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レビュー等の駄文

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#映画

「犯人はキャス」を見事に証明した傑作『ナイブズ・アウト』

「犯人はキャス」を見事に証明した傑作『ナイブズ・アウト』

(ヘッダ画像は公式サイトから引用)

手短にいきます。早速ですけど自分、正直ミステリーはあんまり好まないんですよ。「犯人は誰だ」とか「ラストに待ち受ける驚きの真相」とかにそこまで興味が持てない体質です。「驚きの真相」なんてのがあるならラストじゃなくて中盤で明かして、その「真相」が登場人物に与えた影響や、その「真相」を受けての登場人物の選択みたいなのを突き詰めたほうがストーリーとして面白くないですか

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『ジョーカー』を今すぐ観ないやつは腰抜け

『ジョーカー』を今すぐ観ないやつは腰抜け

ヤバい。期待と前評判を大幅に上回る大傑作。もう今年ベストはこれで決まりでしょう。これを更に上回る作品が出てきたら自分は多分腰抜かすと思います。スリービルボードとかローマを観たときに感じた「あっこれアカデミー賞決まったな」感(結局どっちも作品賞は取れなかったけど)を何倍にも増幅したア決感に襲われた。興奮が収まらないので興奮のままに書きます。

とにかくどこが凄いのか。自分としては以下の二点が最大のポ

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「The Favourite」(邦題:女王陛下のお気に入り)だらだら感想

「The Favourite」(邦題:女王陛下のお気に入り)だらだら感想

久々に作ってる側が観客の理解を積極的に拒んでくる作品に出くわして困惑。困惑してるんだけど困ったことに面白かったんで、困惑したまま思いついた順に書く。予告編に無駄に盛られたナレーションやテロップや邦題がクソとかそういうのはもう言い飽きたのでそのへんはすっ飛ばす。

スクリーンに展開する表面的な要素だけ見てこの映画を「政治を風刺したコメディ映画」だとか言ってるような映画評論家がいたら、そいつのことは今

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『ファースト・マン』評:空想譚としての月世界旅行

『ファースト・マン』評:空想譚としての月世界旅行

はじめに

2019年2月8日、デイミアン・チャゼル監督の長編商業映画第三作となる『ファースト・マン』が日本国内でも公開された。しかるに、その全貌が明らかとなった本作は、チャゼル監督がそのフォルマリズムの映画作家としての側面を極度に先鋭化させた作品であった(念のために断っておくが、評者には、「フォルマリズム」という用語を特定のイデオロギーに基づいて蔑称として用いる意図は一切ない)。本作の内容がアポ

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貴女は「パッドマン」で新年早々非常識になりなさい

貴女は「パッドマン」で新年早々非常識になりなさい

(画像は公式サイトから引用)

Bloody men! Half hour man bleeding like woman, they straight dying.
(阿呆共! 阿呆が真の女のように血を流せば、30分で死ぬ)
――劇中の台詞より――

ようこそいらっしゃいました。わたくしは日々大量のテキストを執筆していますが誰にも読ませるつもりはありません。ですが、「ザ・ボーイズ」が「プリーチャ

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超シリアスな傑作「アリー/スター誕生」を見逃すな!

超シリアスな傑作「アリー/スター誕生」を見逃すな!

いっつも狂人じみた執筆担当者のテキストばかり公開してるけど、今回の記事は純粋に注意喚起目的の記事なので、要点を簡潔にまとめていきます。

公式に騙されるな!

とか言いつつ結局他の執筆担当者みたいに初っぱなから公式を批判して申し訳ないですけど、皆さんがこの映画を見逃すであろう一番大きな原因が、公式がやってる宣伝方針にあるせいなので、勘弁してください。

「歌って、恋して、傷ついて――私は生まれ変わ

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貴女は「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」で今すぐベニチオ・デル・トロ様に殺されなさい

貴女は「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」で今すぐベニチオ・デル・トロ様に殺されなさい

* 画像は公式サイトより引用

(前回)

ようこそいらっしゃいました。わたくしは日々大量のテキストを執筆していますが誰にも読ませるつもりはありません。ですが、わたくしはつい先程、「あれって『L.A.コンフィデンシャル』で使用済みのネタじゃんwww」などと得意げに吹聴していたファッション腐女子に苛烈な制裁を加えてきたばかりですので、その勢いで今回は特別に貴女に紹介して差し上げることにしました。

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MCUアヴェンジャーズシリーズで一番面白い「WIND RIVER」

MCUアヴェンジャーズシリーズで一番面白い「WIND RIVER」

ようこそいらっしゃいました。わたくしは日々大量のテキストを執筆していますが誰にも読ませるつもりはありません。今回貴女がわたくしの言葉から学ばねばならないのは、マーヴェルシネマティックユニヴァース(以下「MCU」)が、好むと好まざるとにかかわらず現代のエンターテイメントの最先端であるという厳然たる事実です。

少しは勉強なさい

こう言われると途端に機嫌を損ねて「勉強なんかしなくてもあたしは自分のセ

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俺が独断と偏見でラ・ラ・ランドの鑑賞ガイドを語るからおとなしく聞け

俺が独断と偏見でラ・ラ・ランドの鑑賞ガイドを語るからおとなしく聞け

はいどうもー。いやー、ラ・ラ・ランドまじ最高ですよね。最高すぎて俺は公開当時7回劇場で見た。たとえば上のヘッダ画像見てくださいよ。例のミアとセブがチューするのか? するのか? って引っ張るシーン。なんか不安そうなセブに対してミアが自信満々で煽ってるみたいな二人の表情から、表面的な甘い恋愛ものみたいなやつを超えたドス黒い側面がちらっと見えてるし。そういうのを、構図やライティングやどういうレンズを使っ

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真の女が貴女をマットに打ち据える「ダンガル」

真の女が貴女をマットに打ち据える「ダンガル」

(承前)

ようこそいらっしゃいました。わたくしは日々大量のテキストを執筆していますが誰にも読ませるつもりはありません。今回わたくしが紹介するのは、この2018年のゴールデンウイークに貴女が鑑賞すべき唯一の映画「ダンガル」です。

ただし、わたくしが紹介に入る前に一言断っておくことがあります。

公式サイトのリンクを貼るつもりはありません

この記事の冒頭に掲げた画像を今一度よく御覧なさい。「ダン

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貴女は「シェイプ・オブ・ウォーター」で今すぐ R・E・A・L な世界に復帰なさい

貴女は「シェイプ・オブ・ウォーター」で今すぐ R・E・A・L な世界に復帰なさい

(承前)

ようこそいらっしゃいました。わたくしは日々大量のテキストを執筆していますが、真の女の中の女のための映画「シェイプ・オブ・ウォーター」にハリウッドの阿呆共が何か大きい賞を偉そうに与えた後になってこのわたくしがレビューを公開するなどという振る舞いに及ぶことは到底わたくしの真の女としてのプライドの許すところではありません。そのため、わたくしは鑑賞後居ても立っても居られなくなり急遽ワープ9速度

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貴女は「ブレードランナー2049」で今すぐオフメキシコを開拓なさい

貴女は「ブレードランナー2049」で今すぐオフメキシコを開拓なさい

" I saw a miracle delivered. "

(本編中のとある人物の台詞からの引用)

ようこそいらっしゃいました。わたくしは毎日大量のテキストを執筆していますが誰にも読ませるつもりはありません。しかし、阿呆共とファッション腐女子が溢れかえるこの世界に傑作「ブレードランナー2049」が生まれたにもかかわらず、これが真の女の中の女のための映画であるという事実が隠蔽されていることを知

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「ムーンライト」がマイノリティ物だと思ってたら「ニンジャ・サルベイション」だった件

「ムーンライト」がマイノリティ物だと思ってたら「ニンジャ・サルベイション」だった件

いきなり関係ない話で恐縮ですが、記事の末尾についてる星カウンタ、あれの数字をクリックしたら星押下者がだれなのか表示されるシステムだということを今日初めて知りました。ありがたいことでございます。私の駄文にコメントを寄せて下さる人までいらっしゃることを知り、正直感激がありました。星押下してくださったのは専らニンジャヘッズの皆さんのようですので、私の趣味と独断による糞みたいな長文以外にも、ヘッズ向きにサ

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【緊急警報】今すぐ「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観に行け!ネタばれ解説は読まずに今すぐにだ!

【緊急警報】今すぐ「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観に行け!ネタばれ解説は読まずに今すぐにだ!

はじめにお断りしておきます。

1 今回は純粋なレビュー文です

2 マジのガチで「ゴースト・イン・ザ・シェル」を大絶賛する趣旨です

3 どうしても広く知ってほしいので、無関係なタグを意図的につけました。ごめんなさい

4 私と同じ感想を持った人がいらっしゃいましたら、どうかこのレビューを拡散してください

以下、本文です。

見えてる地雷を踏むつもりで行け!絶対報われる!正直、鑑賞前は、例の予

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