杉菜カズアキ

30代半ばの駆け出し自営業。2024小説執筆チャレンジ

杉菜カズアキ

30代半ばの駆け出し自営業。2024小説執筆チャレンジ

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「ツイスト・イン・ライフ」第一話

あらすじ登場人物第一話:松尾誠司 その一「いやぁー……今日はしんどかったっすよ」  松尾誠司は、無機質な骨組みに囲まれた空間でマールボロに火をつける。彼の鮮やか…

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「ツイスト・イン・ライフ」第十一話

第十一話:越智弘高 その三 「いやぁ、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。すぐ復帰できると思います……多分」  入院中の病室で、越智弘高は弱弱しく笑う。視線の先に…

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「ツイスト・イン・ライフ」第十話

第十話:佐野涼平 その三 「よかったよー……正直に言ってくれて」  佐野涼平の妻、佐野瑠璃子は大きく息を吐き、安堵の表情を浮かべる。  涼平は、まだ瑠璃子の顔を見…

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「ツイスト・イン・ライフ」第九話

第九話:松尾誠司 その三 「思ったより難しいな。準備時間いくらなんでも短すぎでしょこれ」  松尾誠司はギターを抱えながら、楽譜とにらめっこしている。  この日は本…

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「ツイスト・イン・ライフ」第八話

第八話:藤吉礼美 その二 「先週のレッスン終わった後、本当にカラオケ行っちゃったよ」  藤吉礼美は翌週のレッスンの休憩時間に、一人カラオケに行ってひとしきり歌った…

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「ツイスト・イン・ライフ」第七話

第七話:越智弘高 その二 「里のみんな、元気かなぁ」  越智弘高は、自身の育った児童養護施設「青桜の里」での日々を懐かしんでいた。  入所者や職員はみな、施設のこ…

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「ツイスト・イン・ライフ」第六話

第六話:佐野涼平 その二 「申し訳ないのですが、ここで先にシリンダが出ると全体の動作が1.5秒も止まってしまい能力が足りなくなるので、後からシリンダを出せるよう…

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「ツイスト・イン・ライフ」第五話

第五話:松尾誠司 その二 「すげえな。世間で話題になるってこんなになるんだ」  松尾誠司は、あるニュースを観ながらどこか遠い目になっていた。  前回の「マイカ発光…

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「ツイスト・イン・ライフ」第四話

第四話:藤吉礼美 その一 「ん。ちょっと疲れたね。休憩にしよっか」  藤吉礼美は生徒に笑いかける。 「私、コンサートまでに上手くなれますかね?」  不安そうに問いか…

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「ツイスト・イン・ライフ」第三話

第三話:越智弘高 その一 「ローリングストーンズのライブが当たった? 嘘だろ?」  越智弘高はスマートフォンの画面を見て、椅子から転げ落ちそうになった。  職場の…

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「ツイスト・イン・ライフ」第二話

第二話:佐野涼平 その一 「そもそもこの案件、引き受けたのが間違いだったんじゃないですか……」  二十一時をまわり、暗くなったオフィスの片隅で佐野涼平は呟く。 「…

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小説執筆中、他の記事が書けない(笑)

かなり久しぶりの投稿になってしまった。 現在は小説の執筆にチャレンジ中。 でも、何か一つの作品を作るのに熱中していると、他のことに手を付けられなくなってしまう。…

杉菜カズアキ
1か月前
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note placeでのオフライン創作会に行ってきた。これまで夢だった小説執筆の一歩を踏み出すことにした。月並みだが本当に刺激的で勉強になる会だった。新川帆立先生と秋谷りんこ先生の書籍ももちろん購入。サインまでいただけて、このイベントが無料は端的に言って神

杉菜カズアキ
1か月前
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母校の大学図書館が最高の執筆環境かもしれない。母校利用のススメ

私は今、この記事を母校の大学図書館で書いている。 私の母校は、申請すれば卒業生でも図書館を無料で利用できる。本の閲覧だけでなく貸出もOKで、さらには一部の自習室の…

杉菜カズアキ
1か月前
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「ツイスト・イン・ライフ」第一話

「ツイスト・イン・ライフ」第一話

あらすじ登場人物第一話:松尾誠司 その一「いやぁー……今日はしんどかったっすよ」
 松尾誠司は、無機質な骨組みに囲まれた空間でマールボロに火をつける。彼の鮮やかな赤い髪の毛とは対照的に、その顔色は疲労で青白くなっている。
「この業界にいると、労働基準法なんてものは絵空事だって、つくづく思い知らされるんだよな」
 手島清志の切実な思いが紫煙に交じって吐き出される。
「もしかして手島さんって明日もこん

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「ツイスト・イン・ライフ」第十一話

「ツイスト・イン・ライフ」第十一話

第十一話:越智弘高 その三
「いやぁ、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。すぐ復帰できると思います……多分」
 入院中の病室で、越智弘高は弱弱しく笑う。視線の先には見舞いに来ている店長とエリアマネージャーがいる。

 越智が倒れた。途中から自分が何を喋っているのかわからなくなり、その後すぐ重い貧血のようなめまいがしてロッカールームで倒れこんだ。
 このとき、越智は十二連勤目だった。
 すぐに店長と

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「ツイスト・イン・ライフ」第十話

「ツイスト・イン・ライフ」第十話

第十話:佐野涼平 その三
「よかったよー……正直に言ってくれて」
 佐野涼平の妻、佐野瑠璃子は大きく息を吐き、安堵の表情を浮かべる。
 涼平は、まだ瑠璃子の顔を見ることができていない。

「頼りない大黒柱だな……俺は」
 涼平は下を向いたまま声を震わせている。
「ママがせっかく心配して言ってくれたことを、昨日あれだけ大声で否定してさ、今日になってやっぱりママの言う通りだったって……最低だよな」

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「ツイスト・イン・ライフ」第九話

「ツイスト・イン・ライフ」第九話

第九話:松尾誠司 その三
「思ったより難しいな。準備時間いくらなんでも短すぎでしょこれ」
 松尾誠司はギターを抱えながら、楽譜とにらめっこしている。
 この日は本業、スタジオミュージシャンとしてレコーディングにやってきた。

 今回の仕事は女性シンガーソングライターである「三富はるな」の新曲のレコーディングだ。

 三富はるなは四十七歳で、小柄でウェーブのかかった茶髪、くりくりとした目が特徴的だ。

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「ツイスト・イン・ライフ」第八話

「ツイスト・イン・ライフ」第八話

第八話:藤吉礼美 その二
「先週のレッスン終わった後、本当にカラオケ行っちゃったよ」
 藤吉礼美は翌週のレッスンの休憩時間に、一人カラオケに行ってひとしきり歌ったことを牧村陽菜に伝えた。
「れいみ先生、本当にあの後に歌ってくれたの⁉︎ 私の影響⁉︎ 嬉しいー!」
 と陽菜ははじけるような笑顔になっていた。

「え~、れいみ先生、何点だった?」
 陽菜は無邪気に尋ねる。

 礼美はその質問に目を丸く

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「ツイスト・イン・ライフ」第七話

「ツイスト・イン・ライフ」第七話

第七話:越智弘高 その二
「里のみんな、元気かなぁ」
 越智弘高は、自身の育った児童養護施設「青桜の里」での日々を懐かしんでいた。
 入所者や職員はみな、施設のことを「里」と呼んでいた。

 越智は「青桜の里」の卒園式を昨日のことのように覚えている。彼の人生の中で最も忘れられない一日だった。
 基本的に児童養護施設は十八歳、つまり高校卒業の年をもって「卒園」となる。越智は物心ついた頃から「里」にい

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「ツイスト・イン・ライフ」第六話

「ツイスト・イン・ライフ」第六話

第六話:佐野涼平 その二
「申し訳ないのですが、ここで先にシリンダが出ると全体の動作が1.5秒も止まってしまい能力が足りなくなるので、後からシリンダを出せるようにしてもらえませんか」
 目の前のデスクでふんぞり返る男に対し、佐野涼平は機械の動作変更を依頼している。

「なんで今更この動きを変えるのさ。元々は機械屋さんがこうしろって指示したんだからね? そもそも機械屋さんが構想の段階から一つサイズの

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「ツイスト・イン・ライフ」第五話

「ツイスト・イン・ライフ」第五話

第五話:松尾誠司 その二
「すげえな。世間で話題になるってこんなになるんだ」
 松尾誠司は、あるニュースを観ながらどこか遠い目になっていた。

 前回の「マイカ発光中」のドッキリ企画が放送された週、プリンセス・マイカの名前はインターネット上で広まっていた。メンバーの滝岡奈月がドッキリに本気の涙を流した映像が切り抜かれ、瞬く間に拡散されたのである。
 そのドッキリ企画とは「メンバーは緊急事態のとき、

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「ツイスト・イン・ライフ」第四話

「ツイスト・イン・ライフ」第四話

第四話:藤吉礼美 その一
「ん。ちょっと疲れたね。休憩にしよっか」
 藤吉礼美は生徒に笑いかける。
「私、コンサートまでに上手くなれますかね?」
 不安そうに問いかける生徒に対し、変わらず笑顔で答える。
「なれるよ! 実際、牧村さんはすごく上手くなってるからさ」
「ありがとうございます。れいみ先生にそう言ってもらえるとすごく心強いな」
 礼美のレッスンを受けている生徒は、中学生の牧村陽菜だ。ピアノ

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「ツイスト・イン・ライフ」第三話

「ツイスト・イン・ライフ」第三話

第三話:越智弘高 その一
「ローリングストーンズのライブが当たった? 嘘だろ?」
 越智弘高はスマートフォンの画面を見て、椅子から転げ落ちそうになった。
 職場の休憩室にあるパイプ椅子は、身長187センチの越智にとってはいささか小さいようだ。
 すぐにスケジュールを確認するも、当選した日にはシフトが入ってしまっている。
「うーん、厳しいだろうか……ダメ元で店長に聞いてみよう」

 越智は、世界的な

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「ツイスト・イン・ライフ」第二話

「ツイスト・イン・ライフ」第二話

第二話:佐野涼平 その一
「そもそもこの案件、引き受けたのが間違いだったんじゃないですか……」
 二十一時をまわり、暗くなったオフィスの片隅で佐野涼平は呟く。
「正直、俺もそう思うよ。でも営業と管理職がゴーサイン出しちゃったもんだからなぁ」
 向かいの席で機械設計課の加藤係長も小さく本音を漏らす。

 佐野涼平は国内大手の産業機械メーカーの機械設計エンジニアである。
 佐野は東京工業大学で機械工学

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小説執筆中、他の記事が書けない(笑)

小説執筆中、他の記事が書けない(笑)

かなり久しぶりの投稿になってしまった。

現在は小説の執筆にチャレンジ中。

でも、何か一つの作品を作るのに熱中していると、他のことに手を付けられなくなってしまう。

だからnoteの更新もできていない。

私はマルチタスクが非常に苦手な人間だ。

ただ仕事はマルチタスクにならざるを得ない状況も多々あり、あれが苦痛だ。ある程度は我慢するしかないが。

今作っている小説の筆が止まったら
また新しく別

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note placeでのオフライン創作会に行ってきた。これまで夢だった小説執筆の一歩を踏み出すことにした。月並みだが本当に刺激的で勉強になる会だった。新川帆立先生と秋谷りんこ先生の書籍ももちろん購入。サインまでいただけて、このイベントが無料は端的に言って神

母校の大学図書館が最高の執筆環境かもしれない。母校利用のススメ

母校の大学図書館が最高の執筆環境かもしれない。母校利用のススメ

私は今、この記事を母校の大学図書館で書いている。

私の母校は、申請すれば卒業生でも図書館を無料で利用できる。本の閲覧だけでなく貸出もOKで、さらには一部の自習室の利用もできるとのことで、本当に「ありがとうございます」の一言である。

色々と説明している私だが、卒業後の利用は今日が初めてである。

母校の図書館を使おうと思ったきっかけ

母校には、年に一度サークルのOB会で顔を出す機会があったが、

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