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読書感想文「工作艦明石の孤独」
林譲治先生の書く小説の政治体制や軍隊組織が主役かのように振る舞うスタイルが好きなので工作艦明石の孤独が出たときに購入するのは既定路線だった。
そして実際読んでみて最初に感じたのが「これは相当な意欲作だな」という点である。
僕は星系出雲兵站以降のSFシリーズしか読んでいないのだが、今回の工作艦明石の孤独はこれまでの作品よりギミックの作り込みが相当張り切っていた。
ワープひとつとってみても星系出
大日本帝国の銀河2感想(ネタバレなし)
大日本帝国の銀河2(林譲治著)を読んだ。シリーズ前作から引き続いてこのシリーズというかこの作者の魅力は宇宙人の精神性である。
今回のシリーズは、見た目が地球人と同じで同じ言葉を喋るが故に感じる差にフォーカスしている点がとても良い。
しかし大日本帝国の銀河2はそんな宇宙人と地球人の差異の問題からは一旦距離を置いていたように感じる。
どんなふうに距離を置いていたかというと、サイエンスフィクションと
電子書籍派が考える紙の本の良さ
僕自身は普段、kindleを中心にオーディオブックなどを交えて読書をしています。
kindleもオーディオブックも便利なのですが、この前電子版が出ていない本を読むために紙の本を手に取ったので改めて紙の本の良さについて考えてみようと思います。
本の要素を書いてある内容と物質的な面で分けると内容面で電子版と紙版は完全に同一です。
しかし、紙の本の読書体験は電子版のそれとは異なります。つまり書いてあ
家康、江戸を建てる(ネタバレなし感想)
そもそも何を持ってネタバレとするのか曖昧なジャンルの小説ですが、第155回直木賞受賞作でドラマ化もされた歴史小説「家康、江戸を建てる」門井慶喜著の感想を書いていこうと思います。
この作品を読んだきっかけは、audibleで作品を物色していたときに見かけて「江戸時代の歴史小説はあまり読んだことがないな」と思ったのがきっかけでした。
個人的にaudibleは小説と相性がそこまで良くないと思っていま
「リモートワークの達人」書評
リモートワークの達人は2014年に書かれたものをリモートワークの急速な広がりを受けて改題したものです。
内容としては、昨今のリモートワークに関する言説を冷静にまとめなおしたらこんな感じになるだろうな、といった感じでした。
上のように言うとわざわざお金を出して買うような本には思えないかもしれませんが、確かに読む価値のある本だと思います。
リモートワークに関する記事はたくさんありますが、そのほと
「日和ちゃんのお願いは絶対」感想
電撃文庫、岬鷺宮先生著、「日和ちゃんのお願いは絶対」を読みました。
最近ノンフィクションを中心に読んでいたこともあり一気に読めました。
後書きにも書いてありましたが「日和ちゃんのお願いは絶対」は典型的なセカイ系を指向して作られているそうです。セカイ系は2000年代初頭に流行ったらしく、僕はリアルタイム世代ではないのですが、セカイ系の先駆けと言われる「ブギーポップは笑わない」やセカイ系の中でも大