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論文メモ アヂシキタカヒコネノカミはなぜ”大御神”なのか
秋田巌による論文。
問題設定『古事記』において大御神の尊称が付与されている神は二柱しかいない。天照大御神と阿遅志貴日子根神である。天照とアヂシキタカヒコネノカミでは格が違いすぎ、アヂシキタカヒコネノカミが大御神とされるのは不思議なことである。しかし<1997年出版の神話辞典(大林太良、吉田敦彦監修『日本神話辞典』)にも記述があるように、その理由は分かっていない。
1997年以降の研究や、それ以前
論文メモ 『十二類絵巻』 の主題 ―狸の描写、 鵄と仏教に着目して―
梅田昌孝による論文。
問題設定『十二類絵巻』は一般に、室町期から江戸期にかけて制作された、いわゆる「お伽草子」と総称される作品群に分類される作品である。多くある諸伝本のうち、最古の巻本とされる旧堂本家本を底本として用い分析を行い、本作品が当時どのように読まれていたのか、ということを明らかにしたい。
要約網野善彦や小峰和明は、『十二類絵巻』を風刺の物語としてとらえる。対して勝俣隆はこれらに対し、
論文メモ 伊予八百八狸信仰における宗教文化的背景
斎藤喬による論文。
問題設定伊予の「八百八狸」と阿波の「狸合戦」に登場する狸たちは、物語において憑依によって顕現し地域の神社で祀られ、今日まで信仰の対象になっている。興味深いのは、明治期に出版された講談の速記本が今日の信仰の拠り所となっている点である。
折口信夫が「信太妻の話」で竹田出雲の『芦屋道満大内鑑』を例に取って指摘するように、口承文芸や民間伝承の戯曲化が定本を生み出し、それが流布すること
明治期日本における精神医学と狸憑き
斎藤喬による論文。
問題設定明治期日本における精神医学者の言説を参照しながら、徳島県下の狸憑きを個人の精神病理として診断する根拠について概観する。
要約明治33年(1900)に荒木蒼太郎が『岡山醫學會』第124号と125号に「徳島県下ノ犬神憑及ヒ狸憑ニ就キテ」を寄稿し、徳島の狸憑きに特化して報告する。そこでは先行研究として、島村俊一が『東京醫學會雜誌』に発表した「島根県下狐憑病取調調査」(18
論文メモ 「不思議音」と「家鳴り(やなり)」の関係についての一考察
横井雅之による論文。
問題設定「不思議音」とは、日本騒音制御工学会で制定された学術用語である。主に集合住宅に発生する発生源不明な音に適用される。一方こうした発生源不明な音は昔から「家鳴り」と名付けられ、妖怪が家をゆすり騒いで発生している音と言われて来た。この二つの関連性を明確にしようと試みた。
メモ「不思議音」は集合住宅の騒音・振動の苦情処理に関するものが多い。
「発生源がどこだか分からない