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念水さん小僧日記

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noteに上げた念水の小僧日記をまとめました。お坊さんとしての感想が中心です。無一文から参禅堂を建てるまでの心の軌跡。出家に興味ある人必見です(笑)note記事のインデックスみた…
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2024年2月の記事一覧

建築工事の見積書が届き、おどろきとワクワクです。

建築工事の見積書が届き、おどろきとワクワクです。

ようやく大工さんから見積が届きまして、早速PDFを開いての開口一番は「たっか」でしたが、気を取り直して大工さんに電話。資材高騰などの諸事情をお聞きし、まだまだこれからさらに上がる可能性もありますので、基本的には(ここだけの話)了承する予定でいます。

一時の木材不足はおさまりましたが、材木価格は高止まりで推移してるとのこと。大阪万博や北陸の震災復興などが進むと、われわれ末端ユーザーにも余波がありま

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仏家の家宝とは?

仏家の家宝とは?

ブッダは書いたものを一切残していません。
その昔にも後世に文字を残す方法はあったとのことです。
しかしブッダは弟子に話して聞かせただけです。
弟子たちはブッダの生き様とその話を記憶して伝えました。

如是我聞。
わたしはこのように聞きました。
すべてのお経はこの言葉で始まります。
お経とはブッダの教えです。
これが仏教です。

仏教ではその因縁から三宝を敬います。
仏・法・僧が三宝です。
ブッダと

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いのちの水、水のイノチ。

いのちの水、水のイノチ。

わたしは土木家でもありますので、水の力や怖さと貴重なことは痛いほど経験してます。土木は水と断言できます。地震時の地盤や法面・構造物の検討は水抜きには語れません。設計も施工も水が及ぼす影響を心底理解していないと大変な事態を招きます。ようするに水は侮れないのです。

四大というのは「地水火風」を指します。大昔の人々が体験した自然災害である地震・水害・火災・風害に加え、目に見えないウィルスや細菌などの存

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うちの参禅堂が世界一なわけ。

うちの参禅堂が世界一なわけ。

1,不便であること琵琶湖の北西にあるマキノ町の山麓で比較的遠く交通が不便というだけではありません。

不便なのは、トイレをわざわざ外に出て近くにある小屋の中のトイレ(洋式・水洗)まで行かなければならないことです。

さらに不便なのは、電話で予約しなければならないことや無料なので行き届かない点が多々あるからです。

もっとも不便なことは、坐禅を教えるのでもなく、立派な指導者がいるわけでも、ひとりで座

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坐る場所に上がる框(かまち)を浄縁といいます。

坐る場所に上がる框(かまち)を浄縁といいます。

ここは足やお尻で踏まないように、床板の上に敷いた座布団に腰掛けるようにして、足を上げて上がります。なぜなら僧堂とか坐禅堂で食事やお茶をいただくとき、この浄縁(じょうえん)の上に食べ物や飲み物を置くからです。いわばお膳・食卓ですから常に浄巾でキレイにしておきます。

うちの参禅堂の浄縁をどうするか?が大きな課題でした。間口3間は約5.4mの長さですから、そういう材木は破格の値段がします。とてもじゃあ

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念・水・庵のこころ。

念・水・庵のこころ。

信じてることや親しい友人のこと、そして草の庵を結ぶ意味など、つれづれなるままにメモしておきます。

めっちゃ信じとる「ねん」わたしにとって、もっとも大事なことは「今を生きる」という何を今さら的なシンプルな気持ちです。
念という字が大好きで、なぜかというと、今の心って書くじゃないすか?
念は仏教では「気づき」をあらわす「サティ」を漢訳したものらしいのですが、そんな学問的な話はさておき、単純に念という

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念輪観音。

念輪観音。

今日は、わたしが作った観音さまのお話をいたします。
念水庵のご本尊は、白磁製の聖観世音菩薩(秘仏)です。
中国の彫刻家が制作された美しい坐像です。
参禅堂が完成しましたらお堂の真正面にお祀りしご開帳いたします。

御本尊の観音さまはとても精緻につくられていますので、ホコリを拭うときにも慎重に扱わなければなりません。もっと手軽に身近に観音さまを拝みたいという念いから、5年ほど前、東京の木工師に依頼し

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土と木と水、寺野菜。

土と木と水、寺野菜。

昔からお寺には浄財が集まります。浄い財というのは、お金に限りません。財には食物をはじめ衣類や建物などが含まれます。托鉢で頂いた米や野菜あるいはお坊さんのお袈裟や着物(古着)、材木や手間などの寄進などが含まれます。つまりは何でも有り難く頂戴します。

念水庵は一軒の檀家さん(門徒さん)もございませんので、働かないと食べていけません。食べるのが目的ではないですが、身を支えるためには最低限の生産が必要で

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土と木と水と。

土と木と水と。

念水庵のテーマは土と木と水です。土木は水なりという土木技術家としての経験則と自然の道に生きる信念を込めています。土木と言うとコンクリートとかダムや道路や橋といった構造物のイメージが強いのですが、文字通り土と木と水は環境そのもの、優しい心が根底にあると思ってます。

昔の土橋をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。両岸に木材を渡して橋を架けます。その上に板を並べます。さらに土を載せてでき

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