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「日和ちゃんのお願いは絶対」感想

電撃文庫、岬鷺宮先生著、「日和ちゃんのお願いは絶対」を読みました。

最近ノンフィクションを中心に読んでいたこともあり一気に読めました。

後書きにも書いてありましたが「日和ちゃんのお願いは絶対」は典型的なセカイ系を指向して作られているそうです。セカイ系は2000年代初頭に流行ったらしく、僕はリアルタイム世代ではないのですが、セカイ系の先駆けと言われる「ブギーポップは笑わない」やセカイ系の中でも大きな存在感を持つ「涼宮ハルヒの憂鬱」と比較して、「ああ、これがセカイ系か」と思える。そんな作品でした。


以下ネタバレを含みます。

ブギーポップとの比較で論じると、ブギーポップも日和ちゃんも平凡な男と一見平凡な少女が居て二人は恋に落ちるが実は少女には秘密があって世界の危機に対峙する存在であったと要約することのできる作品だと思います。

しかし、ブギーポップが宮下藤花としての平凡な女子高生とブギーポップとしての強烈な個性の対比を見せているとすれば、日和ちゃんは日和ちゃんのまま、印象がどんどん変わっていく点が魅力でした。

ただの天然少女→世界を背負った今にも壊れそうな少女→とっくに取り返しのつかないほど壊れてしまった少女→それでもやはり平凡な天然少女

この推移が読んでいて心を揺さぶってくると感じました。

もう1つブギーポップとの共通点は、物語のキーマンから離れれば起きている現象は完全に日常の中に埋れてしまうという点です。

日和ちゃんも側から見れば(具体的にはト部から見れば)1組の男女が告白し、付き合い、別れ、復縁するだけの物語になります。

「自分の周りにももしかしたら」と妄想する余地を残す。

これがセカイ系の魅力なのかもしれない。と思いました。

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