『女子高生に殺されたい』見た直後の雑記
MOVIX三郷で城定秀夫監督・脚本作品『女子高生に殺されたい』を見てきました。
序盤こそとっかかりにくさはあれど、田中圭が演じる高校教師・東山春人の異常性、フェチズムの動機から用意周到な作戦からの後半の惨劇と、舞台にしたニ高高校の高校生の生々しさ、それと大島優子が演じた心理カウンセラーの深川五月による心理・精神科医系のキャラによるほんのりなノワールのニオイもあってかなり楽しめました。
アキ・カウリスマキの『コントラクト・キラー』やアッバス・キアロスタミの『桜桃の味』という自殺願望・自殺志願者の映画はあるが、他殺願望というのは新しい。しかしながらよく考えてみると、『桜桃の味』の主人公とやっていることが逆で、そこに“女子高生”というこだわりにロリータ、フェチズム、変態性が加わる。
序盤はこの他殺願望という感覚がいまいち理解出来ないというのと、基本は淡々とした高校生・学園生活ものなので、タイトルのわりには地味な立ち上がり。
それでも春人の願望である「女子高生に殺されたい」というオートアサシノフィリアとニ鷹高校の学園生活がどうリンクするのかが見どころで、これを女子高生4人のキャラと春人のインターン時代の出来事を交互に見せることで丹念に練り上げた。
中でも春人が目星をつける女子高生・佐々木真帆、内気な小杉あおい、柔道少女の沢木愛佳、あと君島京子の4人のキャラクターの特性が分かるに連れて、春人の「女子高生に殺されたい」というクライムサスペンスが色濃くなる。
加えて佐々木真帆と小杉あおいに関しては詳しくはネタバレだから書けないけどサイコ要素というか精神・心理が絡む。佐々木真帆のは若干「ホンマかいな?」というのはあるけど……ぎりぎりの線で、そこが面白くもあり、巧妙。
この二人はシャマラン映画的な要素…………がネタバレギリギリかな(笑)。
大島優子が演じる五月も心理カウンセラーというか精神科医なんだけど、研修医から正規の医師になった、ばかり感があって、その危うさも良かった。ただ、春人との関係が曖昧というかちょっと雑さも見えたかな。
終盤の攻防、惨劇、結末は原作があるとは言え見事な畳み掛けだった。
終わってみれば、『桜桃の味』の逆位置から、心理・精神学的なものの絡みはヒッチコック、女子高生らのはシャマラン的、で高校生学園ものとしてはリアリズムという、新感覚なサスペンスだったね。