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シン映画日記『それいけ!ゲートボールさくら組』

MOVIXさいたまにて、藤竜也主演映画『それいけ!ゲートボールさくら組』を見てきた。

『龍三と七人の子分たち』の81歳の藤竜也を主演にしたゲートボールを題材にしたスポーツコメディ映画。
ポスターやフライヤーから藤竜也や石倉三郎をメインとしたシニア世代が目立つビジュアルからいかにも高齢者向けな雰囲気が漂う藤竜也主演映画『それいけ!ゲートボールさくら組』。蓋を開けると、確かにお年寄り特有のものはあるが、オーソドックスなスポーツコメディ映画になっていて、高齢者だけでなく、若い世代が見てもかなり楽しめる。

主人公の織田桃次郎はカレー専門店を経営しながら悠悠自適な生活を送っていたが、ある日、お店に高校時代の同級生木下サクラと再会し、サクラが経営する「桜ハウス」を助けるために、かつての高校時代の同級生を集めることに。

まず、脚本の流れがしっかりとしている。最初から題材であるゲートボールを出さずに、主人公らの高校時代の同級生の集結からデイサービス施設の「桜ハウス」の経営難、そこでこの経営難を切り抜けるためにあらゆるアイデアを出して辿り着く流れが実にナチュラル。

そのゲートボールも一から始めて、高校のゲートボール部にいる亡くなった友達の孫娘を指南役にして、徐々に上達しながら、「桜ハウス」の経営危機に関わるライバル施設「漆黒の杜」もゲートボールチームを作ってしっかりと強豪ライバルとして立ちはだかるなど、まるでスポ根漫画のような流れを上手く展開している。

そこに認知症や息子・娘夫婦との断絶や息子の引きこもりなど高齢者にありそうな問題を詰め込みつつ、経営が傾いた「桜ハウス」の再建とゲートボールチーム「さくら組」の成長、暗躍するライバル施設・企業などを群像的に、コミカルにまとめている。

主人公・桃次郎を演じた藤竜也の活躍もさることながら、かつての名バイプレーヤーの石倉三郎の相変わらずの健在ぶりや、「ウルトラセブン」のモロボシ・ダン役で有名な森次晃嗣やちょっと老けた小倉一郎など数々のバイプレーヤーらの味を引き立てる映画にもなっている。

随所に演技が固く、舞台劇みたいな部分もあるがそこはサラッとながせばわりと楽しめるスポーツコメディ。藤竜也や石倉三郎らのゲートボールでの奮闘ぶりを楽しんでもらいたい。

 

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