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帰宅後、餃子を100個包む。え?! ひとりで?

帰宅後、餃子を100個包む。え?! ひとりで?

朝は、やる気に満ちあふれていた。

「今日の晩ごはんは、餃子よ」
朝からキッチンで餃子のタネを仕込みながら、私は餃子でビールを飲む自分の姿を想像しては、ニヤけていた。

想像の中の私は、現実の私より30%ほど脂肪がカットされ、顔面はテイクアウトの消費税分と同様に10%ほど美しさが上乗せされている。鏡を見るたびに、現実を知り落ち込む日々だが、鏡を見さえしなければ、楽しい日々だ。能天気脳バンザイ!

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仕事に行くのがダルい私と、学校に行きたくない次男。

仕事に行くのがダルい私と、学校に行きたくない次男。

朝っぱらから、我が家には不穏な空気が流れていた。

その時刻、7時58分。
そろそろ家を出なくては、遅刻してしまうギリギリの時間。

ああ、暑いし、仕事行くのだるいな。

そんなことを考えながら、玄関を出た。足元を見ると、アリが歩いていた。アリと目が合った気がした。アリが「間に合うの?」と聞いてきた気がして、私はこう答えた。

わりとギリギリッス

しょうもないダジャレが思いつくぐらいには、今日も

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夫がお取り寄せするものからしか得られない栄養がある

夫がお取り寄せするものからしか得られない栄養がある

一年近くになるだろうか。

夫はお取り寄せにハマっている。元々推し活をしていた彼だったが、コロナ禍で一気に推しとの距離が開いてしまい、現場に出向くとこがめっきり減った。推しに使わなくなったお小遣いを利用して、夫は自分の食べたいものをお取り寄せしている。

「いいの見つけた〜」
「週末は、これで海鮮丼だぜ」
「お得だった」

などと言いながら、堪えきれない喜びを口元に滲ませて、私にお取り寄せの報告を

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古傷が疼き始めた……

古傷が疼き始めた……

横を向くと、小学5年生の次男が右腕を伸ばしたり、曲げたりしていた。

「なんか腕が痛い。曲げるところが痛い」
訝しげな顔をして、肘の内側が痛いと訴えてくる。肘の内側の名前はなんと言うんだろうか。私は知らない。呼びかけたこともない。なかやまきんに君なら、コイツに親しげに話しかけるのかもしれないが、私はなかやまきんに君ではなかった。身近な場所なのに名前を知らなかったことに私は衝撃を受けた。注射を打って

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きょうだいげんかの行方

きょうだいげんかの行方

その考えは、私の驕りだったことに気づいた。
日曜日の夜の出来事。

🌝

我が家には高校2年生と小学5年生の息子がいる。6学年離れているので、兄弟というより、一人っ子が二人みたいに育ってしまった。元々の性格もあるのかもしれないが、とにかく二人ともマイペース。そして、オンラインゲームのやりすぎで煽り体質。顔を付き合わせれば、とにかくよく喧嘩をする。

反抗期でイキりまくっている小学5年生が、高校2

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平戸と夏の思い出

平戸と夏の思い出

旅行先を平戸に決めたのは、特別な理由があったわけではない。ペットも泊まれる宿を平戸に見つけたからだった。

そこにペットも泊まれる部屋があるからだ。

愛犬家、そう呼んでもらっても構わない。犬と一緒に旅行に行きたいというのは人間のエゴなのかもしれない。エゴの意味はよくわからない。夏休みだから旅行に行く。犬がいるからペット可の部屋に泊まる。つい先月も伊王島に行ったから、お値打ちの宿に泊まる。ほとんど

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吾輩が感じる夏

吾輩が感じる夏

吾輩は犬である。

名前はポッキー。マルチーズとトイプードルの遺伝子を持つものである。毛は白く、ふわふわ、或いはもふもふとしている。

吾輩は6月で齢1歳となった。昨年の夏のことは覚えていない。ペットショップで過ごしていたし、赤子だったことが原因だろう。記憶がない。ほぼ初めての夏だと言っていい。そして今年の夏が、今の家に来てはじめて過ごす夏である。

しかし、暑い。とにかく暑い。

吾輩の夏に対す

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i+Land nagasakiに愛犬と泊まってきた(長崎市伊王島)

i+Land nagasakiに愛犬と泊まってきた(長崎市伊王島)

長崎は今日も雨だった。

7月13日(土)15:00
天気予報が当たった。雨が降った。

豪雨。

せっかくの旅行なのに、雨だなんてついてない。
なんてことは思わなかった。むしろよくここまでもってくれたと私は感謝した。

☔️

一週間前からずっと、私は天気予報とにらめっこをしていた。
それも一つの天気予報ではない。私は複数の天気予報を検索しては落胆し、検索しては喜んだ。ウェザーニュースにWind

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空っぽのはずの水筒に入っていた氷の半分は、

空っぽのはずの水筒に入っていた氷の半分は、

カラカラと水筒の音を鳴らして、息子が家に帰ってきた。

額には汗。空には入道雲。青とも水色ともつかない夏の空は、私が小学生の頃と何一つ変わっていない気がした。水筒を鳴らしながら意気揚々と息子が帰ってきたのは、今から6年前。今、高校2年生の息子が小学5年生の頃のこと。そんなことを思い出す夏の日の空は変わらずに青く、そして、白い入道雲がもくもくと夏空を支配している。照りつける太陽の熱は、どことなしか今

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夏仕様の吾輩

夏仕様の吾輩

吾輩は犬である。名前はポッキー。

マルチーズとトイプードルの遺伝子を持つ、齢1歳のアダルトな犬である。6月の福岡は暑い。これからもっと暑くなることは、この世に生を受けて一年しか経たない吾輩でも想像に難くない。

おとんとおかんが吾輩の毛をカットしに連れて行ってくれた。もふもふのかわいい吾輩を短髪のシュッとしたイケメンにイメチェンしようというおかんの魂胆が見え見えである。任せてくれたまえ。吾輩はか

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ハピバオレ!

ハピバオレ!

吾輩は犬である。名前はポッキー。

むしの日に生まれた犬。それはまさしく吾輩のことである。6月4日で齢一歳となった。人間年齢にすると17歳。世が世なら、吾輩は成人である。そう、もうオレ、大人。

誕生日の朝、吾輩は散歩中、橙色のいい匂いのする丸いものを見つけた。こっそりと口に咥え持って帰ろうとしたところ、例の如くおかんに見つかった。いつもはのっそりと歩いているおかんだが、吾輩の盗み食いを見ると、途

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俺のはいつも、兄ちゃんのお下がり。

俺のはいつも、兄ちゃんのお下がり。

薄手の長袖のシャツ一枚がちょうどいい気温だった。
朝晩は少し肌寒くも感じたが、昼間は少し歩けば体が温まり、袖を捲りたくなるほどのいい天気。

今朝も相変わらずバタバタしていた。小学五年生の息子が、出勤時刻5分前に今週の時間割を出してきた。持ち物の欄を見て、私はガックリと肩を落とす。

裁縫道具。

昨日言って欲しかった。小学五年生になると裁縫道具が必要になる。学校から購入申し込みの封筒が届いていた

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