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光沢があり、そして臆病で、逃げ足が速く、ときおり飛びもする、卑しい生き物、いや、私たちから忌み嫌われる哀れな生き物、について
榎本 今日は家庭でよくおみかけする、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリのみなさんにお越しいただきました。いやあ、見ていられないですね、気持ちが悪くて。今回はどうして気持ち悪いと思ってしまうのか、検証してみたいと思います。まず、私が思うのは、その光沢なんですよね、なんなんですか。
クロゴキブリ ただいまご紹介にあずかりました、クロゴキブリです。この光沢は、主に脂質なのですが、簡単にいえ
「痴漢」だったわたしについて
もう十年以上もまえのことだが、もはや老舗だという一点でのみその名が知れ渡っている「歴程」という詩誌に掲載されたとある記事のなかで、わたしがその記事の作者の詩人(以下某氏)にたいして痴漢を働いたと書かれたことがある。
当時、某氏の作品を愛読していて影響もうけていたから、作者と実際に対面できてただただ感動していたことはたしかだ。詩歌の同人誌の即売会に出店していた某氏と歓談し、会場をまわるうちに何
ある離人感、シスジェンダー・ヘテロセクシュアル男性優位社会の延命装置としての戦争とは無縁の場所で……、
生きているのか、死んでいるのかもわからない。二〇一九年末から、新型コロナ・ウィルスによる感染症が世界的に猛威を奮いいまだ終熄の兆しも見えないなか、二〇二二年二月二四日には、ロシアによるウクライナ侵攻がはじまって、人類史上稀にみる大混乱に地球規模で見舞われているらしいということを、掌中のスマートフォンを通して窺い知ることはなんとかできてはいるのだが、もう長くテレビのない生活を送っていると、なんとな
もっとみるマツコ・デラックスになりたかった
傍からすればすでにフェミニストだと認識されているようだが、そう自称できずにいる。別段それで困ることもなければ、得をすることもないのだが、しかし自身について話すときなどに、多少の居処のなさのようなものを感じることがある。トランスジェンダー当事者として発言する場合にかぎってのことではあるが、対話の相手にとってどのように映っているのか、わたしは敵なのか味方なのかを、どうやらうかがってしまっている自分を
もっとみるタケミツ・メモリアル (没後二十年武満徹オーケストラ・コンサート)
たしかに音楽の授業で《ノヴェンバー・ステップス》くらいは聴かされるかもしれないが、それで武満徹の名前を憶え、ましてや興味を持ったものなど、どれくらいいるのかは推して知るべしといったところで、大抵はその名を記憶することもくちにすることもないまま、人生を送ってしまっているひとがほとんどなのだとおもう。それでも二〇一六年十月十三日、東京オペラシティで没後二十年を追悼するために開かれたコンサート(オリヴ
もっとみる笙野頼子さん、いったいわたしの性別はなんですか?
十代の終わりに地元中野区内の書店で、ミルキィ・イソベ氏によるきらびやかな装幀のその本に惹かれて手にとり、頁をひらけば文字の大きさが自由自在に変化し、それ以上に紙面を縦横無尽に飛びまわることばに一瞬で恋に落ちてすぐさまレジへとむかい、純文学こそが目指すべき言語芸術のありかたなのだと蒙を啓かれてから、笙野頼子は唯一無二の憧れの存在であった。『タイムスリップ・コンビナート』を読んで沢野千本が辿った通り
もっとみる《都市叙景断章》についてのあれこれ
ほんらいならこんな馬鹿げたことはすべきではないし、すでに書き終えたこと以上につけたすことばなどないはずなのだけれども、相変わらず馬鹿ばかりがのさばるこの世界で、せめてあの当時書いてしまったものらが、もう少しまっとうにうけいれられるためには、となにかをいわずにはいられなくなってきたので、わたしが書いてきたものが詩かどうかの判断をくだすのはひとまずさき延ばしにするとしても、なぜそのように書いてしまっ
もっとみる@Arisa_Iwakawaさんに嚙みついてみた
いまになって怒りがこみあげてきたので書いておく。昨日、@Arisa_Iwakawa氏の「私は「クィア文学」という言葉をよく使うが〜」というツイートにクソリプを送りつけたわけだが、わたしの主張としては「「クィア文学」なる呼称は不要なラベリングにすぎない」というもので、それについてのツイートの応酬がつづいた。
そのなかでわたしは「早稲田文学女性号」でレズビアンもトランスジェンダーもあつかわれてはい
レビュー論争についてあれこれ
今回のレビュー論争(というか「キャットファイト」)において大人げないのはむしろ伊藤比呂美のほうで、10000を超えるフォロワーの援護射撃を利用してまで山下晴代を攻撃するほどのことだったのか、ましてAmazonレビューを削除させることだったのか、皆目わからない。もちろん山下の、ほとんど文章の体をなしているとはいえない、これで文芸誌に4作も小説が掲載されたとはおもえないほどはなはだ不可解な(ブログに
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