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#創作大賞2023

詩|COLORFUL

詩|COLORFUL

あかるい
いろたちが
うたいだす

えいえんに
おぼえていたい

カラフルで
キラキラとかがやく
くちずさみたくなる
ケーキのようにあまい
このメロディーを

さわやかなかぜにのって
しあわせのおとがきこえる

すこしだけせすじをのばしたみどりいろが
せなかをおす

そそくさと
たちさるように
ちょっとはずかしがりやの
つめたいみずいろが
てをつなごうとささやく

とまりたくないんだよと
なにより

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詩|波乗りジャジー

詩|波乗りジャジー

寄せて
は返す波
に、僕はい
つ乗ることが
できるのだろうか
寄せた時か返す時か僕
にはそれすらわからない。波
に乗り気持ちよさそうに泳ぐ人達
を眺めながら、僕は一人砂浜に佇
むだけなのだ。しかし、この
場所に長くいすぎた。
足が埋もれて動く
ことができな
い。僕は波
にも乗
れず、
どこに
も行くこ
とができない。
水平線を見つめ、
波がない海があるこ
とに今さら気づく。こん
なに穏やかな海もあ

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詩|Candy

詩|Candy

飴細工みたく
生きてみたかった

宇宙をアメに閉じ込めて
えいやと噛じったら
おなかいっぱいに
悲しみが広がって
綺麗な涙が
空気に溶けちゃうような

結晶化した悪夢をアメに閉じ込めて
こなごなに砕いたら
サーカスが現れて
シュールな曲芸中に
スコールが降って
世界が水浸しになっちゃうような

底なしに
楽しそうなことだけアメに閉じ込めて
ちょっとずつ舐めてたら
つまらなくなって
手がベタベタにな

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詩|THE END

詩|THE END

朝から君が上機嫌
悪戯に復元されない不機嫌
後ろに束ねた髪も跳ねる
笑顔を噛み殺して何を考えてるの

おざなりになったトースト
考える間もなくそれは突然に
君と僕との間に打たれる句点
クチナシが白々しく香る

決意表明?いや強制終了?
コードを至急解析せよ
五月雨式に0と1が整列する

真実はこれだ
すなわち
正解はここだ
そしてそしてそうだ

楽しげなコードの行進
散らかった思考を更新

詰まる

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詩|枠の中には、いたくない。

詩|枠の中には、いたくない。

枠に収まるのを嫌がって自由なフリをする。でも案
外、枠に収まりながら、枠の中で遊べる人が自由じ
ゃないかって思ったりする。だって彼らの心はいつ
も、枠の中に  はなく思考も
心も枠の外に あって。だけ
どあえて枠の

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詩|parade

詩|parade

明後日のホウに
色トリどりのネオン
ウサギおどる
エンドロール
おしゃべりな
仮面たち
キラキラの
靴で
ゲートをクグッたら
コンチェルトに乗せてダレカが
囁いた

死んでもユメは終わらないよ
捨てられないオモイを
セカイの真ん中にしちゃイケない
そんなモノは
タナにあげときな

チッタカター
ツッタカター
テッテケテー
トットコトー

ナマエはどこにいった
ニーチェにきいてみようか
盗まれたなら

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詩|RAIN

詩|RAIN

雨が
彩る世界に
歌が舞う

エチュードの
終わりに
風に
キスして
靴音とともに
喧騒さえも
越えていく

さっきまでの
静けさは
砂にしみて
世界が
そっと目を覚ます

ダンスを踊りましょう
チークに淡い青色をのせて
つま先から
手の先まで
とっておきの服を着て

流れる泪は
にわか雨とお友達
塗りたての
ネイルの上を
ノクターンが
走り出す

一人きりの夜に
ふたり
隔たりを感じた日を思い出

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詩|たまごのはなし

詩|たまごのはなし

卵が先か鶏が先か
なんて神様しか知らな
いんじゃないの?なんて彼
女に言ったら、そんなしょうも
ないこと聞きたくないと怒りだすも
んだから、ダーウィンの進化論の話をし
たら、また怒り出す彼女。あなたと会話が
したいのよ、と言うがこれは会話じゃなかっ
たのだろうかと、好きな卵料理の話を振ってみ
た。あなたまた私の卵料理が固すぎるって文句
言うつもりねと怒る彼女に僕は何と声をかける
のが正解だろうか。

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詩|SKY

詩|SKY

明日が
いい天気だといいな

うんざりするような雨だって
映画のワンシーンみたいに
思い出になる出来事があればいい

からっと
気持ちよく晴れてるのもいい
曇りだって素敵

喧嘩したって
小雨が降って
さした一本の傘のおかげで仲直り

幸せな気分になりたくて
素敵な
背中の
そばまで駆け寄って
タッチして
ちょっとだけ
繋いだ右の

と左の手

何気なく見上げた空を
虹が七色に
塗ってたら
猫に

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詩|7分間、沸いている。

詩|7分間、沸いている。

湯を沸かすのは卵を
茹でようと思ったか
らなのだが、鍋に卵
が入っていない。私
の頭が沸いている。

沸かした湯を沸いた
頭で眺め、手に持っ
た携帯電話で何をし
ようとしたのかを検
索しても解らない。

役に立たない文明の
利器め!と沸いた湯
で、携帯電話を茹で
てみると、ふと卵の
ことを思い出した。

ゆで卵を作るんだっ
た。携帯電話が熱湯
の中で叫び続けてい
る。熱湯の中でも壊
れない?!まじ

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詩|王子様は、待たない。

詩|王子様は、待たない。

あなたなら
息をするだけで
美しいのでしょうね
絵本の中の
お姫様みたいに
かなしみの涙さえ
綺麗な宝石に
苦しそうなその顔も
気だるそうなため息も
粉々になった夢も
冷めてしまった珈琲でさえも
幸せそう
すんでのところで
背を向けたのは正解でした
背けた背中から
立ち上るは征服欲
血のように真っ赤な美味しい林檎をどうぞ
追悼の準備は整っています
手の平に爪痕
止まらない鼓動
流れ出す雫
虹の終わ

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詩|橙ヲ、消化セヨ。

詩|橙ヲ、消化セヨ。

空が橙に染まる。
川も、山も、カレーの匂いがするあの家の窓も、橙に染まる。

「きれいな夕焼けだね」
公園帰りの子どものお母さん。
あの子の頬も橙に染まる。
「きょうのばんごはん、なあに」
橙の頬のあの子がにこにこしてる。
「今日は、オムライスにしようかな」
お母さんの頬も橙だ。

私の頬も橙に染まっている。
橙は私の身体中に染みていく。
胃の、ずっと奥の方に仕舞い込んだはずの今日が、胃液に押し上

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詩|結露する、私。

詩|結露する、私。

周囲の熱と、冷め切った私
結露が体内を満たしていく
プランクトンを育て魚を飼う
大きな魚の背びれに捕まり
悠々と泳ぐ海はどこまでも深い
そのうちに結露が溢れ出す頃
ようやく、私が生まれる

詩|足跡

詩|足跡

今日の地続きに明日があって
歩いてきた足跡に昨日がある

道のりが長ければ長いほど
道のりが険しければ険しいほど
見えるのは近くばかりで

日が昇り
日が沈む
月が昇り
月が沈む
雲が流れ
風がくすぐる

あの水平線の向こう側に明日があって
振り向けばその水平線の向こうに昨日がある

どこまでも続く平らな道でも
先の見えない山道でも
立ちすくむことは恐怖と隣合わせで

日が昇り
日が沈む
月が昇り

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