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2019年ベスト映画

いつもはひと監督につき1本という縛りでやってるのだけど、どうしても2本入れたくなってしまったのでそのルールは解き放った。多分、これからの作品にも期待をかけてしまうよ。久々にそういう映画監督と出会えたなぁ。

10位 ウィーアーリトルゾンビーズ 

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演出だけでだいぶ得点高い。それくらい、目に新しい映像の応酬。カラフルでポップな世界の中で、両親が死んだ13歳の中学生たちがバンドを組みやがて世間に広まって、、という冒険譚が淡々とコミカルに描かれる。とにかく冷め切った目つきだが、その判ったつもりなようで何も判ってない、絶妙な年齢だからこそ、"もしかしたら、ある、、?"な光へと辿り着いていた。


9位 天気の子 

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「君の名は。」の後の「天気の子」、っていうのをアジカンにおける『ソルファ』からの『ファンクラブ』と、公開当時に衝動的に発言していたのだけど、あながち間違ってない気がする。ぶっ壊れちまったセカイでも、僕らは何かを始めていけるし、ここが終わりだと思っても続いていくものなのだ。過去イチのストレートな物語展開で、過去イチの現実を突きつけてみせた。


8位 イソップの思うツボ

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大いなる映画/演劇愛を劇場体験としてぶちかましてくれた上田慎一郎単独監督の『スペシャルアクターズ』も凄く良かった、、なのだけど僅差でこっちをトップ10に。意外とこういう黒々としたすっきり感もヨシとしてる監督なんだなぁと思って嬉しくなった。そろそろ予算感のある映画も見てみたいな。このコンゲーム的騙くらかしを磨いていけば、超大作もきっと素敵だ。


7位 ホットギミック ガールミーツボーイ 

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劇中の真っ先に開発中の東京の街並みのショットがぶわっと蘇ってくる。2020年に向かっていく都市の変形と、少女の心の移ろいを重ねた、まさに今しか撮れない画。くどいくらいの山戸演出はイイぞもっとやれ、と思わせてくれる斬新なシーンばかり。これを観て人生を変えられた少女たちは多いと想う、その先でまた新たな芸術が生まれる日をおじさんは待ってるぞ!

6位 愛がなんだ 

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映画って色んな作用をもたらしてくれるけど、個人的にこれを観てから憑き物が落ちたように様々なことがフラットに見えてきた。ずっと引きずってきていた想いに額縁がついて飾られた気分になったからかも。しかしそれはもしかしたら別の憑き物を呼び寄せることになるかもしれなくて笑。人と人との結びつきに悩みは尽きない。いつか落ち着いた時にもう一度見返したい。

5.真実 

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是枝裕和監督、初となる外国語映画。フランスを舞台に引退間近の大女優とその娘との関係性を描くという、これまでの家族映画とはかなり異なる趣。しかし、観終わった余韻は「なんて純粋なる是枝映画なのだ、、」というもので。華美な豪邸、イケイケな仕事、高級感溢れるファミリーの中に息づくいじらしい愛憎は、例えば「海よりもまだ深く」や「歩いても 歩いても」の平凡な日本人一家の中で描き出してきたそれと同じ匂いを放っている。どんな階層、どんな国であっても、家族であるということを強く意識するのは何気ない目配せだったりするんだね。夫がどこかボンヤリとした存在で描かれているのもまさに是枝ホームドラマの真骨頂。ここ最近は社会派路線を進んでいたが、ここにきてほっこりと毒が織り交ざる原点の味を届けてくれた。

4.記憶にございません !

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「総理大臣が記憶を失う。バレないように周りが奔走する。しかし怪しむ人が現れる。それを何とかしようとする、、、」、という繰り返しの映画。こんな簡潔なあらすじをこんなにも面白く1本の映画に仕上げられるの、やはり三谷幸喜しかいない。ここ数作の停滞っぷりを全てチャラにするような快作だった。コメディの鉄板的シチュエーションの中で、中井貴一がジタバタして小池栄子とディーン・フジオカが収めようとする、、この基本構造を作り上げるキャスティングだけで大勝利していると思うし、役者の動かし方に監督の愛しかなくてそこも楽しかった。三谷組常連組の手練れさは言うことないけど、通訳役の宮澤エマのリアルすぎる通訳芝居には唸ってしまったし、ROLLYの謎配役には笑ってしまった。台詞と役者の相性が名作を生む。

3.108〜海馬五郎の復讐と冒険〜 

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映画館で声出して爆笑した、という点で言えばぶっちぎりの1位。「妻の不貞をSNSで知り、その投稿についた"いいね"の数だけ女を買って抱く」という、よくもまぁこのご時世に通ったなぁという企画で。しかしいざ観てみると、エロと笑いって実は相性が悪いものだと分かる。それは劇中においても、少し油断して"オモシロ"に突入すると事を致すことができない状態になるという男の悲哀として表現されている。しかしそこを、持ち前の言葉遣いとあの千鳥足アクションを用いて自ら体を張ってR-18コメディを大成させてみせた。膣痙攣のくだりとか本当に呼吸できなくなるくらい笑った。とはいえ、笑わせるだけでは松尾スズキじゃない。終盤明かされる真相によって、ここまでの物語が一気に反転していく暗澹たる展開。星野源による、じっとりとしたテーマソングもまたその余韻にぴったり。虚無に浸れる喜劇映画。

2位 アイネクライネナハトムジーク

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 今泉監督、2019年2本目。大好きな原作の映画化、不安もあったけど改変部分含めてとても好きな優しさで満ちていた。今泉監督は過去作「サッドティー」や「知らない、2人」もそうだけど、薄く関係のあるセクションが段々と繋ぎ合わさっていく作風が得意なので、まかに伊坂幸太郎のタッチと抜群に合うのよね。「首折り男のための協奏曲」とかも是非お願いしたい。


1位 町田くんの世界 

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ある種のファンタジー性を含んだ青春恋愛映画。万物に向けられた愛は一人への愛へと収束していくのか、一人を愛するということはその他を無いモノにすることなのか。瑞々しいエネルギーを迸らせながらさらりとディープなテーマへと潜り込んでいく。石井裕也の新たな到達点。関水渚というニューヒロイン誕生は偉大。そしてこの映画で前田敦子の真価を観た気がする。

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