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私の親切は非常に迷惑

ひとりでラーメン屋さんに行った。
普段はあんまりこってりしたものは欲さないけど、突然どうしてもつけ麺が食べたくなって、開店前のラーメン屋さんに並ぶことにした。

前には7人が並んでいて、私は最後尾だった。
「入れるかなぁ...」と不安になって、背伸びをして店内を覗き込んだらカウンターが9席あったからなんとか開店と同時に入れそうでホッとした。

あまり感じることのない空腹感と久しぶりのつけ麺にウキウキしていた。
すると、私の後ろに中学生カップルが「もうすぐ開店するよ!」と並び始めた。

あ・・・と思った。
店内には9席しかないから、2人一緒には入れない...。と思った。
私が彼らに「先にどうぞー」としてこの列の10人目になったら2人はすぐに入れる。
でもものすごくお腹が空いた。
どうしよう。
とかぐるぐる考えてるうちに11時30分を迎え、空腹感に負けた私は彼らより先に席に座ってしまった。

7人が奥から順に座ったから案の定私の隣には空席が1つできて、残念そうに店先で待つ彼らに胸が痛かった。

優しくできない大人ですまん・・・と思いながら、私は食券を買ってつけ麺を注文した。

1人目、2人目。と順につけ麺が提供されていく。
身体に悪そうな欲望の匂いが店内に充満して私の空腹は根を上げ始めている。

仕方ないから軽く本でも読むか〜と鞄をあさった10秒後に私の目の前に念願のつけ麺さんが到着して、すぐさま割り箸に手を移した。

うっひょーっと心躍らせながら啜った。


そうこうしているうちに1人目が食べ終えて早々と店を発った。
これで2つ空席はできたけどカウンターの端と端で、2人組である中学生カップルはまだ座れそうになかった。
20秒ぐらい考えた末に、私は店員さんに「あっちの端の席に移動していいですか?」と聞いた。
え?という顔をされたので、「あ、私が移動したら、あの、待ってるお二人が座れるから...」と人見知りを最大値まで発揮しながら告げた。

すると店員さんは「ありがとうございます...!!!」と申し訳なさそうに目を細めてくれた。
私が自分のつけ麺を移動させようとすると、店員さんがこちらで移動させるので、座っててください!と言ってくれた。

若干の注目を浴びてしまった照れ臭さに燃え尽きそうな私は、お水だけ自分で持っていこうとコップに手をかけた瞬間、ツルッとなってガタンとなって盛大に机を水で浸した。

あーあー。

店員さんが持っていくって言ってくれてたのに。


あーあー。

「すみません、、」って謝りながら、大急ぎでテーブルを拭こうとしたらまた店員さんが「全然大丈夫ですよ!お食事されてください!」と気を使ってくれた。

すみません。。としながら私が席に着いた瞬間、私の隣の2人目が席を立った。

え?

まだ店員さんは私がこぼしたお冷を拭いている。

いや。
え?

私が余計なことしなかったら、店員さんはお水を拭くとかいう余計な仕事はしなくてよかったし、ていうかちょっと待てば普通に中学生2人組は1人目と2人目の並んだ空席に座れたじゃん。
考えればわかるじゃん。

は?

もうそのあとはつけ麺の味なんてよくわかんなかった。
すみません。って感じの味だった。

なんで私はこうなんだ。
なんで器用にキラッとできないんだ。

味なんてわかんなくなったつけ麺を急いで食べ終えて、小さく「ごちそうさまでした」と店員さんに告げて足早に店を出た。
するとお水を拭いてくれた店員さんはわざわざ店先まで追いかけてきて、「本当にお気遣いいただきありがとうございました」と頭を下げてくれた。

「こちらこそ、本当にご迷惑おかけしました」と辻褄が合わない台詞を残して、私は久しぶりのラーメン屋さんを後にした。

なんかお腹いっぱいで身体重いし、
寒いのに電動キックボードで来ちゃったし、
なんかもう嫌だ。

しばらく落ち込みそう。
辛い、悲しい、寒い、寒い。

もっと器用になりたい。

でも私みたいに何をやっても、あれ?ってなって、
すみません...。ってなる人きっとたくさんいるよね。

私たちはこれからもこんな風にあたふたしながらすみませんを繰り返して、心を上下させながら生きていくんだ。
あーあー。
だからこれは今日も落ち込んじゃって眠れない誰かへの私信だ。共感だ。
私の失敗続きの日々が、似たあなたの心の綻びとちょっと噛み合いますように!!!!!!!!
日々繰り返すこんな自傷を舐め合えますように。

明日はいい日になりますよね?ハム太郎。


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