さんかくとまる

日記代わりに詩を書いてわたしがなにを感じているのか考えています。その中でできたお気に入…

さんかくとまる

日記代わりに詩を書いてわたしがなにを感じているのか考えています。その中でできたお気に入りをあげています。

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【詩日記】 日々

日々      君が愛したかった人は  今頃どこかで君よりもかわいい女に愛されてるよ  君よりも安心する腕の中で頭を撫でられて  拾われた子犬みたいな何も疑わない無垢…

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【詩日記】 夢

夢      それは長い螺旋階段を延々と昇り続けるようだった  上からしゃがれた声がする  僕は星に触りたかった  ずっと上まで飛べるように作られたはずだから僕は歩き…

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【詩日記】知らない映画の予告編

知らない映画の予告編      知らない映画の予告編ばかり見させられる  嘘みたいな話だけれど本当に知らないんだ  登場人物が誰もいない映画  背景がずっとグリーンス…

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【詩日記】 雫の結晶

雫の結晶      大きな水槽から溢れて溢れて仕方ないんだ  みんなの教室から見える運動場にある  液体は地面に着いた瞬間に雫の結晶になる  それを僕はかき集める  …

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【詩日記】 見えなくして

見えなくして      わたしのこと見えなくして  そうしたら今よりもっと上手く暮らせる気がする  わたしの好きなものと好きな人も見えなくしてほしい  ずっとわたし一…

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【詩日記】 八月

八月      部屋のカレンダーが八月で止まっている  そういえば今年は夏以前の記憶がない  もうすぐ今年も終わろうとしているのにな  出会うはずだったあなたにさよう…

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【詩日記】 不自然

 不自然      電車で忘れ物をしたくなくて  右手を頑なに離さないキャリーケース  それ不自然だよ  君が好きだと言っているスマートフォン  触れないでしょう  手…

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【詩日記】 送信

送信      LINEの送信ボタンを押すときは  いつも命懸けだ  誰かはあたしのことを好きになってね  誰からも返事がなかったら  やっぱり取り消そう  このメッセージ…

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【詩日記】 こぼれる

こぼれる      心から液体がこぼれました  月からこぼれた雫が湖に波紋を描くみたいに  湖畔では髪の長い女が花を見つめています  僕も真似をして湖畔で花を見つめま…

【詩日記】 冬

冬      ほらまた来たね  さようならの発音が嫌いで  さっきからずっと口の開け方を考えている  花束の色は黄色がいいよ  手紙は差し込まないよ  僕ら字が汚いから…

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【詩日記】 月まで

月まで    月まで行こう  と昨日君に誘われたこと  昨日までの課題が終わらなかったこと  どっちが大変なことだったのか  早朝の炭酸はただの刺激だ  いたいいたい…

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【詩日記】 透明

透明      君が透明になって消えたら  わたし忘れられるのに  触れられそうにないくらい  月の光で透けている君に  かわいそうなことを言った  口から出るごめんな…

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【詩日記】 永遠の夏

永遠の夏      永遠って言葉が一番永遠を不存在証明している  僕たちは別れるたびに永遠の不存在証明をQ.E.D.する  そして新しく出会うたびに永遠を約束して答案用紙…

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【詩日記】 残骸

残骸      今日も誰にも愛されなかった残骸が  そこかしこに横たわっている  駅前の清掃活動は今日も大変だろう  朝日で残骸たちは目を覚ます  虚な目でまた一日を…

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【詩日記】

初めまして。さんかく とまると言います。わたしは気持ちを詩にして日記代わりにつけています。気が向いたら定期的にお気に入りの詩をここに残していきます。 わたしのこと…

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【詩日記】 日々

日々
 
 
 君が愛したかった人は
 今頃どこかで君よりもかわいい女に愛されてるよ
 君よりも安心する腕の中で頭を撫でられて
 拾われた子犬みたいな何も疑わない無垢な目をしているよ
 愛なんて所詮安いもんだ
 少し顔が好みで少しわかったふりをされただけで簡単に好きになる
 だから君が愛したかった人はきっと
 今頃チープな愛で満たされているよ
 そうやって愛を取り換え式カートリッジみたいに定期的に

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【詩日記】 夢


 
 
 それは長い螺旋階段を延々と昇り続けるようだった
 上からしゃがれた声がする
 僕は星に触りたかった
 ずっと上まで飛べるように作られたはずだから僕は歩き続けた
 そんな僕を一匹の鳥がしゃがれた声で笑いながら飛んでいく
 赤青緑の鮮やかな鳥たちが真剣な眼差しで昇っていく
 早く鳥になりたかった
 もう二度と人に戻れないとしても僕はそれでよかった
 どうせ元に戻っても僕の居場所は新しい子

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【詩日記】知らない映画の予告編

知らない映画の予告編
 
 
 知らない映画の予告編ばかり見させられる
 嘘みたいな話だけれど本当に知らないんだ
 登場人物が誰もいない映画
 背景がずっとグリーンスクリーンのままの映画
 ずっとコップが宙を漂うだけの映画
 知りたくない情報よりもましだ
 夜が明けるまでずっとずっと
 空が暗い間中ずっと見せられる
 僕以外の席はぬいぐるみで埋まっている
 さっき買ってきたような新しいものから古び

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【詩日記】 雫の結晶

雫の結晶
 
 
 大きな水槽から溢れて溢れて仕方ないんだ
 みんなの教室から見える運動場にある
 液体は地面に着いた瞬間に雫の結晶になる
 それを僕はかき集める
 とても綺麗だから
 太陽にかざすといろんな光を放つんだ
 ねえ見て。
 振り返ったけれど誰もいなかった
 見せたい人はいるんだろうけれど
 すぐには思いつきたくないんだろう
 
 この結晶で『エイエン』って文字が書けるとここから出して

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【詩日記】 見えなくして

見えなくして
 
 
 わたしのこと見えなくして
 そうしたら今よりもっと上手く暮らせる気がする
 わたしの好きなものと好きな人も見えなくしてほしい
 ずっとわたし一人だけで囲っていたい
 
「都会の夜は明るすぎて人の心が隠れてしまう」
 都会で初めて好きになった人が教えてくれた
 わたしは夜にしかあなたに会いに行かなかった
 
 夏はいつも一人じゃないから好きだと思う
 夏が終わると冬を越えるた

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【詩日記】 八月

八月
 
 
 部屋のカレンダーが八月で止まっている
 そういえば今年は夏以前の記憶がない
 もうすぐ今年も終わろうとしているのにな
 出会うはずだったあなたにさようなら
 この後の人生も楽しく過ごしてね
 
 いらないって日本語が
 稚拙でストレートで好きだ
 この世で一番最初に覚えた言葉
 だからあの日も口をついて出たんだ
 
 僕は今、あの日見つけた感情を探している
 羊文学とマユリカのラジ

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【詩日記】 不自然

 不自然
 
 
 電車で忘れ物をしたくなくて
 右手を頑なに離さないキャリーケース
 それ不自然だよ
 君が好きだと言っているスマートフォン
 触れないでしょう
 手を離したらどこかに行くものなんて
 もともと君のものじゃないよ
 力尽きていつか君が手を離してしまうよ
 
 熱いと冷たいを交互に混ぜて
 まるでいいこと言ってるみたいな
 見え透いた歌詞に踊らされている
 君がかわいそう
 もしも

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【詩日記】 送信

送信
 
 
 LINEの送信ボタンを押すときは
 いつも命懸けだ
 誰かはあたしのことを好きになってね
 誰からも返事がなかったら
 やっぱり取り消そう
 このメッセージが消える前に
 あたしが消える可能性があるから
 
 タバコに火をつける瞬間はいつも寂しい
 好きなはずなのに
 喫煙所に縛られている
 煙が狭い空間に辟易して
 空に逃げていく
 君が教えてくれたバニラのフレーバー
 今でもち

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【詩日記】 こぼれる

こぼれる
 
 
 心から液体がこぼれました
 月からこぼれた雫が湖に波紋を描くみたいに
 湖畔では髪の長い女が花を見つめています
 僕も真似をして湖畔で花を見つめました
 女はうっすらと発光していました
 
 雨の音がうるさく
 その日はついに愛が聞こえませんでした
 土砂降りの雨で全て流してなかったことになんてことはなかったんです
 だから僕は今一人を噛み殺していて
 まるで二人のふりをして日

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【詩日記】 冬


 
 
 ほらまた来たね
 さようならの発音が嫌いで
 さっきからずっと口の開け方を考えている
 花束の色は黄色がいいよ
 手紙は差し込まないよ
 僕ら字が汚いからきっと読めない
 花から香る匂いでくしゃみが出そう
 くしゃみの勢いで
 これがなかったことになればいい
 君と手を繋ぐのはこれが最後
 手と手の間に君の好きな歌を挟もう
 僕は上手く歌えないけれど
 君が聴かせてくれるならそれでい

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【詩日記】 月まで

月まで
 
 月まで行こう
 と昨日君に誘われたこと
 昨日までの課題が終わらなかったこと
 どっちが大変なことだったのか
 早朝の炭酸はただの刺激だ
 いたいいたいのおまじない
 君は月に行ったっきり帰って来ない
 だって ね 夜にしか出て来ないでしょ
 ねえ そんなに悲しそうな顔をしないで
 今は映像が発達して
 月の裏側からだって繋がるんだから
 画面越しに出した小指で指切りげんまん
 何も

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【詩日記】 透明

透明
 
 
 君が透明になって消えたら
 わたし忘れられるのに
 触れられそうにないくらい
 月の光で透けている君に
 かわいそうなことを言った
 口から出るごめんなさいが
 透けてしまって全然届かない
 仕方がないから手を出してもらって
 その上にごめんなさいを乗せた
 ごめんなさいを触った君が悲しそうに笑った
 その笑顔が最後に見た表情になった

【詩日記】 永遠の夏

永遠の夏
 
 
 永遠って言葉が一番永遠を不存在証明している
 僕たちは別れるたびに永遠の不存在証明をQ.E.D.する
 そして新しく出会うたびに永遠を約束して答案用紙を書き始める
 夏の汗で答案用紙がにじんで一つだけ証明できなかったものがある
 彼女は今もどこかで元気にしてくれていると嬉しい
 
 蝉の声を聞きながら寝て起きると蝉の声がする
 蝉は七日間鳴き続けて死ぬという
 蝉にとっては永遠

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【詩日記】 残骸

残骸
 
 
 今日も誰にも愛されなかった残骸が
 そこかしこに横たわっている
 駅前の清掃活動は今日も大変だろう
 朝日で残骸たちは目を覚ます
 虚な目でまた一日を生きながらえる
 誰にも何にも声をかけられず生きている
 誰にも愛されなかった残骸たちは
 家にたどり着くことがなく
 駅でいつも力絶える

【詩日記】

初めまして。さんかく とまると言います。わたしは気持ちを詩にして日記代わりにつけています。気が向いたら定期的にお気に入りの詩をここに残していきます。
わたしのことを誰かが知ってくれると安心する気がします。