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宮崎本大賞の短編小説集「好きなページはありますか。」

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宮崎本大賞のnote( https://note.com/miyazakibon/ )で公開されているショートストーリー集「好きなページはありますか。」の執筆を小宮山剛が務めてい…
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#恋愛小説

8.わたしたちの一冊、彼女だけの一生:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集

8.わたしたちの一冊、彼女だけの一生:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集

そんな不気味なまでに丁寧な文章で始まる手紙を受け取ったのは、今から6年前の冬だった。冬がいっそう深まるちょうどこの頃、1月の終わりだ。

実際のところその手紙は、かなり不気味だった。わたしが喫茶「ロンリイ」で時間働きをしていたのは手紙を受け取る10年以上も前のことで、たしかにお店でわたしに声をかけてくる男の人はたくさんいたけれど(手紙とか、寮の電話番号とか、いろんな贈り物とかをもらったっけ)、お店

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5.彼女の噂、わたしの寒さ:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集

5.彼女の噂、わたしの寒さ:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集

南国なんて言われちゃう宮崎にだって、秋もあれば冬もある。12月になれば室内でもカーディガンやセーターを着るし、最近ずっとテーケツアツ気味なわたしは何を着ていても寒い。

寒い、寒い、寒い。きっともう、わたしの人生はこれからずっと寒いんだ。

「ねぇ、寒くないと?」

この合宿で同室の堀ちゃんに訊いてみるけれど、ウォークマンで聴いている音楽に夢中なのか反応しない。漏れ出る音から『CAN YOU CE

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2.薄いカーディガン、分厚い双眼鏡:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集

2.薄いカーディガン、分厚い双眼鏡:「好きなページはありますか。」ショートストーリー集

あの日買うことができなかった薄手のカーディガンがそろそろ必要になってきた。

夏休みが終わり2週間が経とうとしている。夕暮れは空を染めるのを焦り、わたし達は急かされるように日々を畳んでいく。みんなが狭い出口に向かって押しかけているみたいな感覚をおぼえながらも「どこか」「何か」に向かわなければならないと言われるがままに日々を処理していく。

それでも、わたしだけの夏はまだ終わっていない。いやむしろ、

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