記事一覧
「アメリカ美術の30年」。
『カール・アンドレ 彫刻と詩 その間』展(DIC川村記念美術館)を観てきた。ここを訪れるのはサイ・トゥオンブリー展以来か、美術館入口脇のフランク・ステラの屋外作品は、錆がきて苔も侵食し始め、凄みを増していた。館内ではアンドレと同郷でひとつ違い、スタジオを共有していたこともあるというステラのコレクションとアンドレの作品を一室に収めた企画展示も行われていた。
カール・アンドレの作品を初めて観たのは今
ちょっと長めの囀り、あるいは食卓の上の小さな混沌(by四方田犬彦氏)。
知人のFacebookにこんな投稿をした。
「銀座のナイルレストランで『混ぜて食べてください、混ぜたほうが美味しいよ』というウェイターや二代目(ときには初代も)の言葉を無視して、ムルギランチを混ぜずに口に入れていた、そんな丼もの文化に侵されたある関東人は(ぼくのことだけど)底意地の悪いインド人から野蛮人と思われていたか。だが鰻丼でも親子丼でもカレーライスでも、混ぜずに口に入れる口中調味の醍醐味に馴
記憶の縄釣瓶petit: 笠置シヅ子。
朝ドラ『ブギウギ』も終わったようなので、笠置シヅ子について書いておこう。NHK大阪は10年に一度くらい、印象に残る朝ドラを制作する。
テレビ草創期に幼少時を送ったぼくにとって、笠置シヅ子はほんの10年前まで大スターだったなどとはまったく感じられない、ブラウン管でよく目にする明るいおばさんだった。「東京ブギウギ」が終戦直後の大ヒット曲だったことを知るのはもっと後のことだ(*1)。ドラマの最終週では、
記憶の縄釣瓶petit: リチャード・セラの輪っか。
リチャード・セラが亡くなった。85歳だという。ということは1970年、54年前は31歳か。冥福を祈る。すでにどこかに書いた記憶もあるのだが、この機会に改めてアーカイブしておこうと思う。
1970年に東京都美術館で開催された「第10回東京国際美術展(東京ビエンナーレ)『人間と物質』」では、上野公園の遊歩道全てを覆うというクリスト(34)のプロジェクトは実現しなかった。彼は旧東京都美術館の大展示室の床
囀り240328: 薬。
2020〜2023は、体調のさまざまな急変により「薬漬け」の日々だった。
と言っても合法的な「お薬」のことだ、念のため。
医者の指定通りの量や回数は守らなかったが、 50年間「薬」というものを嫌ってほとんど口にしない生活を送ってきたから、そんな自分にしてみればほぼ毎日「薬漬け」だった。日々、なんという「薬」をどれだけ呑んだか記録もつけた。
「薬」というのは、呑んだ自分と呑んでない自分を比べることが