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記事集・H

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私は蓮實重彥(蓮實重彦ではなく)の文章にうながされて書くことがよくあります。そうやって書いた連載記事や緩やかにつながる記事を集めました。
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#レトリック

読みにくさについて

読みにくさについて

 ある記事を書こうとしていて、ある部分が長くなってきたので、そこだけを記事にすることにしました。以前なら多少長くなっても強引に記事にしたのですが、このところ体力が落ちているので、無理をせずに別の記事にします。

文章の特徴
 蓮實重彥の文章を読んでいて感じる特徴はいくつかありますが、なかでも私が目を惹かれるのは以下の四つです。

1)音声化できない文章の要素である約物の使用。

⇒「立体、平面、空

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「かける」と「かける」(かける、かかる・03)

「かける」と「かける」(かける、かかる・03)


かけるとかける
 かけるとかける。
「かける」と「かける」。

 上のフレーズは「AするとAする」と読めば、「Aすると(その結果)Aする(ことになる)」とも、「「Aすること」と「Aすること」」とも読めます。

 いずれにせよ、前者と後者は別物でなければなりません。

     *

 かける、掛ける、懸ける、架ける、賭ける、欠ける、駆ける、翔る、駈ける、掻ける、書ける、描ける、画ける

「かける

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【レトリック詞】であって、でない

【レトリック詞】であって、でない

 私が勝手にレトリック詞と呼んでいる形式の散文を紹介いたします。戯れ言ですので、文字どおりに取ったり、真に受けないでください。今回は「であって、でない」というタイトルで、テーマは「文字を文字どおりに取る」です。

であって、でない
 であって、でない。

 Aであって、Aでない。
 Aという文字であって、Aというものではない。
 つまり、Aであって、Bでない。

     *

 であって、であ

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【モノローグ】カフカとマカロニ

【モノローグ】カフカとマカロニ

 似ている、似ていない、同じ、違う、複製、文字どおりに取る、文字どおりに取らない、人のつくるものは人に似ている、人のつくるものに人は似ていく、鏡――。こうしたテーマについてのモノローグです。

 以下の記事からつくった記事です。

 本記事は「【レトリック詞】であって、でない」という戯れ言を書いた記事に似ていますが、戯れ言のつもりで書いたものではありません。本気で書きました。正気かどうかは不明で

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ヒトは動物園にいない

ヒトは動物園にいない

 動物園にヒトはいません。いるにはいるけれど、常時檻や柵の中にはいません。それはヒトが自分たちを動物と見なしていないからでしょう――。 

 今回は、上で述べたことをめぐって思うことを書いてみます。


 動物園にヒトはいません。いるにはいるけれど、常時檻や柵の中にはいません。それはヒトが自分たちを動物と見なしていないからでしょう。

 上の文章をいじってみます。

     *

 動物園に人

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異物を定義する(異物について・01)

異物を定義する(異物について・01)

「異物について」という連載をはじめます。私は連載が大の苦手なのですが、やってみます。今回は、異物を定義してみます。

異物を定義する
 文字どおりに取ってくださいーー。

 猫とはぜんぜん似ていないのに猫であるとされて、猫の代わりをつとめ、猫を装い、猫の振りをし、猫を演じている。そんな不思議な存在であり、私たちにとってもっとも身近な複製でもある異物。

 いま、あなたの目の前にある物です。

感じ

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