私のための様々

全てフィクションです。

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記事一覧

難しいから寝る

コンビニの店員さんの態度が、腑に落ちないほど荒んでいると感じた時、わたしは必要以上に"良いお客さん"を演じることにしている。 わたしがコンビニに行くのは早朝か深夜…

山中さんとベン

怠惰が過ぎてここ半年ほどほとんどアルバイトなどをしていなかったので、そろそろ重い腰を上げるか。と求人サイトを流し見していた。 そして、いくつか応募した求人のうち…

全部夏のせい

キンキンに冷えたコーラが飲みたくて、コンビニでロックアイスを買ったのに、夏が暑すぎたせいで私の体力は底尽きていて、部屋に入るなりすぐにベットへ倒れ込んだ。 もち…

4

心にギャルを飼う

わたしが唯一、悩みを相談するギャルがいる。 なにを言っても、打ち明けても、「まじ?」「ダルイね!」しか言わないから非常に心地いい。 そんないわゆる的なギャルとは…

7

古紙の匂い

彼が私を好きだった頃、 彼は私に好きな絵本を聞いた。 私はそれほど好きでも無い絵本を好きだと答えた。 「悲しい話が好きなんだね」と彼は言った。 私が彼を好きだった…

12

至極無駄な営み

絨毯を洗った。 友達がお家にやってきてくれると言うから、嬉しくなって、絨毯を洗った。 まずは浴槽に絨毯を投げ入れたら、隠れるくらいのぬるま湯を張って、洗剤とか漂…

10

夕暮れの海でゆるいお酒片手に聴きたい音楽

そもそも、海は嫌いだ。 身体や髪はベタベタするし、濡れた足にまとわりつく砂や小さな流木は痛いし、一瞬で日焼けするし。 でも波打ち際のワクワクとか、海の家の焼きそ…

4

此処に帰るために

君が頑張っているから、 私も頑張ろうと思うのだ。 君は多分今日も、 結果とか責任とか、期待とか幻滅とか、 そういう身勝手で重たい戯言を背負っている。 「馬鹿にすん…

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香水を買ったから褒めて欲しいと言うお話

表題の通り、最近香水を買いました。 それはそれは奮発をして、お高い香水を買いました。 いい香りがする人には「何の香水使ってるんですか?」と教えを乞い、香水を売っ…

4

毒になって、薬になる

私がなりたい私には、もうなれない。 この先も作り出していくであろう”理想の自分”にはいつかなれるかもしれないけれど、”あの日思い描いた私”にはもうなれないのだ。…

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私の親切は非常に迷惑

ひとりでラーメン屋さんに行った。 普段はあんまりこってりしたものは欲さないけど、突然どうしてもつけ麺が食べたくなって、開店前のラーメン屋さんに並ぶことにした。 …

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越えられない夜の浪費を、これからも

あなたが「恋人と別れた」と電話をかけてきた深夜、私は自転車を飛ばして最寄りの駅に向かった。 終電間近でやってきたあなたは散々泣き腫らした不細工な顔で難しそうに笑…

5

スズムシが鳴いたから秋

よく通った駅前の本屋が潰れて、100円ショップができた。 はじめは便利になるぞ。と嬉々としたが、 慣れてくると本屋の方が随分と風情も実用性もあってよかったのに。と思…

6

私が高校を辞めたのは

いじめが原因で(とされている)、結果的に自殺してしまった少女のニュースを見た。 そういうニュースが報道される時、必ずそのいなくなってしまった彼女を肯定的に評価す…

葉が一つ、一つと落ちていくような

「こんな時間に帰って家でなにしろって言うのぉ」 テレビから流れる音楽が19時を知らせた頃、私の向かいで顔を赤くさせた明石さんは眉毛をへにゃりと困らせてそう言った。…

春の焦燥

雨が降って、 太陽に夏を感じさせられるのが少し不愉快で、 また雨が降って、 桜の白はゆるやかに、されど決して止められないスピードで緑へ命を譲っていく。 その白緑白…

難しいから寝る

難しいから寝る

コンビニの店員さんの態度が、腑に落ちないほど荒んでいると感じた時、わたしは必要以上に"良いお客さん"を演じることにしている。

わたしがコンビニに行くのは早朝か深夜が主なので、きっと店員さんもわたしと同じように、疲れているのだ。

荒んだ店員さんの態度に腹を立てて、わたしまで憤りを表面化させてしまうと店員さんの心はさらにぐしゃぐしゃになって、あらゆる最悪のケースが考えられる。

理解も納得もしたく

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山中さんとベン

山中さんとベン

怠惰が過ぎてここ半年ほどほとんどアルバイトなどをしていなかったので、そろそろ重い腰を上げるか。と求人サイトを流し見していた。

そして、いくつか応募した求人のうち、1社の説明会に参加することにした。(参加するだけでお金もらえるらしいし)

雨の中のそのそとやってきたのは71歳のおじいちゃんと28歳の外国籍のお兄さん、私の3人だった。

ピンクで愉快なポロシャツを着た社員さんは「山中さん」「ベンさん

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全部夏のせい

全部夏のせい

キンキンに冷えたコーラが飲みたくて、コンビニでロックアイスを買ったのに、夏が暑すぎたせいで私の体力は底尽きていて、部屋に入るなりすぐにベットへ倒れ込んだ。

もちろん、案の定、ロックアイスとコーラを玄関に置いてることなんて忘れたままね。

寝そべった私は永遠にクリアできないパズルゲームのレベル106に何度もトライして、そして打ち砕かれてスマホを投げ捨てた頃には、もう窓外に蔓延る夏は随分と大人しくな

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心にギャルを飼う

心にギャルを飼う

わたしが唯一、悩みを相談するギャルがいる。

なにを言っても、打ち明けても、「まじ?」「ダルイね!」しか言わないから非常に心地いい。

そんないわゆる的なギャルとは出会って3年くらい経つが、最近いよいよ「悩みすぎ、クソだるい」と怒られてしまった。

「まじでお前は心にギャルを飼え。」と一蹴された。

どうやってギャル飼えばいい?と私が問うと、全てにおいて「やば!」「だる!」「うざ!」で終わらせて、

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古紙の匂い

古紙の匂い

彼が私を好きだった頃、
彼は私に好きな絵本を聞いた。

私はそれほど好きでも無い絵本を好きだと答えた。
「悲しい話が好きなんだね」と彼は言った。

私が彼を好きだった頃、
私は彼が好きだと言った絵本を探した。

だけど何処を探しても見つからなくて、
彼の内側を覗きそびれた気がした。

それからしばらく時間が経って
彼も私も互いを好きではなくなった頃、
ふと立ち寄った小さな古本屋で彼が好きだと言った

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至極無駄な営み

至極無駄な営み

絨毯を洗った。

友達がお家にやってきてくれると言うから、嬉しくなって、絨毯を洗った。

まずは浴槽に絨毯を投げ入れたら、隠れるくらいのぬるま湯を張って、洗剤とか漂白剤とかなんだか綺麗になりそうなものを色々と入れた。

さっきまで無色透明だった水が、本当に今までこの上に寝転んでたの?って不安になるくらいの色になったので、漂白剤のせいにして見て見ぬふりをした。

絨毯を洗ってることなんてすっかり忘れ

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夕暮れの海でゆるいお酒片手に聴きたい音楽

夕暮れの海でゆるいお酒片手に聴きたい音楽

そもそも、海は嫌いだ。
身体や髪はベタベタするし、濡れた足にまとわりつく砂や小さな流木は痛いし、一瞬で日焼けするし。

でも波打ち際のワクワクとか、海の家の焼きそばとか、防波堤から見下ろす小魚の群れとか、ほどよく距離をとった海は好きだ。

もしも半裸になって濡れた身体を強引に乾かしても怒られない私だったなら、「もうちょっと海も好きだったかも。」とかは一瞬思ったけど、結局どんな私であろうが多分、いや

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此処に帰るために

此処に帰るために

君が頑張っているから、
私も頑張ろうと思うのだ。

君は多分今日も、
結果とか責任とか、期待とか幻滅とか、
そういう身勝手で重たい戯言を背負っている。

「馬鹿にすんなよ」って君は言う。
小さな声で君は言う。
少し笑って君は行く。

私はつられて熱くなって、
猫背を正して家を出る。

戦うんだ。
戦うんだ。

甘い言葉には造作なく誘われてしまうから、
戒めあっていたい、
小突きあっていたい。

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香水を買ったから褒めて欲しいと言うお話

香水を買ったから褒めて欲しいと言うお話

表題の通り、最近香水を買いました。
それはそれは奮発をして、お高い香水を買いました。

いい香りがする人には「何の香水使ってるんですか?」と教えを乞い、香水を売ってるお店を見かける度に嗅覚をおかしくしたりしながら、やっと見つけた素敵な香りを纏っています。

どのぐらいつければいいのかも、私は今香っているのかもよくわからず、毎朝はてなマークを浮かべながら両手首にプシュプシュしています。

仲良しの友

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毒になって、薬になる

毒になって、薬になる

私がなりたい私には、もうなれない。

この先も作り出していくであろう”理想の自分”にはいつかなれるかもしれないけれど、”あの日思い描いた私”にはもうなれないのだ。

24歳。
「まだ若いよ!」と言われ続ける毎日だ。

自分で作った理想や無意味な固定概念が、私を雁字搦めにしている。
馬鹿らしいなと自分でも思う。

20代を生き抜いた成功者たちが、20代をもがく私たちにエールをくれる。
そんな高価な言

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私の親切は非常に迷惑

私の親切は非常に迷惑

ひとりでラーメン屋さんに行った。
普段はあんまりこってりしたものは欲さないけど、突然どうしてもつけ麺が食べたくなって、開店前のラーメン屋さんに並ぶことにした。

前には7人が並んでいて、私は最後尾だった。
「入れるかなぁ...」と不安になって、背伸びをして店内を覗き込んだらカウンターが9席あったからなんとか開店と同時に入れそうでホッとした。

あまり感じることのない空腹感と久しぶりのつけ麺にウキウ

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越えられない夜の浪費を、これからも

越えられない夜の浪費を、これからも

あなたが「恋人と別れた」と電話をかけてきた深夜、私は自転車を飛ばして最寄りの駅に向かった。

終電間近でやってきたあなたは散々泣き腫らした不細工な顔で難しそうに笑っていて、なんて声をかければいいのかわからなかった。

行く当てなんかなかったから、しばらく二人乗りで街をふらついてはただ時間が過ぎるのを待った。
あなたは特に何も言わずに私の後ろに乗せられていて、私も特に何も聞かずに自転車を漕いでいた気

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スズムシが鳴いたから秋

スズムシが鳴いたから秋

よく通った駅前の本屋が潰れて、100円ショップができた。
はじめは便利になるぞ。と嬉々としたが、
慣れてくると本屋の方が随分と風情も実用性もあってよかったのに。と思った。

本を買うのにわざわざ2つ3つ降りたい駅を通り過ぎなければいけないのが非常に愉快でない。

よく行く喫茶店の店主が、電子書籍の良さを私に語る。
私はレコードで音楽を聴くことを好む彼に、Apple Musicの素晴らしさを語ってや

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私が高校を辞めたのは

私が高校を辞めたのは

いじめが原因で(とされている)、結果的に自殺してしまった少女のニュースを見た。
そういうニュースが報道される時、必ずそのいなくなってしまった彼女を肯定的に評価する声も一緒に報道される。
「明るくていい子だった」
「勉強ができて心優しい生徒だった」
彼女はもう話せないから彼女が何を思っていたのかを知る術なんかないのに、切り貼りされた情報で断定的な彼女の輪郭が浮かぶ。
途端に、いろんなことを疑ってしま

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葉が一つ、一つと落ちていくような

葉が一つ、一つと落ちていくような

「こんな時間に帰って家でなにしろって言うのぉ」

テレビから流れる音楽が19時を知らせた頃、私の向かいで顔を赤くさせた明石さんは眉毛をへにゃりと困らせてそう言った。

23になった私と80をとうに過ぎたらしい明石さんがともに机を囲むのは、東京から都会らしさを排除させたようなローカルな駅を北に10分ほど歩いたところにある居酒屋で偶然に居合わせた時だけである。

私は数ヶ月に一度フラッと1人でここを訪

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春の焦燥

春の焦燥

雨が降って、
太陽に夏を感じさせられるのが少し不愉快で、
また雨が降って、
桜の白はゆるやかに、されど決して止められないスピードで緑へ命を譲っていく。

その白緑白のグラデーションがなんともいえぬほどに綺麗で、綺麗で、一瞬足を止めた。
けれど私の朝は忙しくて、
迫り来るあの電車に乗り込まなくてはいけない。

帰りに写真を撮ろうと思った。
今日は18時前にはまたここに来られるはずだから、
きっとまだ

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