那智タケシ

作家。無我表現研究会代表。 著作に『悟り系で行こう』(明窓出版)『二十一世紀の諸法無我…

那智タケシ

作家。無我表現研究会代表。 著作に『悟り系で行こう』(明窓出版)『二十一世紀の諸法無我』(ナチュラルスピリット) 『クリシュナムルティ解読』(KDP) ここではメルマガやブログに掲載した「悟り系エッセイ」「短編小説」などをブラッシュアップして載せていく予定です。

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記事一覧

レイキ師範との対話  

 先月の話だが、仕事で大阪に行き、とあるレイキヒーラーから施術を受けた。レイキを受けに行ったのではなく、とあるレイキ師範の人の本を作るお手伝いの仕事で行ったのだ…

那智タケシ
2週間前
22

自己肯定と自己否定の先にあるもの

先日、行きつけのフリー雀荘の近くにある24時間営業のファミレスにいた時の話である。夜昼逆転してしまった自分は、ノートPCを担いで0時を回った時刻に入ると、「これか…

那智タケシ
1か月前
71

道元禅の創造性

◇書評   道元禅の創造性   『正法眼蔵入門』賴住光子著(角川ソフィア文庫)   最近、仏教関連の本を主に電子書籍で読んだりしている。そのほとんどが伝統的ではあるも…

那智タケシ
2か月前
69

ゴーストライター取材の極意

先日、仕事で少々厄介な人物に会った。幼少時から母親に壮絶な虐待を受けてきた30代の女性で、若くして癌になったり、様々な苦労の末に結婚し、子供を生んで育てているとい…

那智タケシ
2か月前
80

タルコフスキー作品の創造的流れとCGについて

昨年末から海外のボクシング目当てでWOWOWに再加入したが、民放のテレビがあまりにつまらないので、ついこちらを点けている。流れているのは大体アメリカの映画で、C…

那智タケシ
2か月前
64

物語なき世界における愛の可能性:『桐島、部活やめるってよ』

◇レビュー   物語なき世界における愛の可能性    映画『桐島、部活やめるってよ』吉田大八監督 2012年    レンタルビデオ屋で何気なく借りたDVD(2013年当時)だ…

那智タケシ
2か月前
53

霊的女優・イレーヌ・ジャコブ論

 《無我的観照》   霊的女優・イレーヌ・ジャコブ論   『トリコロール/赤の愛』クシシュトフ・キェシロフスキ監督   イレーヌ・ジャコブというフランスの女優をご存知…

那智タケシ
2か月前
50

事物(もの)としての芸術――ライナー・マリア・リルケ

リルケのことを想うとき、この詩人がいかに「私心なく」事物(もの)の中に傾倒し、その秘密を探し当て、繊細で、誠実な言葉を使いこなしたかという事実に憧憬と限りのない…

那智タケシ
3か月前
62

我々はみな、「裸の神」である 

「あるがままのあなたでいいのですよ」   こんなフレーズがスピリチュアルな業界ではよく使われているが、何だかどうしようもない「我」を自己肯定している言葉のようで、…

那智タケシ
3か月前
36

「遠野物語」と「新約聖書」に見る“裸の神”の表現

「国内の山村にして遠野よりさらに深き所にはまた無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。この書のごときは陳勝呉広(ちんしょうごこう…

那智タケシ
3か月前
59

◆対談 狙うは“メッシ(滅私)”効果?

2012年6月10日 新富士駅内の喫茶店にて  狙うは“メッシ(滅私)”効果?  那智タケシ(ライター)×松本成悟(農家)  ●ドストエフスキーになろうとする人はいな…

那智タケシ
3か月前
50

短編小説 誰一人欠けることなく

例外者たちシリーズ5       誰一人欠けることなく                                                  1 弥勒…

那智タケシ
3か月前
56

短編小説 芹姫(せりひめ)

例外者たちシリーズ4      芹姫       1 野心    数年前、私が、とある精神世界系の出版社の仕事をした時の話である。その都内にある小さな出版社の名前を聞…

那智タケシ
3か月前
47

◆対談 身心脱落体験

2011年11月12日 虎ノ門 某事務所にて   那智タケシ(作家・無我研代表)×高橋ヒロヤス(弁護士・翻訳家)   ●30年間苦しんだ病が治る    高 ところで、那智さんの…

那智タケシ
3か月前
55

自己浄化の方法と身心脱落について

肉体的、及び心理的傷みとは何のためにあるのか? どうやったらそれは一人の人間から消えうせるのか? この大問題に対して、とある体験から一つの出口を見出したので、も…

那智タケシ
3か月前
82

短編小説 超人K

例外者たちシリーズ3    超人K    私がK君と遊んでいたのは、もう七、八年前のことになるだろうか。我々は無職の雀ゴロ(麻雀だけで暮らす人でなし)で、平日、休日…

那智タケシ
4か月前
50
レイキ師範との対話  

レイキ師範との対話  

 先月の話だが、仕事で大阪に行き、とあるレイキヒーラーから施術を受けた。レイキを受けに行ったのではなく、とあるレイキ師範の人の本を作るお手伝いの仕事で行ったのだが(この人は、今はヒーラーというよりも協会で講師のような仕事をメインにしている)、話を聞くだけではなく体験もさせてもらったのだ。
 
 ちなみに、ぼくは編集者から「瞑想とかもしているスピリチュアル系にも強いライター」という怪しげな触れ込みで

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自己肯定と自己否定の先にあるもの

自己肯定と自己否定の先にあるもの

先日、行きつけのフリー雀荘の近くにある24時間営業のファミレスにいた時の話である。夜昼逆転してしまった自分は、ノートPCを担いで0時を回った時刻に入ると、「これから数時間仕事して、飽きたら雀荘に行こう」などと不埒なことを考えながら、隅の方の席で何やらやっていた。すると、近くの席にいた若い男女(カップルか友人かはわからない)の話が耳に入ってきた。
 
「今さ、人生にも仕事にも何一つ不満はないし、本当

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道元禅の創造性

道元禅の創造性

◇書評
 
道元禅の創造性
 
『正法眼蔵入門』賴住光子著(角川ソフィア文庫)
 
最近、仏教関連の本を主に電子書籍で読んだりしている。そのほとんどが伝統的ではあるものの定型だったり、浅薄だったり、折衷主義的で曖昧だったり……あまりこれと言ったものには出会えていないが、本書は道元禅の独自性を学者の立場からきわめてニュートラルに、かつ斬新な視点で明晰に捉えて表現した良著だった。

ここで特に問題にさ

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ゴーストライター取材の極意

ゴーストライター取材の極意

先日、仕事で少々厄介な人物に会った。幼少時から母親に壮絶な虐待を受けてきた30代の女性で、若くして癌になったり、様々な苦労の末に結婚し、子供を生んで育てているという。その半生記を自費出版で本にするにあたってゴーストライターに任せることになり、私に声がかかったわけだが、「そのライターに任せるかは、会ってから判断する」などと言っているらしい。
 
自費出版系のゴーストの仕事では、こういうケースは実は、

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タルコフスキー作品の創造的流れとCGについて

タルコフスキー作品の創造的流れとCGについて

昨年末から海外のボクシング目当てでWOWOWに再加入したが、民放のテレビがあまりにつまらないので、ついこちらを点けている。流れているのは大体アメリカの映画で、CG満載の派手なSFやアクションが主体である。
 
最初は面白がって観ていたが、ずっとそんな作品ばかりを観ているとCGも食傷気味になってくる。いくらよく出来ていても、やはりCGはCGであり、作り物なのだ。つまり、デジタルだなぁ、と思ってしまう

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物語なき世界における愛の可能性:『桐島、部活やめるってよ』

物語なき世界における愛の可能性:『桐島、部活やめるってよ』

◇レビュー
 
物語なき世界における愛の可能性 
 
映画『桐島、部活やめるってよ』吉田大八監督 2012年 
 
レンタルビデオ屋で何気なく借りたDVD(2013年当時)だったが、久々に映画的カタルシスを味わうことができた。正直、現代の商業主義に毒された映画業界で、これほどの作品に出会えるとは思ってもみなかった。ありがちな青春映画だろう、などと油断していたので、ふいを突かれて驚愕したほどである。

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霊的女優・イレーヌ・ジャコブ論

霊的女優・イレーヌ・ジャコブ論

 《無我的観照》
 
霊的女優・イレーヌ・ジャコブ論
 
『トリコロール/赤の愛』クシシュトフ・キェシロフスキ監督
 
イレーヌ・ジャコブというフランスの女優をご存知だろうか。クシシュトフ・キェシロフスキ監督の『二人のベロニカ』や、『トリコロール/赤の愛』といったアーティスティックな映画を見たことのある方なら、「ああ、あのちょっと童顔のぼんやりした雰囲気の美人女優さんね」というイメージくらいはある

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事物(もの)としての芸術――ライナー・マリア・リルケ

事物(もの)としての芸術――ライナー・マリア・リルケ

リルケのことを想うとき、この詩人がいかに「私心なく」事物(もの)の中に傾倒し、その秘密を探し当て、繊細で、誠実な言葉を使いこなしたかという事実に憧憬と限りのない親愛を覚えずにはいられない。
 
その異様なまでの繊細さは、ともすると“少女趣味”と受け取られかねないような儚さ、弱さを持っているように見える。
 
「薔薇の棘が指に刺さって死んだ詩人」のイメージから、我々は未だ抜け切ることができない。この

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我々はみな、「裸の神」である 

我々はみな、「裸の神」である 

「あるがままのあなたでいいのですよ」
 
こんなフレーズがスピリチュアルな業界ではよく使われているが、何だかどうしようもない「我」を自己肯定している言葉のようで、好きになれないし、生理的に受け付けない。
 
「あるがまま」というのは、文字通り「あるがままの自分」のことである。
 
自分について省みると、短気で怒りっぽく、冷淡でプライド高く、ギャンブル中毒で、小理屈を言い、中身が伴っていない文学趣味

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「遠野物語」と「新約聖書」に見る“裸の神”の表現

「遠野物語」と「新約聖書」に見る“裸の神”の表現

「国内の山村にして遠野よりさらに深き所にはまた無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。この書のごときは陳勝呉広(ちんしょうごこう)のみ」
 
有名な、「遠野物語」の冒頭の中の一文である。

「平地人を戦慄せしめよ」

このフレーズは一度聞いたら忘れられないが、そこには柳田国男の民俗学の源流にもなったこの不思議な書物への絶対的自信、信頼を感じることができる。
 
最近

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◆対談 狙うは“メッシ(滅私)”効果?

◆対談 狙うは“メッシ(滅私)”効果?

2012年6月10日 新富士駅内の喫茶店にて

 狙うは“メッシ(滅私)”効果?

 那智タケシ(ライター)×松本成悟(農家)

 ●ドストエフスキーになろうとする人はいない

那 松本さんは農業をいつくらいからやられていたんですか?

松 親がやっていたんですが、ぼくは昔は勤めていたんですよ。十年くらい前から農業をついでいます。

那 どんなものを作られているんですか?

松 お米と桃です。

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短編小説 誰一人欠けることなく

短編小説 誰一人欠けることなく

例外者たちシリーズ5     

 誰一人欠けることなく          
                                  
    1 弥勒様

 先日、仕事でO県に行き、M教の信者と三日間ほど付き合った時の話である。

 出版業界の底辺に棲息している私は、いつしか自分でも望まぬままにゴーストライター家業をして生計を立てるようになっていたのだが、必然、様々な人種と会うことに

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短編小説 芹姫(せりひめ)

短編小説 芹姫(せりひめ)

例外者たちシリーズ4
 
   芹姫
 
    1 野心
 
 数年前、私が、とある精神世界系の出版社の仕事をした時の話である。その都内にある小さな出版社の名前を聞いても、ほとんどの者が知らないだろう。主に自費出版を扱うその会社の社員は僅かに二人。疲れた顔をした六十代くらいの社長とその右腕らしい、無精ひげを生やした年齢不詳の青年とも中年ともつかぬ薄汚れた男がいるばかりで、「スピリチュアル」な業界

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◆対談 身心脱落体験

◆対談 身心脱落体験

2011年11月12日 虎ノ門 某事務所にて
 
那智タケシ(作家・無我研代表)×高橋ヒロヤス(弁護士・翻訳家)
 
●30年間苦しんだ病が治る
 
 高 ところで、那智さんの肉体的な病気というのは、身心脱落の体験で解決しちゃったんですか?
 那 不思議なものですよね、消えたんですよ。ただ心身の状態が最悪の時は少しぶり返すこともあります。何か大きなストレスを受けていたり、ひどく疲れていたりね。とこ

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自己浄化の方法と身心脱落について

自己浄化の方法と身心脱落について

肉体的、及び心理的傷みとは何のためにあるのか? どうやったらそれは一人の人間から消えうせるのか? この大問題に対して、とある体験から一つの出口を見出したので、もしも肉体的病、及び極度の精神的苦悩がある方は参照にされたい。ただし、これは個人的な一例に過ぎないことを先に明記しておく。(2011年8月末のレポート)
 
●肉体的病の浄化について 
 
自分は幼少期から30年間、ある慢性的病(呼吸器系の病

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短編小説 超人K

短編小説 超人K

例外者たちシリーズ3
 
 超人K
 
 私がK君と遊んでいたのは、もう七、八年前のことになるだろうか。我々は無職の雀ゴロ(麻雀だけで暮らす人でなし)で、平日、休日問わず昼間っからいつもフリー雀荘に入り浸り、二人で打ち合っていたものだ。もちろん、お互いにつぶし合いは避けて、獲れるところからとっていたわけだが。
 
 当時のK君と私の境遇は、瓜二つと言ってよいほどのものだった。いや、外見から経歴、性

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