記事一覧
テン年代アイドル論、あるいは・・・・・・・・・とはなんだったのか?
はじめに なぜいま「アイドル論」なのか? テン年代の前半くらいに、アイドル論やアイドル批評といったものが盛り上がりを見せたことがあった。いくつか具体例を列挙してみる。2011年、太田省一『アイドル進化論』。2012年、濱野智史『前田敦子はキリストを超えた』、小林よしのり・中森明夫・宇野常寛・濱野智史『AKB48白熱論争』。2013年、さやわか『AKB商法とは何だったのか』、安西信一『ももクロの美学
もっとみる『ab- ストリップのタイムライン』を読んだ
タイムライン、と聞くとすぐに、Twitterとかのことを思い浮かべてしまう。けれどこの本は多分、色んな人のツイートが一つの画面に統合されて流れていくあのタイムラインというよりかは、あえて時間軸、と硬めに言い直してみたときに思い起こされるような、別々の世界の色んな時間の流れが特に一つに統合されるでもなくあくまでもバラバラに散らばっている感じこそ、似合っているのだろう。
結城さんの「写真に触れる
旅行記(奄美と道後)
2023.02.14
二月頭から奄美に滞在しているパートナーに迎えられつつ空港に到着する。思ったより寒いし、めちゃくちゃ曇っている。とりあえず昼時なので車で鶏飯のお店へ。ご飯の上に何種類かの具をのせてから鶏のスープをかけて食べる。おいしくて三杯食べる。
資料館的な施設二つに向かう。一つ目は民俗資料館的なもの。濃い緑のラパンが一台駐車場に停まっていて、中に入るとひたすら資料をスキャンしている研
旅行記(2022.11.28-30)
一日目
朝5時前に起きて羽田へ。飛行機で出雲に向かう。とにかく何もなく、人がいない、島根。出雲大社周辺はさすがに賑わっていた。神社自体よりもその隣にあった出雲の歴史資料館みたいなやつがよかった。今「日本」と考えているものが少しも自明のものでもなく、昔から大陸との交流も盛んであったことなどを考える。実際に来ると、出雲を梃子にして天皇制や日本を相対化したくなる気持ちもよくわかった。今まで警戒感から読ん
【ライブレポート?】situasion 2ndワンマンライブ『I would prefer not to』
※以下は、ライブを一切観ることなく書かれた、ライブレポート擬態型文章です。こんな文章書かない方がよかったのですが。
situasionの2ndワンマンライブ『I would prefer not to』がほんの数時間前に終了した。ライブパフォーマンスがいかに素晴らしかったのかについては、今さら多言を要すまい。むしろここでは、そのパフォーマンスに感化されながら、このワンマンのタイトルの含意を探る
幽霊に憑かれた古典主義のオタク(2019.03.30)
画家はいつの時代もエゴイストである。
昔の宗教画だって、結局宗教を大義名分にして、自分の描きたいものを描いていただけだった。
ミケランジェロは光り輝く肉体を、ラファエロは美しく理想の女性像を、そして、レオナルド・ダ・ヴィンチは“人間„という存在を。
古典主義だの、日本の油画の歴史だのと能書きを重ねるぼくも、ただ、彼女たちを描きたかっただけなのかもしれない。
ぼくは西洋古典主義のオタクであり
ドッツ9thワンマン「Tokyo in Natural Machine」について(2019.03.09)
さて、「Tokyo in Natural Machine」について、というわけだが、一体何を書けばいいのだろうか。なんたってヒントが少なすぎる。とりあえずほぼ唯一の手掛かりと言えそうなツイートを貼るところから始める。
【3/24日】都市とは何か、アイドルとは何か、人間とは何か、そんな大それたテーマを視野に入れつつ、「・ちゃん」たちがパフォーマンスで物語る|・・・・・・・・・ 第9回ワンマ
ドッチャー・コンセプト派宣言(2018.09.10)
ドッチャー((ドッツのファンの総称。以前は観測員という呼称が使われることが多かったが、最近はこの言葉が持つ何とも言えないユルさやダサさのおかげか、これが用いられることが多くなっている。この記事も流行りに乗っかって、この呼称を採用してみた。))たるものコンセプト派でなければならぬ、などと言うつもりは毛頭ないしそんな資格もない。だいたい自分自身を省みてみれば、一か月に一回の更新を目標にしていたこのブ
もっとみるTokyo in Picture、時代に逆行するアートとしての(2018.03.23)
絵画のように生まれ、映画みたいに生きた、まるで彼女は、彼女の生き写しだ。
(「Tokyo in Picture」フライヤー)
君に出会ったーー取り返しようのないくらい。
幻でもなく、間違いでもなく、たしかに。
………
求めてるのはハートだけ。
差し出せるのはアートだけーーそうでしょう?
(For Tracy Hyde「Theme for "he(r)art"」)
緊張
ドッツ5thワンマン「Tokyo in Picture」について(2018.02.17)
・・・・・・・・・(以下、ドッツと表記)の5thワンマンが、2月19日に行われます。以下では、「Tokyo in Picture」というタイトルに込められた意味、そしてこのワンマンが「時代に逆行する」ライブであると予告されていることの意味、これらのことを考えてみます。
ここで手掛かりにしていきたいのは、ワンマンのフライヤーに書かれてある言葉です。そこには次のように書かれてあります。「絵画のよ
「この私」に常に取り憑くアイドル――・ちゃん、幽霊、量子力学(2018.01.01)
「会いに行けるアイドル」から「常に纏えるアイドル」へ。あるいはさらに、「この私」に常に取り憑くアイドルへ…。・・・・・・・・・(以下、ドッツと表記)のコンセプトに忠実に、もしかしたらドッツ以上にそのコンセプトに忠実に、その参照点である東浩紀の議論を参照しつつ、「この私」に取り憑いている幽霊としての・ちゃんのありさまを描いてみたい。以下で断片的な形ではあれ試みられるであろうことにかんして、さしあた
もっとみるTokyo in Books――・・・・・・・・・の思想的背景について(2017.10.16)
1、はじめに
この記事では、2016年9月から活動している日本の女性アイドルグループ「・・・・・・・・・」(以下、ドッツと表記)のコンセプトの思想的背景を明らかにしていく。端的に言えば、ドッツのコンセプトに大きく影響を与えていると考えられる思想家・評論家として、東浩紀、宇野常寛、濱野智史の名前を挙げることができるだろう。基本的にはこの三者の議論を辿ることが多くなるが、彼らの議論における共通の問
・・・・・・・・・2ndシングル「Tokyo in Cage」について(2017.10.08)
現在「アイドルと芸術」展で展示されている・・・・・・・・・(以下、ドッツと表記)の2ndシングル「Tokyo in Cage」を鑑賞してきました。主な感想は3つ。1つ目と2つ目は短くて、3つ目は少しだけ長くなります。では1つ目から。
と思ったけどこの曲の説明をしていなかったので、まずはそこから。簡単に済ませると鈴虫の入った虫かごが5つ置かれてます。それだけです。では、本当に1つ目の感想
古村雪「ポストスーパーフラット・アートスクール成果展ファン投票最優秀作品『会いに行け アイドル(2035年)』作者解説」を読む(2017.09.17)
タイトルが長くてすみません。今回の記事は、・・・・・・・・・(以下、ドッツと表記)のコンセプト担当である古村雪さんが2014年に書いた「ポストスーパーフラット・アートスクール成果展ファン投票最優秀作品『会いに行け アイドル(2035年)』作者解説」(以下、「作者解説」と表記)の一部を読んでいき、そこから読み取れる内容とドッツのコンセプトとの関連について探っていく、というものです。少し長めになりま
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