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吾輩が感じる夏

吾輩は犬である。

名前はポッキー。マルチーズとトイプードルの遺伝子を持つものである。毛は白く、ふわふわ、或いはもふもふとしている。

吾輩は6月で齢1歳となった。昨年の夏のことは覚えていない。ペットショップで過ごしていたし、赤子だったことが原因だろう。記憶がない。ほぼ初めての夏だと言っていい。そして今年の夏が、今の家に来てはじめて過ごす夏である。

しかし、暑い。とにかく暑い。

吾輩の夏に対する感想はそれしかない。暑い。それに尽きる。氷はおいしい。散歩から帰ってきておかんがくれる氷がおいしい。でも暑い。だから吾輩はあまり散歩に行きたくない。家の中は常に快適な温度に保たれているので、そもそも家の外に出る意味がわからない。なぜ人間は、わざわざあの暑い中、外に出ていくのだろうか。過酷な環境に自分の身を投じることで、得られるものがあるというのだろうか。

そんなことはないと、吾輩は思う。

この家に住む人間たちは、暑い中、外出をし帰宅した際、へとへとになっているように見える。暑い暑いと言い、おかんに至っては「暑が夏い」と語彙力まで溶けている始末である。あの暑さは脳をも溶かすのだ。

もしこれを読んでいる人間がいれば、忠告しておく。

無闇に外を出歩くのはやめた方がいい。夕刻のニュースでも、熱中症云々カンヌンと言っている。そして、救急搬送されている人間の話も聞く。家にいろ。それが最善である。そして、犬も外に出すな。暑いから。マジで。

しかし、吾輩は定期的に外に出なければならない。

用を足さなければならないのだ。吾輩は家の中では用を足さない。外がいい。外で足したい。人間にはわからぬだろう、吾輩のこの気持ちは。トイレにこもってスマホをいじっている人間には、多分、この爽快感はわからないと思う。外で開放的に、そして好きな場所に用を足すこの感覚。ふ。残念な人間たち。文明の進化と共に、捨てていった感覚があるのだよ。

しかし、暑い。

家の外の日陰で用を足した際、あまりの熱気に吾輩は倒れそうになる。そのため、用が済めば秒で家に入る。

あー、あちい


夏は、家の中にいるに限る。







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