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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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#正義

いま医療従事者に対して

いま医療従事者に対して

医療現場が機能不全になり始めた。重い病気と同じで、症状が出てきたら、もはや手の施しようがない、という場合がある。病状が表に出ないうちに手を打つのでなければ、助かるものも助からなくなるかもしれない。
 
だから、そうならないうちに対応しなければならなかった、という点では、政治的な方策が万全ではなかったことは確かである。しかし政治的な場面では、経済との板挟みがあり、経済を動かすために、病気への対応を万

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正義と芸術

正義と芸術

ロシア軍によるウクライナへの侵攻は深刻だ。傍らから眺めるようで申し訳ないが、ここからは祈るしかない。
 
だが、それに関して、「私たち」にとり、意識すべきことがある。それは、ひとつの意見や考えだけが正義のように見えてくるという危険である。緊迫した事態は、白か黒かの選択を自らしがちであり、また、他人にもそれを強いることになる。反対意見を言えない情況をつくりだす可能性が高い。いわゆる同調圧力と呼ぶべき

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『群衆心理』

『群衆心理』

(ギュスターヴ・ル・ボン/100分de名著2021年9月放送テキスト)
 
邦訳だがすでに関心をもって新しい訳のものを読んでいた。それは私の中に大きな位置を占めた本となった。百年以上も前に指摘されたことが、私の常々考えていることに大きく重なってきたからだ。当時の社会慣習や背景と今はもうずいぶん変わっている。もはや古典として、そのままでは使えないかもしれない社会心理の指摘ではあるが、私は今だからこそ

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ただ非難だけをする前に

ただ非難だけをする前に

出入国在留管理局において死亡事故があったことで、いまもなお議論が続いている。当然これは問題であり、蔑ろにしてはならない。
 
だが、これに乗じてか、出入国在留管理局が悪の権化であるかのように一方的に非難する人が、一部だがいることは非常に残念である。
 
仕事の上でのミスや勘違い、至らぬ点があることは軽視してはならないが、さも管理局がけしからん存在であるかのように叫んだり、それに近い言い方で(世論と

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悲しい思いを綴りながら

悲しい思いを綴りながら

会えないひと。人と人との間にどうしても距離を置かなければならなくなったこの1年。行くべきところにもなかなか行けない。けれどもこれは、分断ではなかった。離れてもつながる思いは確かにあった。オリンピック開会式での赤いロープのダンスは、手をつなげなくてもつながる人との関係をも表していた。
 
リモートでは辛いという場面もある。しかし、リモートでもつながりを感じられるケースもあった。直に人と会うこと、接す

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竜とそばかすの姫

竜とそばかすの姫

映画「竜とそばかすの姫」を見た。有名になった作品への奇妙な称賛と、その逆のこきおろしなどに関わるのはごめんなので、制作者には失礼かもしれないが、非常に個人的な視点からのみ、少し触れる。「少し」というのは、いわゆるネタバレを起こしてはいけないということを意味する。
 
ヒロインの、バーチャル空間での名は「ベル」である。これで「ベルと竜」が私の頭に思い浮かばないはずがない。ヒロインの名を知ったときに、

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