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読書

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読書感想文と、本からの引用を含む記事をまとめました。【読書メーター】https://bookmeter.com/users/1337100
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#読書

【読了】悪名高き量子物理学者を定性的に楽しく_生命とは何か/シュレディンガー

【読了】悪名高き量子物理学者を定性的に楽しく_生命とは何か/シュレディンガー

量子力学の礎を築いた物理学者の一人シュレディンガーが専門外の「生命」について一般向けに語る。現代の高校生が学習する理系科目(基礎なしの生物、化学、物理)を十分に学んでいれば一部の専門性の高い説明を除き概ね親しみをもって読める。一般向けを自称する通り、数式はほとんど出てこない(出てきたものも読み飛ばして理解できる)のが特徴である。

念のため補足しておくと、シュレディンガーは一般に「箱を開けるまで猫

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〈栗の木カフェ〉

〈栗の木カフェ〉

栗の木カフェは、『一九八四年』に登場する場所である。

一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) | ジョージ オーウェル, トマス ピンチョン, 高橋 和久 |本 | 通販 | Amazon

歴史は書き換えられるもの。2+2=5にもなる。一九八四年は党に対する反駁の念を抱いただけでも罪となる(思考犯罪)世界を描いたディストピア小説だ。伝えるメッセージはいくつもある。そのうちで今日する話は一

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サイモン・シン著『フェルマーの最終定理』の魅力

サイモン・シン著『フェルマーの最終定理』の魅力

先ほど読書の記録としてリリースした記事でも言及したが、全く魅力、内容が伝わらない記事となってしまった自覚があるので再度言語化を試みた。

きちんと伝えるポイントを意識して書いたつもりだ。

読んで私が感じた魅力を紹介することを目的としたが、この本を読め!というつもりはないので大事なところを隠すような書き方をしていない点にだけ注意いただきたい。

また、始めの章は私の話なので読み飛ばしていただいて構

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読書の記録・2月後半

読書の記録・2月後半

定期化してきた読書の記録。2月後半から3/6まで。

サロメ、フェルマーの最終定理は前回の5冊に関連して。

※内容に踏み込んでいるためネタバレを含みます。

サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇/オスカー・ワイルド戯曲。サロメ、ウィンダミア卿夫人の扇、まじめが一番の三作収録。

時代背景と戯曲の形式に馴染めず展開に追いつけなかった部分があった(読解力のなさ...(;´・ω・))。

サロメは原田マハの

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【読書】実践・人を動かす「早稲田大学を応援しませんか」

【読書】実践・人を動かす「早稲田大学を応援しませんか」

本稿はカーネギーの名著『人を動かす』の感想文を綴る代わりに、心に残った教訓に自己解釈を添えて実践形式で紹介することを目的として書かれた。

自己啓発本なんて自己を啓発したい人が勝手に黙って読んでいればいいので、この本や考え方を勧めるような書き方はしたくない。しかし、

「こうやって話せば、人を早稲田の沼に落とし込めるのか~」

と緩く楽しみながら読んでいただけたら嬉しい。

『人を動かす』の主題は

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【読書感想文】優秀だった研修医の生き方

今回は先日読了したサマセット・モーム著『月と六ペンス』の感想文を綴った。

小説の概要他の版が存在するか知らないが、新訳を銘打った文庫を手に取ったため一応補足すると、今回私が呼んだのは金原瑞人さん訳版の本(新潮文庫)である。

訳者あとがきより、この小説を一言で表す説明を引用する。

恋愛小説でもなく、冒険小説でもなく、壮大なロマンスでもなく、気の利いたトリッキーなミステリーでもないのに、一気に読

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【読書の記録】長いツイートのような回顧録・個人的指向

【読書の記録】長いツイートのような回顧録・個人的指向

久々に記事を書く気になったので軽いツイートと同じ熱量でサラッと書いた。とても他人に読ませるモードにはなっていないのだが、折角書いたので公開しておく。

多分、前に書いたヘンテコな記事と同じように連想ゲームを言葉で記録していく作業。

読書の記録まず、9月に読んだ本のタイトル(日付は自分用の記録で、読了日。)

9/2 戦争と平和1 / トルストイ
9/3にんげんのおへそ / 高峰秀子
9/5戦争と

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【備忘録】Look through a kaleidoscope.

【備忘録】Look through a kaleidoscope.

" A Technique for Producing Ideas/アイデアのつくり方", James Webb Young著, IBCパブリッシング版

を読んだメモを元に作成した備忘録。

雑なメモを元に書いた記事なので細かいミスと和訳のセンスのNASAには目を瞑ってください笑

「どうすればアイデアを手に入れることができるのか」

The Formula of Experienceアイデアは

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【読書感想文】暑い夏に、寒い冬の物語を

【読書感想文】暑い夏に、寒い冬の物語を

好きな作家の本は図書館・本屋で片っ端から手に取りたくなるものだ。少なくとも私は、そういうタイプである。

一つの作品がその時作家の見た世界の描写だとすれば、作品群を読みつくしていく行為はその作家の頭骨の中にある世界を俯瞰して覗き込むことに近くなるはずだ。

単行本として世に出されている以上それ単体で意味を為し、理解可能であることは必要だが、それらに跨って存在する世界観があるのはいいことだ。

そし

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金曜日の夜なので: 読書感想文『TVピープル/眠り』村上春樹

金曜日の夜なので: 読書感想文『TVピープル/眠り』村上春樹

金曜日の夜なので「金曜日の夜なので」私は本を読んだ。

金曜日の夜は私の最も好きな無生物である。(陸上競技も同率首位になるかもしれないが。)

小学生の頃は、金曜日は好きな習い事の日だった。

中学・高校では金曜と他の平日とはほとんど同質だった。授業を受け、部活動をし、帰宅する。翌土曜日も部活動はあるのでそれなりの時間には起きなければならないが、授業を受けなければならない平日を乗り越えた金曜日の夜

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