マガジンのカバー画像

娘の話

7
過去に不登校を経験し、いまも自律神経失調症と付き合いながら働いている娘との話です。
運営しているクリエイター

記事一覧

やる気の出どころ

やる気の出どころ

昨日、娘に謝られてしまった。

「ごめんね、何にも役に立たなくて。呆れちゃうでしょ。」そう言われた。

どうしたものかな、と思う。

不登校で苦しんだ中学校の時からずっと君は頑張り続けていたから、たまには人生の夏休みだと思ってのんびりするといいよ。そう話しても「休み方がわからない。」そうなのだ。

いつも「何かしなくては」「きちんとしなくては」という気持ちに追い立てられている。それなのに動けない自

もっとみる
眠れる森

眠れる森

3月のnoteに娘の話を書いたのだけど、彼女はいまも休職中。

最初の頃こそ、何も手につかずベットに潜ってばかりいたけれど、2ヶ月の間に少しづつ気力が戻ってきて普通に過ごせる日が増えた。そして、本を読んだり好きなアニメやドラマを見ることが出来るまでに回復した。

ドラマといえば、最近わたしたち母娘に中国ドラマブーム(というか『陳情令』ブーム)がやってきた。世の中では、とっくの昔に話題になっていたド

もっとみる
家族って、血の繋がりって、なんだろう

家族って、血の繋がりって、なんだろう

26歳のとき、3歳になったばかりの娘を連れて私は離婚した。

前夫は繊細で静かな人で、喧嘩らしい喧嘩をしたことはなかったけれど、だからといって、分かり合えていたのとも違っていた。いつも何を考えているのか掴めないようなところがあった。

娘が生まれ、その分かり合えない部分は、より一層深くなっていった。

前夫は両親から遊んでもらった記憶がほとんどないという。そのせいかあまり子供に興味を示さない姿に、

もっとみる
好きなこと、得意なことに縛られず

好きなこと、得意なことに縛られず

"私には趣味がない“ という書き出しに惹かれ、ナカハラユウカさんのnote、『私は逃げるために戦場から降りた。』を読みました。

出来ることはあるけれど、それほどそれに思い入れがないこと。

何かを新しく始めて熱中はするけれど、すぐに飽きてしまうこと。

実は娘も同じようなことをコンプレックスにしています。

***

娘は子供の頃からとても手先が器用で、図工や美術で作った作品や絵が、何度か美術展

もっとみる
「好き」がみつからない

「好き」がみつからない

「好きなものがみつからないの」

と娘はいう。

「一旦夢中にはなれるのに、すぐに飽きちゃって、続かないの。何をやっても、好きなものが見つけられないの。なんでみんな趣味とか好きがちゃんとあるのかなぁ。わたしがダメなのかな。」

こんな風に自分を責めることを彼女はずっと続けている。

好きって、そもそも見つけるものだろうか

なくてはいけないものだろうか

以前、心のバランスを崩したことがあって、そ

もっとみる
彼女がメーターを振り切ると。

彼女がメーターを振り切ると。

私がきのこの刺繍をほどこした『ファッションセンターしまむら』のパーカーを着て、娘がソファーでくつろいでいる。

少し離れたダイニングテーブルからそれを眺めているのだけれど、彼女からの刺繍のオーダーは確かポルチーニ茸だったはずで、しかしパーカーの真ん中にあるそれは、どう見ても椎茸にしか見えず、「ポルチーニっぽくないよね。」と聞いてみたら、「そう?でも可愛いよ。」と返答がきた。

家族って優しいな、と

もっとみる
回り道を恐れない、という勇気

回り道を恐れない、という勇気

久しぶりに娘と2人で喫茶店に行き、おしゃべりをしていた。

最近、彼女は色画用紙のセットを買ったらしい。
大学時代の課題で切り絵を作ったことがあり、それがとても楽しかったので、またやってみたくなったのだそうだ。

ところが、買った時のワクワクした気持ちはすぐにどこかへ行ってしまい、色画用紙は使わずに仕舞い込んでしまったのだという。

***

「最近ね、そういうものばかり部屋に溢れてきて、それが目

もっとみる