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「BSDカーネルの設計と実装―FreeBSD詳解」訳者まえがき
この本は、これからオペレーティングシステムを勉強する若い人達はもちろんのことだが、個人的には「俺は UNIX にはちょっとうるさいぞ」という少し現役を離れた30台後半以降の世代にも読んでもらいたいと思う。この十何年かの間に BSD の世界に起こった変化を知れば少なからず驚くはずだ。たとえば、実行の単位はプロセスではなく完全にスレッドになっていて、スワップ領域がなくてもプロセスは fork できてし
もっとみる[Kevin Mitnic]
元記事
2006年の5月に来日した Kevin Mitnic の話を聞く機会があった。印象としては、随分まともな話をするなあという感じだ。普通のセキュリティ系IT企業の人の話を聞いているような気がした。印象に残っているのは、メーカーに電話して携帯電話のファームウェアのソースコードを手に入れることができたというエピソードだろうか。最後は、騙された担当者がファイルを送ろうとした通信が企業のファイアウ
[Connectathon]
Connectathon
1986年の春に、出張で当時マウンテンビューにあった Sun Microsystems を訪れた。僕にとっては初めての海外旅行。1週間ほど滞在して、レクチャーを受けた。他の同行者は英語ができるけど、僕は外国人と話すのが初めてという状態でえらい苦労した。一旦戻り、秋から年明けまで研修目的で長期滞在したのだが、実際には新しいOSへの移植作業を手伝わされた。Connectat
ハッカーを読め (7/7) 『銀河ヒッチハイクガイド』
ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイクガイド』本当はここでやめようと思ったのだが、やはりどうしても最後に「銀河ヒッチハイクガイド」を挙げておきたい。ハッカーもプログラマも登場はしないが、ハッカーに絶大な人気を博していると思われるからだ。著者はアップルマスターでもあったダグラス・アダムス。
今から20年前の1986年、シリコンバレーに長期滞在している最中に Connectathon という NFS
ハッカーを読め (6/7) 『ソフトウェア』
ルーディ・ラッカー『ソフトウェア』ラッカー作品をもう1つ。読んだのは「ハッカーと蟻」が先だったが、最初に買ったのは実はこっちだった。当時ラッカーのことは知らなかったが「ソフトウェア」というタイトルの本が早川文庫の棚に並んでいれば、プログラマとしては買わないわけにはいかないでしょう。ところが、そのまま読まずにしまい込んであって、蟻を読んでから昔買ってあったことを思い出した。熱烈なファンも多い黒丸訳だ
もっとみるハッカーを読め (5/7) 『ハッカーと蟻』
ルーディ・ラッカー『ハッカーと蟻』ルーディ・ラッカーは作者自身がプログラマでありハッカーであり、元々は博士号を持つ数学者で今はサイバーパンクSFの旗手、ついでに大学でプログラミングを教えていて、実は哲学者ヘーゲルの子孫ときているので、その存在自体が琴線にビリビリ触れまくりの作家なのである。はじめて読んだラッカーの著作が本作品で、他の作品は古本屋を駆け回って手に入れた。
この作品の主人公はシリコン
ハッカーを読め (4/7) 『パンプルムース氏対ハッカー』
マイケル・ボンド『パンプルムース氏対ハッカー』マイケル・ボンドという名前を知らなくても、あの「くまのパディントン」の作者と言えばわかるだろう。パンプルムース氏シリーズは、元刑事で現在はグルメ情報誌の覆面調査員である主人公が愛犬ポムフリットと活躍する大人向けのミステリ小説。本書はその6作目なので、これを読むためだけそれまでの5冊を読まねばならなかった。ちなみに、パンプルムースはフランス語でグレープフ
もっとみるハッカーを読め (2/7) 『検屍官』
パトリシア・コーンウェル『検屍官』パトリシア・コーンウェルの経歴には、必ず元プログラマと書いてある。変にきどってシステムエンジニアとか言わないところに好感が持てるのだ。バージニア州の検屍局でコンピュータプログラマをしていた時の経験を元にして、この作品からはじまる検屍官シリーズを書きはじめたということだ。その前には、新聞社で警察担当記者をしていたらしいが、新聞記者からプログラマへの転身というのも面白
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