東京商工リサーチは、5日、2018年度の人手不足関連倒産が前年度比28.6%増の400件となり、13年度に調査を始めて以来、最多だったと発表した。
求人難による倒産が大きく増えた。
一般的に、企業が倒産に至る原因は、業績低下により運用資金が回らなくなり事業継続が困難になった場合、売上は出ているが売上原価や販管費等の資金繰りがうまくいかず負債を抱えてしまう場合、そして人材難による倒産があります。
すべて経営上の問題ではありますが、売上を上げる、資金繰りを考えるといったことは
経営者が第一に考え、数字に対して常に頭を悩ませていることだと思います。
税理士や会計士または経営コンサルといった方に相談や勉強するといったことは多くの会社で行っていると思います。
しかし、人材難による倒産に関するリスクに対してはそれ相応の対応や対策は行われていないように思われます。その結果が上記の数字に表れています。
今回、人材難による倒産はなぜ起こるのか紐解いていきます。
仕事はあるのに、その仕事を遂行してくれる人材がいないため、事業継続が困難になるのが人材難による倒産です。
人手不足倒産の原因としてあげられるのは、
主に3つです。
生産年齢人口の減少
労働内容と賃金の不釣り合い
必要なスキルを有する人材の絶対数不足
1についてですが、
言うまでもないとは思いますが、人口減少、少子化が顕著に表れている中で
15歳〜64歳までの生産年齢人口は、7484万3915人。
(出典:総務省人口動態調査 2018年1月1日時点)
今後ますます減少していきます。
限られた人数をどれだけ確保できるか考えた場合、
大企業に多くの人材が取られてしまい、特徴のない中小企業には人が集まりません。
2についてですが、ブラック企業ような企業です。
特にブラックな印象が強い業界は厳しいです。いくら広告を出しても応募が1件も来ないなんて話はよく聞きますし、やっと採用できたと思ってもすぐに辞めてしまって、全く定着しないのです。
特に、
運送業
ネットショッピングの影響で個人の消費行動がネット販売によって行うようになり、運送会社の負担が大きくなっています。
また、観光バスやツアーバスの事故のニュースをみて分かるように、ドライバーは過重労働の職業であるというイメージが定着しています。
介護・保育
介護士・保育士の仕事は、人と接する大変な仕事にもかかわらず、低賃金な労働を強いられています。社会問題にもなっており、一時期ニュースなどでも取り上げられていましたが、以前改善はされていません。
資格職であるにもかかわらず、低賃金では人材難にならざる負えません。
特に、介護の仕事は3kと言われる過重労働のイメージが強いですし、今後高齢者がどんどん増えていく中で仕事は増えていくにもかかわらず、人材がいないというのは、日本社会の問題になるでしょう。
飲食業
過重労働や長時間労働というイメージを払しょくできない業界です。
年間休日が少なく、拘束時間が長く、働く労働条件が厳しく、
賃金が見合っていないと感じられると離れていってしまいます。
3についてですが、
「後継者問題」
中小企業の寿命は30年と言われています。
これは、創業者が事業を立ち上げ30年たった頃はもう結構な年齢に達し、後継者として引き継いだものが、会社を倒産に追い込んでしまうパターンです。
一般的に、創業者の息子や立ち上げのころから支えてきた社員昇進を繰り返していったパターンが多いです。
ワンマン経営だった企業がいきなり代表権を引き継ぐといった形になり、決断力・決定する力が備わっておらず、倒産してしまうことは多いです。
「従業員の退職」
中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた場合です。
一人の社員が業務の肝となる部分を把握・決定しており、その人がいなくなった時、何も動けないといった場合です。事業存続の危機とまではいかないまでも、引き継いだ者が分からないまま行い、耐え切れず退職する。これが繰り返されて起こり、他の従業員も危険を感じ退職するといった負のスパイラルが起きてしまい、会社の雰囲気も悪くなり悪循環になっていきます。
企業を存続させていくには、『ヒト、モノ、カネ』
が充実していなければなりません。
特に【ヒト】に関しては、軽視しがちです。
ですが、現実問題人材難による倒産は起こっています。『働き方改革関連法案』が施行され、会社を存続させていけるだけの力が備わっているのか試されています。
今後、ますます倒産する企業が増えていくと予想される中でどういった対策を取るべきか、人事面も企業独自の昔ながらのやり方ではなく時代の流れに合わせて変化させて行かなければなりません。