野風美さんの平均徒歩速度の場合、美容室『つぎのページ』に到着するまでおよそ4分40秒、かかります」
「さっちゃん、取材までちょっと余裕ある。カフェとか入る?」
「2時の取材
8.わたしたちの一冊、彼女だけの一生:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集
そんな不気味なまでに丁寧な文章で始まる手紙を受け取ったのは、今から6年前の冬だった。冬がいっそう深まるちょうどこの頃、1月の終わりだ。
実際のところその手紙は、かなり不気味だった。わたしが喫茶「ロンリイ」で時間働きをしていたのは手紙を受け取る10年以上も前のことで、たしかにお店でわたしに声をかけてくる男の人はたくさんいたけれど(手紙とか、寮の電話番号とか、いろんな贈り物とかをもらったっけ)、お店
5.彼女の噂、わたしの寒さ:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集
南国なんて言われちゃう宮崎にだって、秋もあれば冬もある。12月になれば室内でもカーディガンやセーターを着るし、最近ずっとテーケツアツ気味なわたしは何を着ていても寒い。
寒い、寒い、寒い。きっともう、わたしの人生はこれからずっと寒いんだ。
「ねぇ、寒くないと?」
この合宿で同室の堀ちゃんに訊いてみるけれど、ウォークマンで聴いている音楽に夢中なのか反応しない。漏れ出る音から『CAN YOU CE