論文メモ 「不思議音」と「家鳴り(やなり)」の関係についての一考察
横井雅之による論文。
問題設定
「不思議音」とは、日本騒音制御工学会で制定された学術用語である。主に集合住宅に発生する発生源不明な音に適用される。一方こうした発生源不明な音は昔から「家鳴り」と名付けられ、妖怪が家をゆすり騒いで発生している音と言われて来た。この二つの関連性を明確にしようと試みた。
メモ
「不思議音」は集合住宅の騒音・振動の苦情処理に関するものが多い。
「発生源がどこだか分からない音」が「不思議音」であり、発生源が分かると「不思議音」ではなくなる。
多くは熱などによる異音発生で、衝撃音である場合が多い。
一時になるとなかなか耳から離れない。
ケースバイケースで対処せざるを得ないが、プライベートな領域に立ち入らざるを得ない場合もあり、解明に時間がかかる。
「床鳴り」や「家鳴り」は「・・鳴り」という、音に関係する言葉の一種である。
「床鳴り」および「家鳴り」は摩擦により発生する音に分類される。
温度変化による熱膨張や、人が床を踏むことなどによって部材が擦れ、音が鳴る。誰も何もしないのに音や振動が発生することから妖怪が家をゆすっているのではないかと言われてきた。
これら熱膨張や熱収縮などによる音の発生は、「不思議音」の原因と考えられる音などと類似している。しかし、これらの音は発生原因や発生源がある程度分かっているため「不思議音」とは呼ばれない。
総じて、「不思議音」は集合住宅において発生する様々な異音、「家鳴り」は家の柱やかぐなどが熱による影響を受け発生する振動や音である。
「家鳴り」は古くから怪奇現象として知られてきた。現在では「家鳴り」も発生源の特定が難しい場合があるため「不思議音」の一種に含まれることもあると思われる。
「家鳴り」についても、対策は「不思議音」と同様工学的視点から合理的な方法が求められるようになっている。
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