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『心の雛』 著者:pekomogu様 #創作大賞感想

今回紹介したい作品は、pekomogu様が創作大賞2024ファンタジー小説部門に応募されている作品『心の雛』である。
あるフォロワー様による感想文を読んだことがキッカケでこの作品に出会った。

とにかく作品を読んでもらいたいので、ネタバレは無しで魅力を語っていきたい。

まずは以下に、あらすじを引用する。

《あらすじ》

ここは森の奥にひっそりと佇む心の病院。院長は奥野心。患者様からは心先生、と呼ばれ親しまれている。先生は触れた人の「心」に触れることができる性質を持っていた。時間を忘れそうになるほど穏やかな日常と大好きなおやつの時間に食べるプリン。それと、雛。先生の大切なものはたったそれだけだ。手のひらサイズの小さな妖精、雛との日常に、ある日新しい患者様が現れた。妖精と人間の因縁。心の整え方。雛の願い。これは心先生が触れる「心」の小さな物語。

pekomogu様『心の雛』あらすじ

あらすじから滲み出て伝わってくる癒しのパワー。
「心の病院の院長と手のひらサイズの妖精、おやつの時間に食べるプリン」という、心温まる癒し系ハートフルストーリー間違いなしの設定。

「なるほど、この作品は癒しの時間を過ごせそうだ」と読み進めていくと……
手のひらサイズの妖精「雛」の、衝撃の過去が明かされる。

このあらすじに、さりげなく記されている
「妖精と人間の因縁」
この部分がかなり壮絶なものとなっていて、なかなかに残酷な描写もある。

平穏な二人の日常。そして少しずつその日常に忍び寄る黒い影。
「いつか、この日常が崩れてしまうのだろうか」と
二人がプリンを食べる尊い日常のシーンを読みながら
胸がザワザワとしたことを鮮明に覚えている。

また、「心を整える」という概念がこの作品のテーマ的なものとして根底にある。
月並みな表現かもしれないが「完璧な人間などいない」と思わされるし
「きっと誰もが悩みを抱えて生きている」のだろうと思う。

全体を通して
平穏なシーンと、緊迫した場面のギャップは凄まじいの一言。
一人でも多くの方に、この世界を体感してほしい。

加えて1話あたり1000~2000字前後で区切られてるのも親切だ。
テンポがよく、また続きが気になるところで区切られているので、グイグイ読み進めることができる。
全体としても約4万字、個人差はあれど2時間ほどで読めると思う。


最後に、この作品の中で私の最も好きな場面を一つ引用したい(ネタバレに影響なし!)

「これ、色が少し違いますね」
(中略)
おやつの部屋でさっき私がテーブルに落とした涙の粒だった。色なんて全然気にしていなかったので分からなかった。先生曰く、いつものは青みがかった粒で、これは薄紅の色だという。

「雛が嬉しくなると、涙の色まで幸せな色になるんですね」

嬉しくなると涙の色が幸せの薄紅色になるという演出が、素敵すぎて鳥肌が止まらなかった。

余談

余談だが、この作品を読み終えた後
B'zの『GOLD』という曲が頭に流れてきた。
この壮大なイントロが流れてきたのだ。

改めてじっくり歌を聴いてみると
2番の歌詞が、『心の雛』の世界観とリンクしてるように思えてくる。
YouTubeには違法アップロードしかないので是非サブスクなどで聴いてみてほしい。

この作品が映画化されたら、この曲が主題歌だと嬉しい(たぶん新曲書き下ろしだと思うけど)


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