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アートの魔法:作品と思考が心の奥の魂を目覚めさせる

このコラムでは、若松英輔さんの日本経済新聞のコラムをもとに、アート作品の、鑑賞者の心の奥に眠っている魂を目覚めさせる力について考えてみます。

岡本太郎が経験したアートの力


岡本太郎の体験を紹介した若松英輔さんは、「真の芸術は私たちの心を揺さぶるだけでなく、心の奥に眠っている魂を目覚めさせる力を持っています」と述べています。

岡本太郎はフランスでセザンヌの作品に触れ、強い感動を覚えました。彼は美術館を後にしても涙が止まらず、涙を流しながらセーヌ河岸を歩きました。ピカソの作品にも同様の感動を覚えたと言います。

これらの感動の源は、単に優れた絵画そのものではなく、岡本太郎自身の内面にあったのです。彼はピカソを見て自分自身の心が目覚めたと感じました。

若松さんは自身の経験も踏まえ、アートは心を揺さぶるだけでなく、自分の心の奥に眠っている魂を目覚めさせる力を持っていると述べています。
ただし、アート作品から魂を目覚めさせる衝撃を受けるには感受性が必要だと思います。

アーティストの思考との出会い


私自身もアートに触れることで本を出版し、人生が変わりました。しかし、その変化は単に作品に触れたからではなく、アーティストの思考に触れたことによるものです。アーティストの言葉には、作品を生み出す思考や信条が宿っており、それが私の心に深く響き、魂を目覚めさせました。

例えば、アーティストの井原宏蕗さんの作品。黒い石を集めて作ったかのような動物の彫刻。実際には、その動物の糞を漆で塗って作られています。とても糞からできているとは思えません。
井原さんの話を聞くことで衝撃が10倍にも100倍にもなります。

糞は動物が排泄した、もはや必要のないもの。しかし、排泄は、その生物が生きている証でもあります。この作品を通じて、不要なものに再び命を吹き込むという考えが示されています。
従来の彫刻は大理石などを人間が採掘して創られますが、この作品は生命の循環に基づく糞と漆を利用していて、持続可能な社会に必要な視点をも提示しています。


井原宏蕗 《cycling -black dog-》


このように、アーティストが作品を創り出す過程で溢れ出る情熱やエネルギーは、鑑賞者の心に共鳴し、感情を揺さぶります。また、アーティスト自身の思考や哲学が作品に反映されることで、深い洞察や啓示を与えてくれます。

アートという魔法


また、アートは時に挑戦的であり、私たちの固定観念や常識に疑問を投げかけます。ここでも、常識を疑い、新たなコンセプトを提示するのはアーティストです。彼らの挑戦に応えることで、私たちは社会を変容することができるのです。

アーティストが作り出す作品には、心の奥に眠っている魂を目覚めさせる力があります。これによって私たちは無限の可能性と希望を感じることができます。アートは魔法のような存在なのです。


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