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もっと早く言ってよ。 一田憲子

生活のこと、人間関係のこと、持ち物やファッションのこと、お金のこと、身体のこと、食事のこと。
つい考え過ぎてしまったり、嫌な気持ちを引きずってしまいがちな私にとって「書く」ことはとても大事な時間である。書くことで思考を整理し、気持ちを落ち着ける。

書くだけでは気持ちが晴れないような時、誰かに話を聞いてもらいたいなと思うこともある。けれど、自分の話を一方的に聞いてもらうのは申し訳ないような気もする。

ちょうどそんな「モヤモヤ」を抱えていたときに読んだ本。

もっと早く言ってよ。50代の私から20代の私に伝えたいこと
一田憲子

50歳を超えた著者が多くの経験を経て「わかった」ことを、20代の自分に語りかけるように書いた本である。
一田さん自身が「もっと早く言ってよー!」と思ったことをまとめてくれた本、と言ってもいいと思う。

年上の友人と、カフェでお喋りしているような本

もっと早く、そのことを知っておきたかった!
もっと早く、そのことについて理解しておきたかった!

こんな風に思うことがしょっちゅうある。

知ってたんだったら誰か教えてよ!
そう、「もっと早く言ってよ」。この本のタイトルである。

まるで年上の友人、仲の良い先輩とお茶しながら喋っている様な、そんな雰囲気で話が進んでいく。

一田さん自身が経験されたこと、そして今そのことをどう思っているのか。
その経験から「きっとあなたもこういうことを思ったり感じたり経験するかもしれないけれど、そうなったらこうしたらいいと思うよ」「それはきっとこういうことなんだよ」「そのためにこうしておいた方が良いよ」「大丈夫だよ」と語りかけてくれる。

押し付けがましくなく、こうすべきである、という強要もない。

20代の私に、と副題がついているが、どの年代の人が読んでも参考になる話ばかりだと思う。
私はすでに30代だが、50代まであと15年以上ある。
15年の人生経験の差は大きい。

本を読むことは、話を聞くこと

著者自身も後書きに書いているのだが、20代の人が読んでも、全てを素直に受け入れることは難しいだろうなと思う。

それは当たり前である。

「ああ、こういうことなのだ」と納得できるのはそう思う過程に困難や失敗などの様々な経験があるからで、その過程をすっ飛ばして「わかる・理解する」ことはできない。

しかし、事前に知っておくことで「今後こんなことがあったら、こういう風に考えればいいのだな」「もしこうなっても、きっと大丈夫なんだ」「こうならないように、今からこうしておこう」と、備えることができる。
心構えができていれば焦ることもないし、大きな失敗を小さな失敗にできるかもしれない。

「先輩の話を聞いておいてよかった〜、私は今のうちにこうしておこう」と生活や自分自身を見直すきっかけになったことはないだろうか。

一田さんという人生の先輩からのアドバイスを「読む」ことは、年上の友人や先輩の失敗やアドバイスを「聞く」のと同じである。

他人の考えを知り、固執した考えから脱却する

自分の考えがまとまらなかったり堂々巡りになってしまうような時に必要なのは、「話を聞いてもらう」のではなく、「誰かの話を聞く」ことなのかも知れない。

直接人に会って会話ができなくても、本を読めば他人の考え方を知ることができる。
他人の考え方を知ると、自分を縛り付けている「こうでなくてはならない」という呪縛から解放されたり、今まで見えなかったことが見えてきたりする。

一田さんの掃除の仕方や集中力との付き合い方については、ものすごく参考になった。生活の質の上げ方とはこういうことなのだなと、たくさんヒントを得ることができた。

読むなら一日でも早くどうぞ!とお薦めしたい。


一田さんの本はこちらもとっても参考にしている。


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