全部夏のせい

キンキンに冷えたコーラが飲みたくて、コンビニでロックアイスを買ったのに、夏が暑すぎたせいで私の体力は底尽きていて、部屋に入るなりすぐにベットへ倒れ込んだ。

もちろん、案の定、ロックアイスとコーラを玄関に置いてることなんて忘れたままね。

寝そべった私は永遠にクリアできないパズルゲームのレベル106に何度もトライして、そして打ち砕かれてスマホを投げ捨てた頃には、もう窓外に蔓延る夏は随分と大人しくなっていた。

そういえば、と朝から何も食べていないことに気がついて、冷蔵庫を開ける。
同時に嫌な予感がして、玄関に目をやるともちろん、案の定、溶け切ったロックアイスと汗のかいたコーラが私に呆れ白けた具合に佇んでいた。

1.1kgの元ロックアイスはすでに少し冷たいだけの液体と化していて、私は天を仰いだ。

とはいえ長年私と付き合っている私からすれば、こんなこと許容範囲内なので、「まぁよくあることだよね」と慰めてやった。

1.1kgの液体を持ち上げて、水滴が足の甲に垂れる。
いや、全くもって許容範囲内なんだけど、「じゃあ1リットルのお水を買って自分で凍らせればよかったじゃんね」と背後からもう一人の煩い私が囁いてくる。

本当にその通り過ぎて返す言葉も見つからない。

なす術なく、だけどひとまず丁寧に形を整えて冷凍庫に住まわせて見なかったことにしてから、レベル106に再挑戦した。


もう私は一生レベル106をクリアできないんだと思う。


あれもこれも全部夏のせいだ。
例年よりも随分と梅雨入りが遅れていて、今はまだ夏じゃないらしいから、こんなこと言っちゃ夏に申し訳ないけど、全部まだ見ぬ夏のせいだ。

あぁ、暑い中ヘトヘトになりながらアイスピックを買いに行き、氷塊を砕いて飲むコーラは格別に美味いな。

きっと君はまだ本気を出していないんだろうけど、これ以上暑くなったらきっと私は溶けていなくなってしまうから、少しくらいは自粛して欲しい。

今年も仲良く生き抜きたい、夏。
平和で楽しい夏、求む。