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バレンタインだから「桃太郎」の恋の話を。

――僕の最近のマイブームが「桃太郎」ということもあり、恋愛がテーマの「桃太郎」の話を紹介しようと思います。聖バレンティヌスの悲劇のような、切ないラブストーリーです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今回は「時間をかけてつくる文化」というテーマで話していこうと思います。


📚バレンタインだから

今日は2月14日、バレンタインの日ですね。269年に聖バレンティヌスが処刑された日です。

当時のローマ皇帝は若者が戦争に行かない理由を、家族や恋人と離れたくないからであると考え、結婚を禁じていました。それを不憫に思った聖バレンティヌスは、秘密裏に若者たちの結婚式を執り行っていたのです。それが皇帝にばれてしまい、2月14日の日に処刑されてしまうわけですが、それ以降、2月14日はローマ人がお祈りする日になり、14世紀くらいからは恋愛と結びつき、恋人たちの日として定着したというわけです。

ちなみに、チョコレートを贈る文化は日本独自のもので、戦後間もない頃に大手お菓子メーカーが「バレンタインデーはチョコレートを送ろう」的な広告を出したことが始まりとされています。アメリカでは男性から女性に贈り物をしますが、日本では逆ですよね。これも、商業的な背景があるとされています。

さて、そんな風にして今のバレンタインデーがあるわけですが、僕の最近のマイブームが「桃太郎」ということもあり、恋愛がテーマの「桃太郎」の話を紹介しようと思います。聖バレンティヌスの悲劇のような、切ないラブストーリーです。


📚鬼の娘が桃太郎に恋をする

今回紹介するのは江戸時代に書かれた「桃太郎元服姿」という話です。これはいわゆる「桃太郎」の後日譚でして、鬼退治後の話が展開していきます。

主人公は鬼の娘。鬼退治をした桃太郎に復讐を果たすために、人間の島へやってくるのです。そして、桃太郎の住む屋敷に転がり込みます。桃太郎に仕えながら、財宝を奪ってやろうと企んでいるわけです。

しかしですね、一つ屋根の下、共に暮らしているうちに、鬼の娘は桃太郎に好意を抱いてしまうのです。恋しちゃったんです。

ここで鬼の娘は葛藤します。自分はスパイとして、桃太郎に復讐を果たすためにやってきたのに、その復讐する相手にあろうことか、恋をしてしまったのです。鬼として任務を全うしなければいけない。桃太郎に復讐しなければいけない。でも、この気持ちに嘘はつきたくない。恋に理由はない。好きになってしまうのは仕方がない!でも!……と悩みに悩み抜いた末、鬼の娘は自害してしまうんです。

衝撃のオチが待っていたわけですが、なんとなく江戸時代らしいですよね。桃太郎に恋をした鬼の娘の切ないラブストーリーでした。


📚新たな「桃太郎」文化を

さて、「バレンタイン」と「桃太郎」について語ってきました、最後に「文化」という観点で話をまとめていきますね。

はじめに触れたように、今のバレンタインがあるのは、お菓子メーカーの広告と、それを受け止め育てていった消費者たちのたまものです。お菓子メーカーの広告が消費者の心を動かし、2月14日には女性が男性にチョコレートを贈るという文化が築かれたわけです。

そして、そこにたくさん時間がかけられればかけられるほど、その文化は深く確かに定着していきます。

お菓子メーカーが広告を出してから60年以上経っているからこそ日本人なら誰しもがバレンタインは女性が男性にチョコレートを贈る日だと認識しているわけです。もっといえば、バレンタインの日が恋愛と結び付けられた14世紀から現在に至るまでにかけられてきた時間があるからこそ、世界中で家族や恋人に贈り物をする日だと認識されているわけです。


それは「桃太郎」にもいえることです。この記事で紹介したように、昔は「桃太郎」の物語はたくさんあったんです。桃から生まれない桃太郎の話もあったし、柿太郎の話もありました。しかし、今に残っている「桃太郎」の物語はおおよそ一通りですよね。「桃から生まれた桃太郎が、犬猿雉を連れて、鬼退治をする」物語。なぜ、その物語だけが残り続けているのでしょうか。

そこにも「歴史」が関係しているのです。今の「桃太郎」の物語が定着しているのは、明治時代にこの物語の「桃太郎」が学校の教科書に掲載されたからなんです。全国の子どもたちが学校で「桃太郎」を習うことで、その物語こそが「桃太郎」と認識していったのです。

それ以降、別の物語が台頭しなかったので、教科書に掲載されなくなった現代においても、一通りの物語が残り続けているというわけです。


僕はそこにメスを入れようとしていて、今の時代にふさわしい「桃太郎」は鬼を退治する「勧善懲悪」の物語ではなくて、鬼と共に生きる「共生」の物語だと考えます。これからの時代、子どもに最優先に伝えるべきは、「相手との違いを認めて、受け止めて、尊重し、手を取り合い、生き合おうとする姿勢」なのではないでしょうか。

そこで僕は今の時代にアップデートした「桃太郎」をつくろうとしているわけですが、新しい物語を定着させるためには、バレンタインの文化のように、「魅力的な広告」「長い時間をかけること」が大切です。

だからこそ、僕は今度「BOOK TALK LIVE “桃太郎”」というイベントを開催することにしたのです。卒業研究のテーマに「桃太郎」を掲げた僕が、知られざる桃太郎の秘密や歴史に触れながら、今の時代に求められている「桃太郎」とはいかなるものかを物語りにいこうとしているのです。

学生最後の集大成のようなイベントとして打ち出しているんですが、このイベントすらも僕は通過点でしかないと考えていて、新しい「桃太郎」の物語を定着させるための広告としての役割を担わせているのです。

文化をつくるための下準備というわけです。

どこまで育てられるか分からないけれど、「桃太郎」の宿命を負ってしまったからには、とことん追求していきます。もし、興味を持たれた方は、是非、新しい「桃太郎」の文化をつくる「仲間」になってください。

ステキなバレンタインデーをお過ごしください。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240214 横山黎


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