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聖書と信

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聖書はひとを生かすもの、という思いこみだけで、お薦めします。信仰というと引かれそうですが、信頼などの信として、ひとや世界を大切にする思いが、少しでも重なったらステキだな、と思いつ…
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2021年11月の記事一覧

矛盾を超えて

矛盾を超えて

聖書には、矛盾することがたくさん書かれている。無理もない。たとえ霊的な著者は神でありひとりであったとしても、地上での書き手は様々な人物であり、時代も環境も異なるライターである。その理解や個性に合わせて綴ったとなると、辻褄の合わない事柄はいくらでも出てくることだろう。
 
対立する考え方や命令などがあるとき、私たちはどちらを取ればよいのだろうか。パウロは、行いよりも信仰と書いているが、ヤコブは信仰よ

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『詩編をよむために』(日本聖書協会)

『詩編をよむために』(日本聖書協会)

タイトルには実は「聖書協会共同訳」という文字が目立つように掲げられている。新しい聖書は、2018年に発行されたが、必ずしも販売が芳しくない。そのための販売促進の道のひとつでもあるだろうが、これまで、新しい翻訳はこんなところに工夫をしている、といったタイプのものが非常に多かったのに対して、2021年の秋となり、今回はソフトに立ち回ったような印象を与える。
 
いささか意地悪いところから入ったが、私は

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それはわたしのことだ

それはわたしのことだ

小学生の国語の授業で、ある文章を読み解くことがあった。小学校のクラスで、互いにプレゼント交換をすることになり、それぞれ手作りのものを提出し、皆に配った。先生は、それを心をこめてつくったものを受け取ることを学ぶ機会としたかったのだが、うち一人が、あまりに雑なものに下手な絵が施されているものを、「これはひどすぎます」と皆に見せた。すると、クラスの皆が大笑いをした。それを作った当人が発覚する場面が続くの

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「リスペクト」

「リスペクト」

ミュージシャンの生涯を描く映画が目立ってきた。ついにはこのたびセリーヌ・ディオンの半生までが映画となったが、少し前に「ボヘミアン・ラプソディ」がクイーンを、フレディ・マーキュリーを中心に描いた。その制作の年、シンガーとして全米で1位にも選ばれたことがある歌手・アレサ・フランクリンが亡くなった。アレサのための映画の計画は前からあったが、アレサ自身、アレサ役にはジェニファー・ハドソンを指名していたのだ

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福音を語るために不可欠な一点

福音を語るために不可欠な一点

人間的な欠点をとやかく言う必要はない。福音を公的に語る者も、ひとりの人間であり、様々な側面をもつはずである。だが、これなしではそういう立場に就くことはできない、という決定的な何かがあることを、私は認める。
 
キリスト教の信徒として生きること、その場でキリストを伝えること、そこには不思議な導きというものがあって、当人がたとえば捨て鉢のようにしていたとしても、聖霊は豊かに働くことがあって、不思議な救

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罪と赦しと救い

罪と赦しと救い

なんでもひとのせいにする、という性格の人、身近にいないだろうか。それとも自分自身がそうであるといま気づいた方がいらしたら、きつい言い方に聞こえるかもしれず、ご勘弁戴きたい。
 
そこまでいかなくても、自分が他人から迷惑を受けたときには、他人が極悪非道なことをしたかのように表現する、そんな人もいる。その人は逆に、自分が他人に対して迷惑なことをした場合には、実に軽く見るものである。たとえ犯罪でも、やん

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一切関係がありません

一切関係がありません

トイレの香りみたい。
いやいや、それは本物のキンモクセイだってば。
 
確かに、あるある。ぬいぐるみみたいに可愛い。
いや違う、本物があってこそのぬいぐるみのはず。
 
本当にあったのか、「教会でもクリスマスをするんですね」という逸話が語られることがある。これはどうやら、三遊亭円右の「クリスマス」という落語で広まったネタであるらしい。子どもたちが歩きながらそんな会話をする場面が最初のほうで出てくる

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「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

パウロは、イエスに出会ったあの回心以前、愛を知っていただろうか。
 
テレビ放映された「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の特別編終版を観た。福岡では放送されなかったテレビ版の一部をコンパクトにまとめたものである。
 
これの劇場版は、京都アニメーション放火殺人事件により上映が難しいとされていたが、事件50日後に、スタッフの生きた証しとして3週間限定で上映されている。事件の前日に完成したという、そ

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