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シン映画日記『妖怪の孫』

MOVIXさいたまにてドキュメンタリー映画『妖怪の孫』を見てきた。

ここで言う“妖怪”は1957年から1960年まで第56・57代内閣総理大臣を務めた岸信介で、本作はその岸信介の孫に当たる2022年7月8日に亡くなった第90・96代内閣総理大臣を務めた安倍晋三のバイオグラフィーを振り返り、そこから現代の日本に残された問題を示唆し、問いかける社会派ドキュメンタリー。

本作は2022年9月27日に行われた故・安倍晋三の国葬の様子を映し、そこから第二次安倍内閣の政権運営と問題点を、さらに2010年のあたりからの民主党政権下における自民党の政党運営方法や安倍晋三の立ち回りを主に第二次安倍政権の様子、そこから安倍晋三の生い立ち、その元に当たる岸信介という人物の解説から、今の岸田政権下に残され問題になりつつある部分を取り上げる。

わりと順序立てて安倍晋三の人となりや安倍政権・自民党の本質を見る者に分かりやすく伝えてはいるが、頑張って調べれば知り得る情報が多いため、ドキュメンタリーを見ての新たな衝撃や新鮮味は薄い。
ただ、岸信介から続き、第二次安倍内閣で顕著に表れ、安倍晋三の死因にも繋がる特定の宗教に対する問題はしっかりと示してはいるので、反対派や無党派、それと政治に関心が薄い層の観客には少なからずとも爪痕は残している。

しかしながら、本作で取り上げた第二次安倍内閣での問題点はごく一部という印象しかない。森友学園問題や桜を見る会に関する問題などもう少し深掘りして取り上げてもいい気はしたが、作品としてのバランスを保つためにあえて省いたのであろう。このためドキュメンタリー映画としてはややマイルドな作りになっている。

あくまでも安倍晋三をおおよそで振り返る映画としては悪くないが刺激、衝撃は薄味。


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